「IoT時代のセキュリティ対策」はどうすべきか:Weekly Memo(1/2 ページ)
あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」への関心の高まりとともに、そのセキュリティへの懸念も強まっている。IoT時代のセキュリティ対策は、もはや「対症療法」では追いつかない。これを私たちは肝に銘じておくべきだ。
今後2ケタ成長が見込まれる国内IoT市場
このところ、「IoT(Internet of Things)」が一段と話題に上るようになってきた。
果たしてこの市場の広がりはどれくらいあるのか。一方で、IoTに対するセキュリティへの懸念の声も高まってきた。その対策として、何を考え、どう動けばよいのか。こうしたIoTとセキュリティの問題について、最近発表された調査結果や有識者の見解をもとに考察してみたい。
まず市場の広がりについては、IDC Japanが先頃発表した「国内IoT市場予測」(関連リンク参照)によると、2014年の売上規模は9兆3645億円。今後、年率平均11.9%で成長し、2019年には16兆4221億円に拡大するとしている。
IDCでは、IoTを「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイス(モノ)からなる、ネットワークのネットワーク(つながり)」と定義している。
その上でIoT市場を、IoTデバイスを指す「インテリジェントシステム/エッジデバイス」、ネットワーク接続を担う「通信モジュールや通信回線、通信機器」、プラットフォームを支えるソフトウェアで構成される「IoTプラットフォームソフトウェア」、収集した情報の分析を行う「アナリティクスソフトウェア」、インフラを支えるハードウェアで構成される「IoTインフラストラクチャ」、業種別アプリケーションやサービスで構成される「垂直市場ソリューション/専門サービス」、すべての領域にまたがる「セキュリティサービス」という7つのテクノロジー要素に分類し、各要素別の市場予測を行っている。(下図参照)。
このテクノロジー別要素に見た予測の全体的なトレンドについてIDCは、「IoTデバイスの売上規模は、予測期間の前半ではIoT市場全体の8〜9割を占めるが、後半ではIoTデバイスのコモディティ化が進んで7割台に下落する。それを補完する形で他のテクノロジー要素が割合を増やしていく」と見ている。
なお、IDCは国内IoT市場の予測を2014年8月に初めて発表。今回はそれを更新したものとなるが、売上規模の数値を前回予測と比べておよそ3分の2に修正している。
この点について同社は「今回の調査では、IoT関連のベンダーやユーザー企業からの聞き取り調査を基本に、可能な限り実態に沿った市場規模の算出を行ったため」としている。注目度が高まるIoTだが、現状ではまだまだ市場のとらえ方や成長スピードを予測するのは難しい面もありそうだ。
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