日立、AIを活用した映像解析でリアルタイムに人物発見・追跡する技術を開発
日立製作所は、AIを活用した映像解析で、100項目以上の特徴から人物を判別・発見し、広範囲の映像から足取りを把握できる技術を開発。空港、駅といった大規模施設や街区などの公共空間での警備や防犯システムへの活用を目指す。
日立製作所は3月27日、AI(人工知能)を活用した映像解析で、性別や服の色、所持品など100項目以上の人物の特徴をリアルタイムに判別することで人物を即座に発見し、追跡可能な技術を開発したと発表した。
大規模施設や街区などの防犯カメラ映像による人物の絞り込みは、従来、服装や事前に撮影した顔の画像を手掛かりに発見・追跡する技術が開発されてきたが、似た色の服を着用している場合や、手掛かりとなる目撃情報が限られている場合、体の向きや照明の影響で防犯カメラに顔が正確に映らない場合には、人物の発見・追跡が困難だった。
同社は、人物の外見と動作の特徴を判別・検索する「高速人物発見技術」として、カメラに映った人物の性別、年齢層、髪形、服装の種類、色、所持品など、12種類100項目以上の外見に関する特徴と、歩く、走る、しゃがむなど、10項目の動作に関する特徴をリアルタイムかつ同時に判別するAIを開発。
特徴を判別する際、従来は項目ごとに異なる演算が必要だったのに対して、複数の項目を同時に判別できる演算方法を用いて、必要な計算量を従来技術比で約40分の1に削減したという。AIでリアルタイムに判別した人物の特徴情報を基に条件を指定することで、高速な人物発見を可能にしたとする。
また、同一人物の映像を抽出する「高速人物追跡技術」として、カメラに映った人物の全身画像をリアルタイムに画像解析し、数値化することで、体の向きや明るさが異なる映像でも同一人物だと把握可能なAIを開発。
AIによる画像解析結果を同社独自の高速ベクトル検索データベースに記録することで、数万人の人物画像が記録された映像の中から1秒以内で同一人物の映像を抽出できるという。今回開発したAIを用いた場合、顔画像を解析した場合と比較して同一人物の発見精度を従来技術比で3倍以上に改善した。
これらの技術を組み合わせることで、リアルタイムでの人物発見・追跡が可能になっている。
同社は今後、今回開発した技術を公共空間など、広域での警備や防犯システムに活用することで、社会の安心・安全に貢献するとしている。
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