「データを分析したけど、次に何をすればいいか分からない」というアナタへ:DMP成功まで、あと1センチ(9)(1/3 ページ)
DMPを導入すれば、ビジネスにつながる発見が自動的に分かると思っていた――。そんな“夢物語”を抱く人は意外と多いです。出てきたデータから「仮説」を導き出すのはあくまでアナタ。分析したけれど、次に何をすればいいか分からないと悩む人は、ぜひ読んでみてください。
前回の記事で「DMPはグルグル回すと何か出てくる魔法の箱ではない」と表現したところ、驚いた人が少なからずいたようです。「DMPはインサイトを発見するためのシステムじゃないのか?」という疑問を持った人もいるでしょう。
そう考える人たちは、1つ致命的な勘違いをしています。「分析の結果出てくるもの=インサイト」と考えていませんか? データ分析において、以下のように話す人は少なくありません。
DMP上に顧客に関するあらゆるデータを集約することで、何か浮かび上がるはずだ! と思っていました。それなのに、仮説が思い浮かばないのです。ユーザーがなぜこんな行動をするのかが分からない。これは、DMP上に集めているデータが悪いのでしょうか?
DMP自体が「結果」を出してくれるわけではない!
「30代男性は、今自分が使っているスキンケア商品に物足りなさを感じているようです」と示唆してくれるような優秀なDMPでも、その理由は教えてくれないでしょう。
連載の第1回でも紹介した通り、インサイトは「顧客を動かす“隠れた”心理」という意味です。30代男性がスキンケア商品に物足りなさを感じる理由は、例えば20代を前提としたスキンケア商品を使っていることを認めたくないからなのかもしれません。「自分の肌が歳を重ねていることを認めたくない!」という“老い”と“変化”への恐怖、これこそが隠れた心理と言えます(私のことですが)。
一方で、私たちのようなデジタルマーケティングを行うマーケターが普段接するデータの多くは、指標が厳格に定義されており、完全に数値化されています。100PV(ページビュー)も10CV(コンバージョン)も、人によって捉え方や意味が違うということはありません。
「心理」という定義付けも数値化も難しい表現を、どうしてDMP上にデータを一元管理すれば浮かび上がると思ってしまったのでしょうか。定義された「数字」に私たちは慣れ過ぎていて、DMPにデータを“喰わせれば”、ほかのツールと同じように心理が表現されると勘違いしてしまったことに間違いがあるのです。
そこで今回は、数字をベースにした「仮説作り」に関するお話をしようと思います。
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