日本マイクロソフトの平野新社長が語る、変革へのビジョンと経営者の視点(1/2 ページ)
人事発表から4カ月、日本マイクロソフトの新社長に平野拓也氏が就任。具体的なビジョンや経営方針について説明した。社長に就任したことで、物事を判断するための考え方も確立したという。
社長交代人事の発表から4カ月、日本マイクロソフトの平野拓也氏が同社の代表執行役社長に就任した。社長就任と同時に、平野氏をトップとする新体制もスタート。日本マイクロソフトは7月2日、新役員体制の披露とともに、2016会計年度(2015年7月1日〜2016年6月30日)の経営方針を説明する記者会見を開いた。
平野氏が社長として掲げるスローガンは「徹底した“変革”の推進」だ。日本マイクロソフトに勤めた10年を「試行錯誤だったクラウドサービスが多くのユーザーが使うメインストリームとなり、デバイスもPCからスマートフォンにシフトするなど、ITもビジネスも環境が大きく変わった」と振り返り、日本マイクロソフトも変革を進めるべきだと強調した。
「2015年はMicrosoft創立40周年。ビル・ゲイツも創立当時は変革を掲げていたはずだが、いつの間にかわれわれはWindowsやOfficeといったプラットフォームを守ることに固執し、周囲に対して壁を作っていた」と平野氏は語る。製品/サービスのフリーミアム化や、Windows 10アップグレードの無償化など、サティア・ナデラ氏のCEO就任以降、Microsoftは変革を加速させている。日本も社長交代という“若返り”を通じて、改革を進めていく構えだ。
Microsoftは“地球上ですべての個人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにする”というグローバルビジョンを掲げているが、平野氏は「これからはデバイス中心とした考え方から、人を中心とした考え方へと変えていく」とし、“革新的で、親しみやすく、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する”という日本マイクロソフトのビジョンを発表した。
マイクロソフトが新年度に注力する3つの分野
新たなビジョンのもと、同社が2016年度の重点分野として設定したのは「インテリジェントクラウド」「Windows 10+デバイス」「プロダクティビティとビジネスプロセス」の3つだ。
平野氏は、2015年度の業績について「Windows XPリプレースといった“特需”はなかったものの、戦略的に自信を持てる進展があった」と振り返る。特にクラウド関連事業では、日本におけるデータセンターを開設したことから、パートナー企業に対して信頼性を示せたと述べた。
クラウドについては、2016年度も引き続き注力する。ISVビジネス推進本部を新設し、パートナー向けにリクルーティング、技術支援、共同マーケティングを行い、クラウドアプリの拡充も加速していく。さらに、マシンラーニングや人工知能といった技術を利用し、ビッグデータを駆使した新たな価値を提供することで、「デバイスはもっと力を発揮できる」(平野氏)という。
7月末に控える「Windows 10」のアップグレード提供開始も2016年度の大きなテーマになる。平野氏は「ユーザーに革新的なPC体験をしてもらいたい」と述べ、夏から年末にかけて順次デバイスを投入すると述べた。法人向けのWindows 10についても「BYODが進む中、デバイス管理やセキュリティの担保が問題になるだろう。Windows 10はそれらの機能については圧倒的」と強調した。
3つ目の重点分野は“ワークスタイル改革”だ。ビジネスにおけるプロセスを見直し、生産性を高める。同社は品川オフィスでの実践を通じて新しいワークスタイルの提案をしているが、2016年度は新たに4K大画面端末「Surface Hub」を25台導入するなど、最先端のワークスタイルを再構築する計画を明らかにした。テレワークについても引き続き推進する。2015年8月には、日本企業約300社が参加するテレワーク週間を実施する予定だ。
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