IoTで熟練技術者の技をデジタル化、技能伝承を支援――ダイキンと日立が共同実証
ダイキン工業と日立は、IoTと画像解析技術を活用し、製造現場のノウハウをデジタル化するシステムを、空調機製造のろう付け作業に導入。実証を進め、品質の安定化や生産性の向上、人材育成につなげていく。
ダイキン工業(ダイキン)と日立製作所(日立)は、IoTを活用し、熟練技術者の技能伝承を支援する次世代生産モデルの確立に向けた共同実証を開始する。
2017年10月より、ダイキンの滋賀製作所の空調機製造における「ろう付け」のプロセスに、日立のIoTプラットフォーム「Lumada」の画像解析技術などを用いて、熟練技術者と訓練者の技能をデジタル化し比較、分析する「ろう付け技能訓練支援システム」を導入する。ダイキンと日立は共同で、同システムを用いた生産モデルの実証を進め、2017年度中に製造現場での本格運用を予定している。
ダイキンでは、国内外の生産拠点における品質の向上、平準化のため、空調機の製造に欠かせないろう付けや旋盤、板金加工、アーク溶接などを基幹技能として、技術者の育成や熟練技能の伝承に長年にわたり取り組んできたという。
日立は、熟練者の技能を効率的に伝承するための支援として、現場作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を検出する画像解析技術を応用し、熟練技術者と訓練者の技能を定量的にデジタル化し比較、評価する手法を活用。ダイキンの協力の下、空調機製造のろう付けプロセスにおいて、作業者の動作や工具の使い方などをデジタル化、モデル化する検証を行ってきた。
検証では、ろう付けプロセスで収集したデータを、現場作業で重要とされる「4M(Man:人、Machine:設備、Material:材料、Method:方法)」の観点から解析。その結果、作業者の動作や現象をデジタル化、モデル化したシステムを製造現場に適用する見通しを得たとし、今回、熟練技術者と訓練者のろう付け作業の違いを定量的に評価、解析するろう付け技能訓練支援システムを構築した。
10月から行う同システムの実証では、ろう付け熟練技術者の手の動きや、トーチの角度、角速度、ろう材と母材の供給角度、距離など、動作や母材の温度変化をカメラやセンサーで時系列に収集、デジタル化し、標準動作モデルを構築する。
また、訓練者がろう付け作業を行う際の動作や現象を収集、デジタル化し、熟練技術者の標準動作モデルと統計的に比較する。これを活用することで、訓練者は、熟練技術者を手本としたろう付け作業の定量的な評価が可能となり、より短期間での技能習得や作業の標準化、レベル向上を図れるようになるという。
本共同実証で得た成果をベースに、ダイキンと日立は、ろう付け作業の統一基準を定めてグローバル生産拠点に展開するとともに、監視制御システムや生産設備の情報と統合して解析することで、さらなる品質改善や生産性向上、熟練技術者の育成につなげていく。
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