ちっちゃいけど大人向け――「ちびたまごっち」の大戦略

「ちびたまごっち」は、学生時代、初代たまごっちにハマったOL層に、新しいたまごっちシリーズを認知してもらうための戦略商品だ。

» 2005年04月26日 20時58分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「初代たまごっち世代の人たちに振り向いて欲しくて」――バンダイが4月28日に発売する「ちびたまごっち」のターゲットは、初代たまごっちのメインユーザーだった20代半ばのOLだ。昨年発売した「かえってきた!たまごっちプラス」シリーズで取りこぼしたOL層をカバー。たまごっち復活をアピールする。開発・販売戦略全体は、「CTO」(チーフたまごっちオフィサー)が統括。大量の在庫を抱えて経営を圧迫した初代の二の舞を演じぬよう、生産・販売ペースを慎重に決めていく。

 初代たまごっちが発売されたのは1996年。当時の女子中高生――今の20代半ば――に人気となり、合計4000万個を販売する大ヒットとなった。たまごっちが“復活”したのは、8年後となる2004年。「机の奥から偶然初代たまごっちを見つけたので、ひさしぶりにやってみたら楽しかった」――そんな話を数人から聞いたのがきっかけだったと、ちびたまごっち開発者のトイホビーカンパニーガールズトイ事業部オリジナルチーム村瀬和絵サブリーダーは振り返る。

 「せっかく復活させるのだから新たな機能を追加しよう」と、たまごっち同士の通信機能を付加。第1弾の「かえってきた!たまごっちプラス」を3月に、携帯電話との連携機能も加えた「祝ケータイかいツー!たまごっちプラス」を11月に発売し、国内累計で250万個を出荷するヒットとなった。しかし「メインユーザーは、小学生とその母親」。初代たまごっちにハマったOL層にアプローチできていないという課題が浮かび上がった。

 調査した結果、OL層は、たまごっちが復活したことすら知らない人が多いと分かった。また、仕事が忙しくて世話する時間がなく、たまごっちがすぐに死んでしまうという声や、ミニゲームは携帯電話の内蔵機能で十分、という意見もあったという。

 OLに振り向いてもらうため、まずサイズを小さくし、携帯電話のストラップとしてアクセサリー感覚で使えるようにした。「携帯電話とたまごっちを別々に持つのは面倒だが、携帯電話の近くに常に置いておけば、自然に持ってもらえる」。“ストラップサイズ”にするため、「おもちゃとしてはかなりアクロバティックに小さくした」。サイズは初代の3分の2の、35(幅)×18(奥行き)×40(高さ)ミリ。デザインは、初代ユーザーに懐かしんでもらえるよう、あえて昔のものと同じにした。

初代たまごっちとのサイズ比較。パッケージデザインも同じにした

 初代たまごっちは、8つのコマンドからお世話の種類を選ぶ必要があったが、ちびたまごっちはボタンを押せば、今やるべきお世話が2択で出てき、どちらかを選ぶだけでお世話完了。ちょっと世話をサボっても簡単には死んでしまわないようにし、手軽に遊べるようにした。

 販売はコンビニと、一部の雑貨店に限定する。たまごっちシリーズの主要販売チャネルだった玩具店ではあえて売らず、OLが足を向けやすい場所に的を絞った。値段も「1500円や1300円では、コンビニで気軽に手にとってもらえない」ため、1050円(税込み)に抑えた。

 「1度プレイすると、面白いと感じてもらえる」――ちびたまごっちを契機に、OL層にたまごっちシリーズの復活を知ってもらい、たまごっちプラスや、今後発売する新作の拡販につなげたい考えだ。ちびたまごっち購入者向けに、抽選でたまごっちプラスをプレゼントするキャンペーンも実施。セブンイレブンでは、ちびたまごっちと一緒にたまごっちプラスの限定バージョンを販売し、新しいたまごっちシリーズをアピールする。

食事や散歩などのお世話してあげると、たまごっちが液晶画面内でさまざまな形に成長する

「CTO」が戦略統括、初代の二の舞防ぐ

 初代たまごっちは、偽物が出るほどの大ブームになったものの、ブーム後期に過剰な在庫を抱え、同社の経営を圧迫した経緯もある。村瀬さんは「過去の反省を生かし、需要予測は正確に行うようにしている」と話す。

 たまごっち復活にあたり、同社は幹部1人を「CTO」(チーフたまごっちオフィサー)に任命。月1回の「たまごっち会議」で各部署の担当者を一同に集め、戦略全体を統括する。「たまごっち会議には、開発、営業担当から知財担当まで集まり、販売状況やユーザーの反応、ライセンス管理の情報などを報告し合う」――開発・生産担当者が、販売状況をリアルタイムで把握できるようになり、過剰在庫をかかえるリスクを低減できたという。

 現在村瀬さんは、次のたまごっちシリーズを企画中。「携帯電話との連携をやってしまった後だから、新たなアイデアを出すのが難しい」としながらも、面白いたまごっちにしたいと意気込む。

「順調に売れたら、オリジナルデザインのちびたまごっちも発売したい」と村瀬さん

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」