“ネットとの融合”がさらに進む海外のスマートフォン神尾寿の時事日想

» 2007年01月10日 10時13分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 海の向こうから、Consumer Electronics Show(CES、特集ページ参照)、Macworld Conference & Expo 2007(1月8日の記事参照)のニュースが続々と届いている。注目の的はAppleの発表した「iPhone」だが(1月10日の記事参照)、CESからのニュースでも、NokiaやSamsungの新型端末ラッシュで話題に事欠かない。海外の携帯電話メーカー各社は、収益性の高いスマートフォンの開発にさらに力を入れてきており、昨年の同時期に比べるとその内容が“大きく進んだ”印象だ。

 これら海外のスマートフォンに共通で見られる傾向として、今年より顕著になったのが、インターネット上のサービスとの“融合”だ。例えば、AppleのiPhoneはGoogle MapsやYahoo! Mailのプッシュ配信機能に対応。NokiaはYahoo!の携帯向けサービス「Yahoo! Go for Mobile 2.0」との連携を強化したほか、Flickrなどの写真共有サービス、Six Apartのブログサービス「Vox」などに対応した(1月9日の記事参照)

 海外のスマートフォンはフルブラウザやPOPメールクライアントを使ってインターネットにアクセスするフェーズから、各種ネットサービスと高度な融合・連携をするフェーズに入っている。この傾向は今後さらに進んでいき、スマートフォンは“PDA/PCライクな携帯電話”から、携帯電話機能付きの“洗練されたインターネットコミュニケーター”になっていきそうだ。昨年のCESで見られた変化の兆しは、今年になって着実に芽吹いている。

 欧米のスマートフォンは「ホワイトカラーのiPod」と呼ばれ、ITリテラシーの高いビジネスパーソン向けと考えられてきた。そこが閉鎖的かつ特殊ながら“万人向けの携帯ネットサービス”を提供してきた日本の携帯電話との違いだった。

 しかし、AppleのiPhoneや、NokiaやSamsungのスマートフォンはPC向けのネットサービスと融合し、より多くの人に使いやすい携帯ネットサービスを急速に整えて始めている。キャリアによる“護送船団方式”で発展した日本市場とは違うプロセスで、これまでの予想よりも早いタイミングで携帯電話市場の高機能化が起こりそうである。

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