目指したのは“手のひらサイズのネットPC”──VGA画面の「W51H」が生まれるまで「W51H」開発陣インタビュー(前編)(1/2 ページ)

» 2007年02月06日 01時08分 公開
[石川温,ITmedia]

 auの2007年春モデルには、2機種のVGAディスプレイ搭載端末がラインアップされる。1つは“全部入り”がウリの「W52T」、もう1つが携帯を使ったPCサイト閲覧の使いやすさにこだわった日立製作所製の「W51H」だ。

 日立製作所端末といえば、思い出すのが同社の初代ワンセグケータイ「W41H」。機能もデザインも“小さなテレビ”といった趣の端末をリリースし、好評を博したのも記憶に新しい。

 そんな同社の最新モデルW51Hは、まるで“手のひらサイズのネットPC”のような携帯電話。auのVGAディスプレイ搭載機で唯一の横表示対応PCサイトビューアー、横表示時にPCのタッチパッドのようにブラウザを操作できる「スマートセンサー」を搭載するなど、PCライクな操作性に徹底的にこだわった。

 そんなW51Hが生まれるまでの経緯や機構設計のこだわり、デザインの狙いについて、日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ マーケティング事業部携帯電話本部営業部の吉田征義部長代理、日立製作所ホームソリューションデザイン部の岩間徳浩主任デザイナー、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 戦略推進グループ商品企画チームの酒井健一氏に話を聞いた。

Photo 左からカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 戦略推進グループ商品企画チームの酒井健一氏、日立製作所ホームソリューションデザイン部の岩間徳浩主任デザイナー、日立製作所ユビキタスプラットフォームグループ マーケティング事業部携帯電話本部営業部の吉田征義部長代理
Photo PC同様の横画面でサイトを閲覧/操作できる「W51H」。ディスプレイはワイドVGA(解像度480×800ピクセル)対応の2.9インチIPS液晶

ワンセグ派には「W43H II」、ネット派には「W51H」──ニーズに合わせた2つのラインアップ

 W51Hで最も目を引くのが、ワイドVGA(解像度480×800ピクセル)対応の2.9インチIPS液晶だ。このディスプレイの搭載は、“ユーザーからの要望やニーズに対する日立の回答”という意味合いが強いと吉田氏は話す。

 「携帯電話の利用に関する調査をしたところ、次に電話機を購入する際にユーザーが注目するポイントとして、デザインに加え、“画面の美しさや大きさ”を挙げる人が増えていました。ここに大きなニーズがあると考えたのです」(吉田氏)

 前モデルの「W43H」に搭載された2.6インチワイドQVGA液晶から、2.9インチワイドVGAに進化したW51Hのディスプレイでは、PCサイトビューアーやPCドキュメントビューアー、カメラ、EZナビウォークの4つのVGA対応アプリ利用時の利便性が向上するほか、メール作成時や閲覧時に1画面当たりの情報量が増えるというメリットも享受できる。

Photo PCサイトビューアーは横画面にするとPCでWebブラウズするのと同じようなインタフェースで利用できる(左)。EZナビウォークは、1画面当たりに表示できるエリアが拡張し、地名などの表示も読みやすい(右)

Photo メール作成時や閲覧時の文字サイズは「極大」から「極小」までの5段階から選べる(左)。中は極大設定時、右は極小設定時

 ユーザー調査でもう1つ分かったのが「フルブラウザとワンセグ機能のニーズの高さ」(同)だ。日立製作所では前モデルでワンセグケータイをリリースしており、それが好評を博していることから、“ワンセグ派はW43H、W43H II、ネット派はW51H”とニーズに合わせて端末を選べるようにした。「機能面のユーザー調査で需要が高かったのがテレビ機能とフルブラウザ機能。ワンセグ派には『W43H II』という明確なコンセプトの端末を投入しているので、W51Hはネット派に向けた商品としてターゲットを絞っているのです」(吉田氏)。

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