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アップルがお手本、マルチチャネル統合で優れた顧客体験をSuiteWorld 2012 Report(1/3 ページ)

現地時間5月15日、サンフランシスコでNetSuiteの「SuiteWorld 2012」が開幕し、「Commerce as a Service」構想と中核サービスである「NetSuite SuiteCommerce」が発表された。ネルソンCEOは、「アップルがお手本。 CaaSでマルチチャネル統合を」と新しいSuiteCommerceを売り込んだ。

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サンフランシスコも日中は暖かな日差しが

 雨季が明けたカリフォルニア州サンフランシスコは、日中こそ春の穏やかな気候だが朝夕は霧に包まれまだ肌寒い。現地時間5月15日早朝、ダウンタウンのホテル、Marriott MarquisでNetSuiteの年次カンファレンス「SuiteWorld 2012」が開幕した。

 テクノロジーカンファレンスのメッカ、モスコーニセンターに隣接するこのMarriottホテルは、JavaOneやAppleのWorldwide Developers Conferenceのような大規模なカンファレンスが行われると、革新的なテクノロジーやアイデアを求めるデベロッパーやユーザーでごった返してきた。この日、ボールルームで行われたSuiteWorldのオープニングには、3200の顧客やパートナーが詰めかけ、新しい時代の幕開けを十分に感じさせる。参加者は昨年に比べ1.5倍に増えて満員御礼となり、セッションも100以上が用意され、財務会計、CRM、e-コマースなどのトラックに分かれ、クラウドERPによるビジネスマネジメントのベストプラクティスやユーザー事例を共有する。


会場となったMarriott Marquis。手前にモスコーニセンター、後方にはベイブリッジが望める

 サンフランシスコ郊外、サンマテオに本社を置くNetSuiteの設立は1998年。Oracleで腕利きの技術者だった創業者、エバン・ゴールドバーグ氏(現在はCTO兼会長)が掲げたアイデアは、SAPのような、当時はクライアント/サーバ型だった巨大なERPソフトウェアを規模の大小を問わずどんな企業でも低コストで簡単に使えるようにすることだった。もちろん「クラウド」という言葉もなく、そのスタートは、のちに業界の寵児となったsalesforce.comよりも約半年早かった。

 顧客企業が1万2000社に達したNetSuiteは、ERP/財務会計、CRM、e-コマースなど、フロントからバックオフィスまで、業務全体をひとつのクラウド型アプリケーションスイートでカバーするのが特徴。顧客レコードにひも付けてすべての情報を一元管理し、営業、サポート、財務会計、配送、請求書など、すべての業務を継ぎ目なく進めることができるほか、ビジネスインテリジェンス機能も提供、各種のKPI(主要業績評価指標)によって業務や経営の「見える化」を実現している。

 情報システムの専任者がいない中小企業でも短期間で導入できるほか、12の言語、170の通貨に対応しているため、大企業が海外現地法人に導入するのにも適しているという。

 昨年5月にはNECと提携、国内外に多数の拠点を展開する日本企業に、本社では既存のオンプレミス型ERPを手を加えずそのまま使いながら、各拠点にはNetSuiteを展開する「2層ERP」の提案を強化した。今回のSuiteWorldでもNECは展示フロアにブースを構え、本社のSAPと拠点のNetSuiteを橋渡しするゲートウェイソリューション「Enterprise Gateway」を北米の顧客やパートナーらに売り込んだ。

 もちろん、NetSuiteは各国各地域の税制にも準拠しており、さまざまな税制の違いに対応しながらリアルタイムで業務や経営の進捗を把握できる工夫もされている。

 「すべての企業にとってクラウドが成功のカギとなるだろう」── そう話すのは、2002年からNetSuiteを率いてきたザック・ネルソンCEOだ。ネルソン氏は、ボールルームを埋めた参加者に、最近顧客リストに加わった新興企業や伝統的な大企業を挙げ、さらに顧客ベースの拡大に自信を見せた。

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