SAPジャパンは8月29日、記者およびアナリスト向けに事業戦略会見を開いた。安斎富太郎社長が2012年上半期の進ちょく状況と今後の方針について説明した。
2012年上半期の業績に関して、SAPのグローバル全体ではソフトウェア関連売り上げが前期比で25%増の57億7000万ユーロ、総売り上げが同15%増の72億7000万ユーロだった。特に、第2四半期(4月〜6月)のソフトウェア売り上げが過去最高の10億ユーロ以上と好調だった。
SAPジャパンの上半期業績についてはどうか。データベースソフトウェア売り上げが前期比で74%増、モバイルソフトウェア売り上げが同5.3倍に、パートナービジネス売り上げが47%増となった。上半期のソフトウェア関連売り上げ総額は3億6000万ユーロ(20%増)、第2四半期では1億7100万ユーロ(25%増)だった。この数字はアジア太平洋地域の拠点の中でトップだった。「日本は高い収益を上げており、グローバル全体に対して貢献している」と安斎氏は胸を張る。
このようなSAPの好調ぶりを支える柱となっているのが、「分析」「モバイル」「アプリケーション」「データベース」「クラウド」という5つの事業領域である。主なトピックスとして、分析事業では、インメモリコンピューティング「SAP HANA」に対応するアプリケーション「SAP Business Planning and Consolidation」の提供、モバイル事業では、企業向けモバイルアプリ製品を提供するSycloの買収、クラウド事業では、今年2月に買収完了したSuccessFactorsのサービスが相次いで採用されていることなどが挙げられる。
最も大きなトピックスが、データベース事業への本格参入であろう。Sybaseとの経営統合によって同分野におけるビジネス機会が拡大したほか、富士通やIBMをはじめベンダー8社がHANAに対応したアプライアンスサーバを提供するなど、HANAがSAPの製品やサービスの基盤となりつつある。安斎氏は「HANAは全世界で500社以上、日本では30社以上に導入されており、グローバル全体の8%が日本での売り上げに当たる。これはほかの製品よりも高い割合だ」と強調する。
2012年下半期に向けた取り組みとして、同社ERP製品の基盤としてHANAを実装することや、HANAに対応したアプリケーションを開発する日本のベンチャー企業を支援すること、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)の日本市場投入およびHANAをベースにしたPaaS(サービスとしてのプラットフォーム)の投入、パートナー各社によるHANA検証センターの本格稼働など、引き続きHANAが事業全体の中核になるとしている。
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