PL/SQLに対応した新生DB2の底力:データベース市場が地殻変動を起こす日

企業活動の生命線であるデータベースは、一度稼働させると数十年は継続して使い続けるのが一般的だ。だがこの常識を日本IBMが変えようとしている。PL/SQLをサポートしたRDBMSの新版「DB2 9.7」では、他社製品から迅速かつ低コストで移行できるという。サポート費用の高騰などでコスト負担が増している企業は、これを機に自社のデータベースを見直してみてはどうか。


 「コストを下げながら、サービスの質を上げてくれないか」――。相反する目標を達成していかなければいけないのが、国内企業が直面している喫緊の課題だ。経営者やCIO(最高情報責任者)はこうした目標に対して、常に頭を悩ませている。

 まず問題になるのは、現在稼働させている情報システムをどう合理化するかだ。企業の情報システムは歴史的に、まずメインフレームが用いられ、それからオープンシステムへの移行が進み、そしてネットワークを経由して種々の機能をサービスとして使うクラウドコンピューティングが台頭するというように変遷している。こうした中、日本企業の多くが稼働させているシステムは、パッケージソフトを使わずに手組みで作ったものだという現状がある。拠点や部門、組織ごとにシステムを別個に構築し、それを何十年も動かしているのである。

 データベースの分野でもこうした動きは顕著に現れている。データベースはひとたび導入すると、それを継続して使い続けるのが一般的だ。開発者はデータベースに対応した専用の開発言語を、管理者は運用のノウハウを習得しなければいけない。「サポートしている開発言語で数十万行ものコードを書き、運用管理者や開発者のスキルセットも完了させている。一度稼働させたデータベースを他社製品に移行するのは現実的ではない」。これが多くの企業の本音ではないか。

 その結果、企業の多くは採用したベンダーのデータベース製品を使い続けなければならなくなる。これは、保守費用などがつり上がってもそれを受け入ざるを得ない、「ベンダーロックイン」という問題を生み出す。この「巨大な買い物」はデータベース市場に高コスト構造をもたらしている。

PL/SQL対応でデータベース移行の常識が変わる

日本IBM 理事 ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長 下垣典弘氏 日本IBM 理事 ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長
下垣典弘氏

 日本IBMはこうしたコスト構造に一石を投じるデータベース製品を打ち出した。リレーショナルデータベース管理ソフトの新版「DB2 9.7」だ。同社の理事でソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長を務める下垣典弘氏は、新製品のリリースについて「データベース市場にとって、歴史的な転換をもたらす」と述べ、期待を込める。この発言の意図は、これまでは実現できなかった「他社データベース製品からの移行」を迅速かつ低コストでできることにある。

 DB2 9.7が新たに搭載した機能群で目玉になるのは、データベース言語の「SQL」をOracle社が独自に拡張したプログラミング言語「PL/SQL」の正式サポートだ。これにより、他社製のデータベースとPL/SQLで開発したアプリケーションやスキーマを、修正を加えずにDB2に移行できるようになった。例えば、他社製品のスキーマをDB2に移行するには、ドラッグ&ドロップといった簡単な操作を行うだけでいい。

 移行のスピードには目を見張るものがある。例えば、自社で運用しているERPのデータベースをSQLとPL/SQLで構築していたスペインのOpenbravo社は、その環境をDB2に移行するのに、前バージョンのDB2 9.5では2年を要すると試算していた。だがDB2 9.7で再試算したところ、わずか1週間で移行できることが分かったという。

 この圧倒的な移行期間の短縮をもたらしたのは、PL/SQLのサポートや、複数のユーザーが同時に行を更新する場合にデータベースの整合性を維持する、DB2 9.7の「コンカレンシー・モデル(同時実行制御機能)」だ。「Openbravo社では、移行したアプリケーションの99%が正常に稼働した。特殊なアプリケーションでない限り、移行のスピードは落ちない」と下垣氏は語る。

 他社データベースとの互換性が担保されるということは、ユーザー企業が独自に培ってきたデータベースの構築や運用のノウハウ、開発のスキルをそのままDB2に転用できることを指す。「これで、データベース開発者が技術を習得するための障壁がなくなる」と下垣氏は話す。「データベースの構築プロジェクトで一番大切なことは、開発者のスキルや考え方だ。自分たちが獲得してきたスキルと別のスキルが新たに必要になれば、それは開発の壁になる。これをBreak Free(取り払うことが)できる」(同氏)

 DB2 9.7でサポートする言語や機能は、PL/SQLに加え、SQL PL、SQL/PSM、パッケージ、ビルトインパッケージ、JDBC、SQL Plus スクリプトと多岐にわたる。データベース開発に使われている言語や機能に広く対応したことで、ほぼすべてのデータベースをDB2に移行できるようになった。「他社製品のテクノロジーをそのまま使えることにDB2 9.7のインパクトがある」(下垣氏)

 ちなみに日本IBMはDB2 9.7の展開に当たり、「Break Free」というスローガンを標榜している。これはデータベースにおける(1)運用管理、(2)ライセンスの保守管理、(3)ディスク容量の圧縮、(4)他社製品からのデータベースの移行――という4つの課題からユーザー企業を開放することを指すもので、「導入したデータベースを使い続けなければならない」という市場の常識にメスを入れる、同社の挑戦を意味するのだという。

