あなたの会社の人手不足を救うロボットーー「RPA」って何ですか?:大手金融機関に100台単位で導入(1/3 ページ)
「こんな雑用やってられるか!」――職場でこう言いたくなった経験がある人は多いのでは。最近ではこうした仕事を“ロボット”にやらせる「RPA」がトレンドになりつつあるという。業務改革を推進する企業にとって“現実解”ともいえる存在になりそうだ。
「こんな雑用、やってられるか!」
職場でこう言いたくなった経験がある人は少なくないだろう。人手不足や残業削減の要請などから「より短い時間で、より多くの成果を出せ」というプレッシャーにさらされる人は増えている。
しかし、「生産性を上げましょう」と言われても、職場にはさまざまな雑務があるのも事実。「どうして自分が……」とモヤモヤしながらも手放せない、そんなタスクを誰しも抱えているのではないだろうか。
近い将来、そんなモヤモヤをロボットが解決するのが当たり前になるかもしれない。ロボットと言っても、Pepperのような物理的なロボットではなく、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ばれるソフトウェア。夢物語ではなく、導入する企業が増えつつある、まぎれもない“現実”の話だ。
2016年後半には業界団体が立ち上がったり、業務支援サービスを出てきた。2017年は「RPA」がITのトレンドワードになるかもしれない。近年はAIをはじめとするITが、人間の仕事を奪うと語られることも多いが、デロイト トーマツ コンサルティングの信國泰氏によると、RPAは仕事を奪う――というよりも肩代わりしてくれる存在になるのだという。
営業事務にロボットを導入し、2割超のコスト削減が実現
デロイト トーマツ コンサルティングでは、自社でもRPAを導入している。ロボットが行うのは営業事務の一部で、特定のメールを受け取ると、その本文や添付ファイルの内容を識別し、ExcelやSAPといった複数の業務システムを利用してデータを処理し、最後に完了報告のメールを送るという一連のステップを自動で行ってくれる。
実際にロボットが操作しているPCの映像を見せてもらったが、一般的なWindows PCのデスクトップ画面上で、メール、Excel、SAPなどの画面を切り替えながら処理が進んでいった。ロボットというよりも、透明人間が操作をしているイメージだ。
一連の作業は3分程度で終了したが、人間が行うと30分くらいかかる作業なのだという。使用している各種アプリケーションのレスポンスタイムは変わらないが、次の作業を考えたり、入力欄を探したりといったアイドルタイムや、入力ミスによるやり直し、集中力の持続性など、人間ではどうしても発生してしまうムダな時間が、ロボットの場合は一切なくなる。その結果として、作業スピードが上がるのだ。
同社では、この仕事に関わっていた10人のうち、約2人分の仕事が1台のRPAで代替できた。「今回のケースでは、導入コストは1年でペイする程度」(信國氏)だという。しかもRPAの稼働率は5%未満。まだまだ働いてもらう余地があるというから驚きだ。
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