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NECがシンガポールに研究拠点を設立した“3つの理由”未知のソリューション開発への挑戦(1/3 ページ)

中期経営計画で「社会ソリューション事業への注力」を打ち出しているNEC。しかし、これまで半導体やデバイスを中心に開発をしていた同社は、新しいソリューションの“開発方法”が分からないというカベにぶつかった。このカベを乗り越えるカギが「シンガポール」にあるという。

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 テクノロジーを使ってイノベーションをどう起こすか――。多くのITベンダーがこの「難題」に向き合い続けている。

 ビッグデータやクラウド、ネットワークなどのテクノロジーは進化を続けているが、それをどのように革新的なサービスに結びつけていくかは、各社“これから”というところだろう。新たな価値提供やビジネスモデルを模索する実証実験が、世界中で行われていることからもそれは明らかだ。

 国内ITベンダー大手のNECも、新たなソリューションの開発に力を入れている。2013年に発表した「2015中期経営計画」で、社会ソリューション事業へ注力する姿勢を打ち出し、同年9月にグローバルソリューションの研究拠点「NECラボラトリーズシンガポール」を設立している。

 なぜシンガポールに研究拠点を立てたのか。そして、NECラボラトリーズシンガポールが目指すソリューションの形とは何か。同研究所所長の山田敬嗣氏に話を聞いた。

photo 2013年に設立した「NECラボラトリーズシンガポール」

「ソリューション開発のノウハウがなかった」

photo NECラボラトリーズシンガポール所長の山田敬嗣氏

 NECラボラトリーズシンガポールを設立した背景には、中期経営計画を基に「研究開発拠点のグローバル展開」を強め、「革新的なソリューションの研究開発戦略」を進めたいという目標がある。しかし、同社はソリューションの研究開発に対する経験が浅いという課題があったそうだ。

 「端的に言うと『どうすればいいソリューションができるか』ということが、誰も分からなかったんです。NECが今まで開発してきたのは、半導体やデバイスなどの技術開発がほとんど。ソリューション開発のノウハウはまったくと言っていいほどありませんでした」(山田氏)

 ソリューションと先端技術、両者の開発で大きく異なる点は、ユーザーニーズが開発の方向性に大きな影響を与える点だ。どんなに素晴らしい技術を使っていても、ユーザーが求めていないソリューションには意味がない。山田氏は、研究開発の方法や考え方を根本から変える必要があると語る。

 「技術ベースでソリューションの開発を行おうとすれば、人々に受け入れられないというリスクを含め、とてつもない労力とコストがかかります。これからはニーズありきで開発を行わなくてはいけません。これは技術に強い人々が常に考え続ける必要があるのです」

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