AI活用に挑むIDOM、データドリブンな組織をどう作ったか(1/3 ページ)
中古車買い取り大手のガリバーを運営する「IDOM(イドム)」は、人工知能をはじめとした、先端テクノロジーに果敢にチャレンジし続けている。その背景には、経験や勘がほとんど入らないデータドリブン経営、そしてそれを支える「企業文化」があった。
「Gulliver」。黄色を基調として緑の文字で書かれた看板は、クルマ好きの人ならば知っている人は多いだろう。中古車の買い取りおよび販売を行うサービスだ。その運営会社であるガリバーインターナショナルが2016年7月に社名を「IDOM」に変更した。自動車の買い取り販売を進めてきた同社は、事業の多角化を推進しており、これからもさまざまな事業に「挑む」という意味が込められている。
そんな同社だが、データ活用の分野でも、さまざまなチャレンジを行っている。IDOMにおけるデータ活用の今と今後について、デジタルマーケティングセクションのセクションリーダーである中澤伸也氏に話を聞いた。
顧客のニーズを知り、利益を最大化するためにデータを使う
IDOMの主力事業、Gulliverは車の買い取りと販売が中心だが、どちらにしてもWeb上で完結することはなく、最後はユーザーが店舗に行くことになる。そのため、デジタルマーケティングの役割はO2Oを前提としたオンライン集客を行うことにある。
「街中の店舗にふらっと立ち寄る方と、Web広告などを見て店舗に来る方は同程度の比率です。Webで集客し、コールセンターが実店舗へと誘導、そして店舗で商談を行うことでビジネスが成立します。どんなにWebが発達しても、最後は店舗なのでO2O(Online to Offline)が前提の構造となっています。そのため、Web、コールセンター、店舗の3カ所それぞれで生成されるデータを統合して分析しています」(中澤氏)
IDOMが行うデータ分析は大きく分けて2種類に分けられる。まずは「購入理由の解析」だ。Webやコールセンターなど、店舗での購入に至るまでの接点が多いため、ユーザーがどのような道筋をたどったのかを解析している。
もう1つは「利益最大化の解析」だ。自動車の販売には車自体のコストがあり、キャンペーンや広告媒体にもコストが発生している。もちろん、こうした宣伝が売上につながるわけだが、コストを抑えて利益を最大化するための解析も重要視しているそうだ。そのためにはWeb、コールセンター、店舗の間でデータをやりとりすることが重要だという。
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