NECは8月18日、窒化物半導体トランジスタを用いた、高出力かつ小型のW-CDMA基地局用送信アンプを開発したと発表した。
携帯電話の基地局は高速化・大容量化が進められており、送信用アンプの高出力化と小型化、高効率化が求められている。従来の送信用アンプでは、ヒ化ガリウムやシリコンの半導体トランジスタを使っていたが、200ワット以上の出力を得るためには“電力合成”を行う必要があった。電力合成回路を組み込むと送信アンプの容積が大きくなるほか、電力合成による損失も増えて消費電力が増えるという問題もあり、小型で高効率な送信アンプを作るのは非常に難しい。
しかし新開発のアンプは、青色LEDなどの材料にも用いられる窒化ガリウム(GaN)や窒化アルミニウム・ガリウム(AlGaN)で構成されており、世界最高クラスとなる400ワットの出力と低ゆがみ特性を同時に実現した。現在一般的な基地局の送信アンプで用いられている電力合成回路を必要とせず、小型で効率が高く、単一パッケージのトランジスタながら世界最高クラスの電力増幅が可能だという。
なお、今回開発した送信アンプは第3世代(3G)の基地局だけでなく、より高速な3.5Gや4Gなどの次世代の基地局でも利用できる。基地局用送信アンプの高出力化、小型化、低コスト化、そして省エネルギー化を目指して、1〜2年後をめどに製品化すべく研究開発を進める。
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