DB2が培ってきたオートノミック機能で「自律的」なコスト削減

 DB2 9.7の真骨頂はPL/SQLのサポートのみにとどまらない。自動管理やデータ圧縮機能など、DB2が誇るテクノロジー面の強化も図られている。

 例えば2000年代にDB2に実装され、リレーショナルデータベースの進化とともに磨きがかけられてきた「オートノミック(自律型)機能」がある。これはトランザクションやパフォーマンスに関するデータベースの運用管理を自動化する機能だ。データベース自身が問題を検知、分析し、チューニングを実行するものととらえれば分かりやすい。予期しないワークロードを検知し、メモリを再分配する「セルフチューニング・メモリー管理」機能も強化している。

 これにより、データベース管理者の運用負荷を劇的に減らせるという。ある事例によると、1分間に1万6713回のトランザクションを処理していたデータベースにセルフチューニングメモリー管理を適用した場合、毎分6万3796回のトランザクションを処理できるようになった。一方データベースの管理にはメモリやヒープの指定など、高度な管理スキルが必要になる。ベテランが上記のデータベースのチューニングを手掛けた場合、毎分6万3302回の処理性能が実現できたという。DB2は経験のあるデータベース管理者と同等の仕事を「自律的」にこなしてしまうのだ。

セルフチューニングメモリー管理の効果 セルフチューニングメモリー管理の効果

 他社製品と比較した場合も、オートノミック機能の優位性は際立つ。第三者機関の検証によると、DB2のトランザクション処理能力は他社製データベースの2〜5倍、大規模のデータウェアハウスに蓄えたデータの分析能力は1.5〜5倍を記録した。これは従来よりも少ないコストで大量のトランザクションを処理できることを指す。サーバの運用管理にはIT投資全体の7割ものコストが掛かっていると言われている。このコストを減らし、ほかの戦略的な投資に当てられるようになるというメリットは見逃せない。

実証されたパフォーマンス性能で最大の投資効果をもたらす 実証されたパフォーマンス性能で最大の投資効果をもたらす

 オートノミック機能はデータ圧縮の面でも効力を発揮する。複数の検索インデックスやテンポラリー表を自動的に圧縮する機能を新たに搭載したことで、「あるプロジェクトでは、25テラバイトのデータが15テラバイト(約40%を圧縮)になり、1億円のコスト削減につながった」(下垣氏)という成功事例も生まれた。データ管理に必要なストレージが少なくなれば、データセンターや自社で運用するハードウェアの設備投資費や冷却コストも比例して減らせるだろう。

 DB2が誇る機能面がコスト削減に効くことは既に述べた通りだが、ライセンスの価格にもこだわっている。DB2 9.7では、1CPU当たりの基本ライセンス料に、パーティショニングや管理/チューニングツールに掛かる費用、初年度の保守料金などがすべて含まれている。他社製品の場合、これらの名目は基本ライセンスとは別に請求される場合が多い。他社データベースとのランニングコストを5年間で比べた場合、その費用が約半額になる試算もあるという。

 価格はDB2が使用するメモリに応じて3段階のエディションを用意する。使用するメモリが4Gバイト以下の「DB2 Express Edition」は61万8500円(税別)、16Gバイト以下の「DB2 Workgroup Server Edition」は143万7000円(税別)、メモリの制限がない「DB2 Enterprise Server Edition」は461万7000円(税別)。6月19日にダウンロード出荷、8月28日に製品出荷を開始する。

データベース業界の常識が変わる日

ソフトウェア・エバンジェリスト 中林紀彦氏 ソフトウェア・エバンジェリスト
中林紀彦氏

 データベースを運用する企業の多くは、標準設計や開発の手順、運用管理の仕方などが決まっており、契約したベンダーのデータベースを使い続けるという選択肢しかなかった。だが日本IBMはDB2 9.7のリリースとBreak Free構想により、データベース業界の高コスト構造を変えようとしている。

 日本IBMでソフトウェア・エバンジェリストを務める中林紀彦氏は「データベースを新たにチューニングするには手間がかかるため、移行をあきらめているユーザーは少なくない。運用管理者の手を煩わせる部分を解放できる。新しいテクノロジーに挑戦してもらいたい」とDB2 9.7の可能性に期待を示す。その根拠はここでいうテクノロジー――PL/SQLへの対応や円熟味が増したオートノミック機能――にほかならない。

 2009年7月7日(火)に開催する「DB2 Star Festival 2009」では、データベース市場がこれまで歩んできた歴史を振り返るとともに、「Break Free」構想やデータベース移行のロードマップを、世界中の企業の成功事例を踏まえながら紹介する。早期にDB2への移行を行い、成果がでたユーザー企業を例に挙げ、チューニングや移行に伴う工数の比較など、技術関連のセッションも揃える予定だ。

 データベースは企業活動を支える生命線であるがゆえ、「コスト削減の最後の砦(とりで)」といわれながらもユーザー企業が改善に着手しきれていない分野だ。7月7日には、「データベースは使い続けるもの」というこれまでの常識が、地殻変動を起こすかもしれない。

 Star Festival 2009 開催概要
 日時    2009年7月7日(火) 13時20分〜(受付は12時45分〜)
 会場    ウェスティンホテル東京
 参加費    無料/事前登録制
 プログラム    プログラム一覧のページへ
 お申し込み    次のページから登録できます
IBM DB2 Star Festival 2009 開催概要

>> Star Festival 2009 特設ページ



提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年7月7日

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Star Festival 2009 開催概要
2009年7月7日(火)13時20分〜(受付は12時45分〜)

会場: ウェスティンホテル東京

参加費: 無料/事前登録制

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