迅速なシステム開発・運用を目指す「DevOps推進協議会」が発足
ビジネスへの俊敏な対応を可能にするITサービスの開発と運用を目指して「DevOps推進協議会」が発足。日本IBM、NECなど6社が参画している。
「DevOps推進協議会」は8月1日、アクセンチュア、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、NEC、日本IBM、日本情報通信、ユーオス・グループの参画の下、同協議会を7月26日に発足したと発表した。
「DevOps」(デブオプス)は、Development(開発)とOperations(運用)の混成語で、開発・運用部門が連携することで迅速なシステム開発と運用を実践する手法。DevOps推進協議会は、同手法による最新の開発・運用手法や基盤の実証と、それを利用する事業がタイムリーな変革を実践できるようにするためのITサービスモデルの構築を目標にするという。
また、DevOpsの技法を体系化・標準化して公開し、DevOps手法や技術の普及と適用事案の蓄積を目指す。さらに、クラウド基盤とオンプレミスの基幹システムを含むハイブリッドクラウド環境の統合にも利用できるITサービスモデルと技法を検証するという。
具体的な活動としては、分科会を設置してDevOpsの概念に基づく手法、モデルやツールの情報を収集し、ITサービスの適用形態に応じた仮説を検証するとのこと。次に、ビジネス事案を持つ会員・非会員企業と連携して、想定するビジネス価値や目標の実現性を測定する実証実験を通じて有効性や課題点を抽出。その結果から、モデル・技法分科会は改善された手法などを再定義するとしている。
一連の活動で得られた知見は、会員向けデータベースで管理・共有し、会員が再利用して実践のDevOpsに基づくビジネスに生かせるようにするとのこと。さらに、事例研究の分科会を設置し、国内外のDevOps適用事例を研究して情報提供を行い、併せて他の分科会で取り上げる手法や、実機による検証にも反映するとしている。
DevOpsの適用領域としては、PaaSやコンテナ技術などに基づき、技術革新の速いモバイル、ソーシャル、IoT(センサー)、ビッグデータ、人工知能などを組み込んだSystems of Engagement(SoE)での開発刷新をまず試行し、Systems of Record(SoR)と呼ばれる基幹系での適用、これら両者を連携するシステムなどへの拡大を図るとしている。
ビジネス環境やIT技術の激的な変化を捉え、素早く独自のITサービスを立ち上げて競争力を高めたいという企業ニーズは多い。しかし、実際には開発と運用の両部門による連携がかみ合わず、IoT、ビッグデータ、人工知能などの最新技術をうまくビジネスに取り込めないという例も多い。同協議会の活動は、こうした現状の突破口を目指す取り組みとみられる。
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