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企業のクラウド活用を「Lift & Shift」で支援――IBMクラウドならではの強みとは

幅広い企業のクラウド活用をサポートする「IBMクラウド」の強みはどこにあるのか。日本IBMが説明会を開催し、同社のサービスと戦略を語った。

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日本アイ・ビー・エム 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏
日本アイ・ビー・エム 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏

 「クラウドを活用するには、ワークロードや取り扱うデータに合わせて、アプリケーションやコンピューティング環境を組み合わせる必要がある。それに最適なのは、IBMクラウドだ」――。日本アイ・ビー・エム 取締役専務執行役員 IBMクラウド事業本部長の三澤智光氏が4月6日、3月末に米国で開催された「InterConnect 2017」での発表内容などを踏まえて、改めて日本IBMのクラウド戦略を語った。

 InterConnect 2017でIBMが発した、IBMクラウドに関するメッセージは大きく3つ。「Enterprise strong」「Built for data」「Cognitive to the core」である。

 Enterprise strongとは、企業のデジタルトランスフォーメーションを実現するために必要な、エンタープライズクラスの機能、信頼性、セキュリティを提供できることを表す。Built for dataは、IBMクラウドを使うことで、これまで企業が活用できていなかったデータまでも望むように蓄積し、活用が可能になることを示す。そしてIBM独自のコグニティブ技術を活用し、価値を提供するというCognitive to the core。これらがそろっているからこそ、企業にはIBMクラウドが最適だというのが同社の主張だ。

 企業のクラウド活用は、「Lift & Shift」と呼ぶ戦略でサポートしていく。クラウドに「Lift」して、必要なものは新しいものに「Shift」させる。

IBMクラウド
日本IBMは「Lift & Shift」でクラウド化をサポート

 まず、今あるものを「変えた方がいいもの」と「変えなくていいもの」に切り分ける。変えなくていいものは、無理にクラウド化することはせず、オンプレミスに残せばいい。ただ、リプレースのタイミングなどでクラウドに移行(Lift)する場合は、IaaSとして提供しているベアメタルサーバを活用すべきだという。ここがまずIBMの強みの1つだと三澤氏は指摘した。

 次に、既存のシステムの中で作り替えた方がいいものは、クラウドに上げ(Liftし)て、アーキテクチャーを新しいものに変え(Shiftし)、動かすようにする。パブリッククラウドを活用するなら、アプリケーションアーキテクチャはマイクロサービスをベースにしたものの方が適合性は高いので、IBMはマイクロサービスベースのものへの置き換えを推奨する。

 そして今後新しく構築するものは、クラウドネイティブで作る。これもマイクロサービスベースのアーキテクチャを採用すべきだという。こうして、適材適所でハイブリッドクラウド環境を活用していくわけだ。

 企業のアプリケーションがクラウドサービスベース、マイクロサービスベースになると、変化に俊敏に対応できる環境ができる。「どちらかというと、現在は高い可用性を担保するためにマイクロサービスベースのデザインを採用しているが、本来はビジネス単位でシステム化するような使い方がいい」と三澤氏。マイクロサービスベースのシステムに置き換えていくことで、変化に対応しやすく、継続的に改善していけるシステムになる。

IBMクラウド
IBMクラウドを活用する際にはマイクロサービスベースでアプリケーションを構築していくのが最適

 なお、オンプレミスに残すものについても、そこに保存されているデータは活用する必要があるので、速いスピードで進化していくフロントエンドサービスに追随できるよう、APIを用意してクラウドでも活用できるようにすることが重要だという。

 継続的な改善のサイクルを、スピード感を持ってサポートしていくため、IBMでは開発からテスト、デプロイ、運用のプロセスを管理しやすい「Cloud Automation Manager」の提供を開始した。これはAWSやMicrosoft Azure、オンプレミスなど、作成したアプリケーションをどの環境にデプロイをするのが一番効率的か、という判定をしてくれるものだ。

Cloud Automation Manager
ワークロードなどから最適なデプロイ先をアドバイスしてくれるCloud Automation Managerも提供。IBMクラウド以外の選択肢も提示してくれる

 マイクロサービスベースのアプリケーション作成がスムーズに行えるよう、DevOpsでの開発に必要なさまざまなツールをシームレスに組み合わせられる「Open Toolchain」も提供している。Open Toolchainは、従来の開発スタイルをある程度踏襲できるため、一般の企業がクラウドネイティブアプリやマイクロサービスアーキテクチャを取り入れたアプリ開発のハードルを下げる役割を担う。

Open Toolchain
アプリケーション開発には、使い慣れたツールとIBMが推奨するツールを自由に組み合わせて活用できるOpen Toolchainの活用を推奨

 クラウドプラットフォームの選択肢は、Bluemix Public(クラウド/マルチテナント)、Bluemix Dedicated(クラウド/シングルテナント)、Bluemix Local(オンプレミス/シングルテナント)と豊富にそろっており、用途やデータの種類などに合わせて最適なものが選べる。最近では、クラウド上で重要なアプリケーションを動かしたいとき、パッチを当てるタイミングなどを自分でコントロールしたいという考えを持つ顧客が多いことから、パブリッククラウド内でシングルテナントを提供する「Dedicated」のニーズが高いという。「これが提供できるのもIBMならではだ」と三澤氏は話した。


パブリッククラウドからオンプレミスまで、幅広い選択肢を用意し、企業のクラウド化をサポートする

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