携帯電話市場の成長のカギは「料金設定」――RBC調査

» 2006年03月03日 15時34分 公開
[Matt Hines,eWEEK]
eWEEK

 成熟期を迎えた携帯電話市場では、携帯端末対応のモバイルビデオや音楽といったクールなアプリケーションが大きな注目を集めているが、最近の調査は、この業界の成長を左右する最大の要素は「料金設定」であることを強く示している。

 米RBC Capital Marketsの金融アナリストによる調査報告によれば、携帯端末は、音声通信機能だけのものから先進マルチメディアやビジネスアプリケーション対応へと順調に進化している。しかしこれよりも大きな問題として、携帯電話における「料金設定」ならびに「製品/サービス過多から生じる混乱」がさらなる普及を阻んでいる障害として挙げられた。

 RBCによると、ポストペイド方式の携帯電話サービスを利用している米国世帯数は現在約2億世帯、普及率にしておよそ70%となる。2005年はプリペイド方式およびポストペイド方式サービスいずれの売り上げも記録的な伸びを示した年だった。

 RBCは今年の2月第3週に、米国で携帯電話サービスに加入している約1000世帯を対象に調査を実施した。その結果、大半の人々の関心は、最新の携帯ガジェットやサービスを利用することよりも、利用時間当たりの料金を低くすることに今なお向けられていると判明した。

 RBCの回答者が携帯の料金プランを選択するにあたっての最大の決定要因は依然「料金設定」であることが示された。「端末の互換性」が僅差で続いた。

 端末関連の問題も、それぞれ対応する端末とキャリアを選ぶ際の重要な要素に挙げられた。回答者の45%があまりに多くの製品の選択肢がある場合は、そのプランを避けると答えた。

 端末選びのプロセスには、ユーザーの教育レベルが大きく関連した。新しいテクノロジーの購入に当たり、高卒以下のユーザーの42%が複雑さを理由に「かなりちゅうちょする」傾向にあり、これに対し高等教育を受けたユーザーの場合は33%。

 新しい携帯端末への投資を控えるもう1つの理由として目立ったのは「テクノロジーの発達の速さ」で、56%の回答者が購入の抑制要因としてこれを挙げた。

 「購入したばかりの端末およびサービスがすぐに時代後れになる」と懸念を示した回答者は約48%に上った。

 新たなマルチメディアサービスが市場成長をさらに促す機動力になると見る専門家もいるが、この調査では圧倒的多数の76%が「携帯端末でTV番組や映画を鑑賞することには関心ない」と回答した。また69%が「携帯電話で音楽サービスを利用することはないだろう」と答えた。

 携帯電話でエンドユーザーに広告を送ることを新しい経済トレンドにすることを計画している人たちは、RBCの調査結果にがっかりすることだろう。

 約58%の回答者が「モバイルマーケティングは禁止されるべき迷惑行為」と考えており、また52%がたとえサービスあるいは加入料金が安くなるとしても「テキストメッセージ内やダウンロード可能なコンテンツ内に広告を入れてほしくない」と答えた。

 エンドユーザーが広告を嫌悪している証拠はほかにもあると言わんばかりに、RBCの調査では、回答者の43%が「あらゆるマーケティングを遮断する端末であれば、より高額でも構わない」との考えを示している。

 セキュリティも、携帯ユーザーにとって依然深刻な懸念事項だ。46%が携帯端末の利用に当たって「パーソナルアカウント情報の保護」を最も懸念していると答えた。

 また回答者の36%が、自分の通話を誰かに盗み聞きされることへの懸念を示している。

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