Windows 10は単なるWindows 7の移行先? 真価を問われる2017年:Enterprise IT Kaleidoscope(2/4 ページ)
リリースから1年半が経過したWindows 10にとって、Windows 7のサポートが終了する2020年までのこれから3年間は、まさに真価を問われることになるだろう。Microsoftはどんな施策を考えているのか。
2017年に予定されているWindows 10の大規模アップグレードは、春(4月か、5月)に予定されているWindows 10 Creators Update(開発コード名:RedStone2)と、秋に予定されている開発コード名RedStone3の2回だ。特にRedStone3では、ARM版のリリースが計画されている。
かつて存在したARM版のWindows RTは、x86/x64版のWindows OSとは異なり、サブセット版といえるものだった。Win32アプリケーションが動作せず、ARM版のModern UIによるアプリケーションしか動作しない。また、Active Directoryなどのドメイン参加の機能もなかった。Microsoftは、Windows RTを搭載した「Surface RT」を発売したが巨額の赤字を抱えてしまい、2013年には在庫処分をして9億ドルの減損処理をしたほどである。Surface RT以外に、Windows RTを採用した製品はほとんど発売されなかった。一部メーカーが参考出品したり、ごく少量を発売したりする程度で、市場にはほとんど流通しなかった。
ARM対応のWindows 10という意味では、当初Qualcomm製のプロセッサに対応したWindows 10 Mobileを推進したが、結局はうまくいっていない。巨額買収をしたNokiaのスマートフォンの製造部門も2年でリストラしたり、フィーチャーフォンの製造部門をFoxcomm(鴻海のグループ企業)に売却したりした。Nokiaに関しては、スティーブ・バルマー前CEOの“尻ぬぐい”という感が強いものの、サティア・ナデラ現CEOにとって、これほどWindows 10 Mobileがうまくいかないのは、誤算だったのだろう。
Windows 10 Mobileに外部ディスプレイを接続し、Continuumで表示する。UIを見ているとPC用のWindows 10と全く同じだが、Win32アプリケーションが動作しないなど、制限は多い
こうした状況を打破するためMicrosoftは、RedStone3でx86/x64版Windows 10と全く同じ機能をARM版Windows 10で提供しようという計画を進めている。Windows RTでも問題になった対応アプリケーションの少なさに関しても、x86/x64エミュレータを用意し、ARM版Windows 10で既存のWin32アプリケーションが動くようにする計画だ。
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