コレ1枚で分かる「RPA」:即席!3分で分かるITトレンド
人間が行う定型的な作業を自動化する仕組みとして注目される「RPA」のメリットと、RPAがカバーする機能の範囲を3つのクラスで解説します。
この連載は
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
「RPA(Robotic Process Automation)」とは、人間の手作業による、複数のアプリケーションにまたがる操作手順を登録しておけば、その手順に従って人間に代わって自動で操作してくれるプログラムのことです。
一般的に、複数のアプリケーションを連携して処理する場合は、各アプリケーションが提供するAPI(Application Programming Interface)を介し、それらを連携させるためのプログラムを組む必要があります。しかし、このやり方では、専門的なプログラミング知識が必要なことに加え、対象となるアプリケーションのAPIを作成・公開してもらう必要がありました。
それに対しRPAは、既に使用しているアプリケーションのユーザーインタフェースで人間が行っている操作手順を登録すれば、そのまま同じように自動で操作をしてくれます。例えば、申請書登録画面に表示された項目ごとのデータを読み取り、それを他のアプリケーションに転記、拾い出したキーワードから他のアプリケーションで情報を検索して必要な項目をチェックするといった、これまで人間が行っていた操作の手順をそのまま実行してくれるのです。このように人間に代わって作業をしてくれる労働者という意味で、「Digital Labor」とも呼ばれています。
RPAは、事務処理や書類関係の作業が多い金融業界や人事・採用に関わる部署など、人間の手作業に頼る、単純だが手間の掛かる業務が多く残る業種・職種での生産性を大幅に向上させることができます。
これまで、事務処理の合理化を進め、コスト削減を図るために、海外でのシェアードサービスやBPO(Business Process Outsourcing)が使われてきましたが、現地での労働単価の上昇に加え、人材の流動性が高くノウハウが定着しないという問題を抱えています。また高齢化が避けられないわが国において、業務の生産性向上は喫緊の課題です。このような課題の解決策としてもRPAは注目を集めています。
RPAは、カバーする機能の範囲によって、3つのクラスに分けられています。
クラス1:Robotic Process Automation
「ルール処理エンジン・スクリーン収集・ワークフロー」の機能を搭載し、データ入力や複数アプリケーションの連携が必要な単純作業の定型業務をこなす。例えば、人事・経理・総務などの間接部門の事務・管理業務、販売管理や経費処理など。
クラス2:Enhanced Process Automation
「構造化されていないデータや知識の処理」をする機能を搭載し、非構造化データの収集や分析などの非定型業務をこなす。例えばログの分析、さまざまな要因を加味した売上予測、Webのレコメンド広告などの分析処理など。
クラス3:Cognitive Automation
「自然言語処理・ビッグデータ分析・機械学習」などを駆使し、大量のデータを学習して最適判断が必要な「個別最適化された業務」をこなす。例えばヘルプデスクや、天候に左右される仕入れ管理、経済情勢を加味した経営判断など。
クラス2と3については、人工知能の技術が使われ、今後、広範なホワイトカラーの業務を置き換えていくことになると考えられています。
著者プロフィル:斎藤昌義
日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィルはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら。
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