中村社長が話した「ドコモのワンセグ」そして「ソフトバンク対策」(1/2 ページ)

» 2006年03月31日 01時27分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 3月30日に開催されたNTTドコモの社長定例会見で、中村維夫氏がドコモとして全体の方針を説明した(3月30日の記事参照)。この中で出たいくつかのトピックのうち、面白かったものを紹介しよう。

ワンセグの「非サイマル」で革新的サービスに乗り出す?

 ドコモはワンセグの分野で、フジテレビや日本テレビ放送網と提携を発表している(2月9日の記事参照)。4月から始まる移動体向けデジタル放送、ワンセグで共同事業を展開したい構えだが、中村氏は「今のままではどうにも……」と本音をもらす。現状では携帯が「テレビ受像機と変わらない」(同氏)のが、不満の理由だ。

 2006年4月の時点では、ワンセグで受信できる番組は基本的に固定のテレビで受信する番組と同じ「サイマル放送」。もちろんデータ通信の要素を持ち、番組によっては放送と連動した通信の仕組みも備えると見られるが、ドコモとしてさほど魅力的ではないようだ。

 それより、中村氏が興味を示すのが2008年に始まると見られる“非サイマル”のワンセグ番組だ。携帯向けのオリジナル番組が登場すると言われているが、「2年あるので、総務省にも相談しつつどういうものがいいのか(テレビ局と)話し合っていきたい」という。

 非サイマルの番組では、どんなビジネスモデルがあり得るのか。中村氏の口から出たのは、「テレビ局側も別番組ならCM枠を別に設定できる」ということと、「別料金がとれるかもしれない」ということ。サイマルなら有料放送などはあり得ないが、非サイマルのワンセグでは有料化が考えられるという。

 ただし、海外ではケーブルテレビなどで有料放送が普通だが、日本では“放送はタダ”という意識が強い。ここで「お金を払っても見たい」という番組を作れるのかどうかは、考えなければならないとした。

ワンセグ端末、価格は高いが……

 ワンセグ関連では、「対応端末の価格が高いようだが」という質問も飛んだ。「P901iTV」は発売当初、都内の家電量販店で4万円近い価格が付いていた(ITmedia調べ)

 中村氏は、ワンセグを受信可能にすると通常の端末より1万円はコスト高になると明かす。このため全機種にワンセグチューナーを搭載するわけにはいかず、「ユーザーの反応を見て(搭載機種数を考える)……というのは、正直ある」という。

 ただし、「あれば困るユーザーはほとんどいない」ともコメント。端末の厚みが増すといった問題もあるが、反応が良ければほかのメーカー製端末にも載せていきたい考えだ。

 これに関連して、端末の価格が上がっていることにも質問が飛んだ。ボーダフォンの津田志郎会長は、市場が飽和しつつある携帯業界で、インセンティブ(販売奨励金)を積んで端末価格を下げることにムリがきていると指摘している(3月16日の記事参照)。この点、中村氏も「インセンティブとは、(市場の)パイが膨らんでいる時代のビジネスモデル。現状ではこのモデルは破綻している」と言い切る。

 P901iTVのように、4万円レベルの価格が発売されるのもやむなしとの考えだ。「急激に(高くする)というのはなかなか無理ではあるが、徐々に単価を引き上げていかざるを得ない」と踏み込んだ発言をした。

 会場では、ソフトバンクがボーダフォンを買収したことについても複数の質問が飛んだ。

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