Windows10に無償アップグレードしない理由 パッチ更新に不満?
Windows 7/8.1は2016年7月までWindows 10に無償アップグレードできるが、大企業以外ではアップグレードにあまり積極的ではないようだ。
IT調査会社のノークリサーチは9月1日、年商500億円未満の中堅・中小企業にWindows10への無償アップグレードに関する意識を尋ねたアンケート調査の結果を発表した。無償期間中に実施する予定の企業は18.5%にとどまった。
Windows10に無償アップグレードできるのは2016年7月までで、最新状態に更新されているWindows 7および8.1が対象。大企業などで利用の多いSA契約のEnterprise版を除き、個人ユーザーを含むHomeやPro版では従来のように更新費用がかからないことから、その動向が注目された。
Windows 10への移行方針で最も多いのは「現時点で判断できない」(31.7%)。次いで多いのは「現行版の継続利用」(28.6%)だった。無償期間を問わず移行する考えの企業は回答全体の3分の1強となっている。
同社では移行しない背景として業務システムへの影響の他に、Windows 10から変更されたOSの更新方法を挙げる。Window 8.1までは、脆弱性を修正するセキュリティ更新プログラムなどが原則として毎月第2水曜日に配信され、企業では更新プログラムの適用の有無や適用する内容を選択することができた。
しかし、Windows 10では基本的に自動適用され、内容などは選択できない。Windows 10のPro版では企業用途を想定して新機能の適用時期をある程度変更したり、更新プログラムの適用に伴うコンピュータの再起動の時期を一定期間内で指定したりすることはできる。
調査では年商5〜50億円未満、同50億円以上〜100億円未満の企業とも、従来と同様に自社で適用を判断したいとの回答が最多を占めた。一方で自動適用を評価する企業は、50億円以上〜100億円未満で11.3%、5〜50億円未満で8.0%だった。
更新プログラムの自動適用については、更新漏れによるサイバー攻撃の危険を回避するために必要とする見方があるものの、最近は適用することでOSの動作に不具合が生じるなどのトラブルが多発した。
Microsoftは、Windows 10での更新プログラムに関する設定方法や、問題発生時に更新プログラムなどの適用を一時的に中止するツールなどを紹介しているが、「OSを常に最新の状態に保つ」必要性を挙げている。
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