バングラデシュ中央銀行で多額の不正送金被害、タイポ? で一部阻止
犯人がFoundationとすべきところを「Fandation」と綴ってしまったために、不正が発覚して送金が取り消された。
米ニューヨーク連邦準備銀行にあるバングラデシュ中央銀行の口座から、多額の現金が不正送金される事件が起きていたことが分かった。犯人が英語の綴りを間違っていなければ、被害額はさらに増えていた可能性があるという。米紙Wall Street Journal(WSJ)やReutersが3月11日付で伝えた。
それによると、2月5日に何者かがニューヨーク連銀のバングラデシュ中央銀行の口座から、35回に分けて総額約10億ドルの現金をフィリピンやスリランカの口座に送金するよう指示を出した。
取引は国際銀行間金融通信協会(SWIFT)のシステムを通じて、正規の銀行コードを使って行われ、フィリピンの個人の口座には8100万ドルが振り込まれた。
スリランカには非政府組織(NGO)の口座に2000万ドルを送金するよう指示が出された。しかしこの取引はマネーロンダリングの疑いがあると判断されてバングラデシュ中央銀行に通報され、送金は取り消された。
Reutersによれば、この不正が発覚したのは、犯人がNGOの名称「Shalika Foundation」の綴りを間違えて、Foundationではなく「Fandation」と綴ってしまったためだった。
犯人は他にも8億5000万ドルあまりの送金を指示していたが、こちらはニューヨーク連銀がマネーロンダリングを疑い、送金を阻止したという。
WSJによると、ニューヨーク連銀の広報は「問題の取引に関連して何者かがシステムに不正侵入しようとした痕跡も、不正侵入された痕跡もない」と説明している。
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