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2005/06/30 14:58 更新


劇場映画「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」公開間近! 脚本家・會川昇氏を直撃取材

劇場版映画「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」の公開が約1カ月後に迫った。昨年、テレビアニメシリーズが大好評のうちに放映終了したが、劇場版ではその続編が描かれるとあって、大きな話題を呼んでいる。そこで、アニメシリーズと劇場版両方の脚本を務めている會川昇氏に、劇場版の見どころなどをうかがってみた。

ふたつの世界に隔てられた兄弟は再会できるのか……!?

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 アニメシリーズの最終回で、我々が暮らしている「現実世界」に飛ばされてしまったエド。彼が辿り着いたのは、西暦1923年のミュンヘンだった。錬金術を使えなくなってしまったエドは、元の世界に戻るべくさまざまな方法を模索する。そして、そこで出会ったアルにそっくりな青年アルフォンス・ハイデリヒの協力を得て、科学の粋であるロケット工学の力で故郷へ帰ろうと試みていた。だが、なかなか手がかりはつかめず、焦燥を募らせる。そんなエドの前に、意外な形で道が開かれた。それは理想郷「シャンバラ」を求める者たちの暗躍だった――。

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「錬金術世界」へと戻る方法を模索するエド。しかし、その手がかりすらつかめず、苦悩の日々を過ごしている

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その一方、錬金術の腕を一から鍛え直したアルも、兄と再会する方法を探して奔走していた

思いは違えど目的はひとつ。エルリック兄弟の思いを描いた脚本家・會川昇氏インタビュー

―― 劇場版の制作はいつ頃から始まったのでしょうか?

會川 テレビアニメシリーズの1クール目が終わった時点で、すでに劇場版を作るという話は出ていました。実際に制作に取りかかったのは、アニメが終わってからすぐです。アニメの最終回から劇場版公開まで約9カ月経つので、皆さんはずいぶん間が開いたように感じるかもしれません。でも作り手である我々にとっては、むしろかなりの急ピッチで作っていたんです。

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―― 劇場版ではなぜアニメの続編を描こうと思われたのでしょうか?

會川 当初からテレビシリーズの合間にあった別エピソードを作る、という線はまったく考えていませんでしたね。テレビシリーズのラストは、最終回としてあまりにも完結しているので、エドたちの別のエピソードを作るわけにもいかない。だから、あの話の続編を作るという構想は、ある意味必然だったと思います。

―― 劇場版でのエドとアルはどんな状況に立たされているのでしょう?

會川 エドが「現実世界」に飛ばされてから2年が経過しています。その間も元の世界に戻るため努力はしていたんですが、もうやるべき事はほとんどやり尽くして、どうやっても帰れなさそうだと諦めかけているところから始まります。一方、アルは錬金術をまた修行し直して、「錬金術世界」にいた当時のエドを超えるほどの錬金術師になっているんですね。

 兄がどこかで生きていることを確信しているアルは、再会する方法を彼なりに模索している最中です。そういう意味では、ふたりの感情面でのスタート地点は違いますね。ただ、エドの方にある事件が起こって、元の世界に帰れるかもしれないという可能性が出てくるんです。そして、それをきっかけに物語が大きく動いていくことになるんです。

テレビシリーズを知らない人も楽しめる作品を

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―― 本作を手がけるうえで目指したことは何でしょうか?

會川 今回僕が目標としたのは、「テレビシリーズの続き物」ではなく「1本の映画として楽しめる作品」です。そういう意味では、テレビシリーズで人気があったキャラクターがそれぞれ活躍するという作り方ではなく、あくまでもエドとアルふたりの物語という面にこだわりました。別々の世界に引き裂かれた兄弟が再会するために奮闘するというお話であれば、この劇場版で初めて「鋼の錬金術師」に触れるという人でも楽しめると思うんです。

 また、テレビシリーズのファンの方々にも満足していただけるように、ロイなどの人気キャラクターにも見せ場を用意していますよ。一見さんにもファンの方にも満足してもらうという、本来は相反することをやってみたんですが、自分としてはうまくできたんじゃないかなと思います。

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ロイやリザ、そしてアームストロングといった人気キャラクターたちの活躍も期待できそうだ。あれから2年後の彼らがどう変わったのか、要注目!

―― ところで、「現実世界」には「錬金術世界」にいた人物とそっくりなキャラクターもいるようですが……?

會川 ふたつの世界はお互いにパラレルワールドになっているんですが、似た人物を登場させることで、それを表現しているんです。だから、ミュンヘンには成長したアルに似た人がいるし、死んだはずのヒューズに似た人もいるんです。また、ミュンヘンがパラレルワールドであることを知りながらも、死んだ人間や成長した弟を目にして、エドが「どうしてもここが現実の世界とは思えない」と思ってしまう心理を説明したかったんですよ。

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「現実世界」には「錬金術世界」で顔見知りだった人にそっくりな人の姿が……。その中には、死んだはずのヒューズに似た人物も!!

―― 本作を描く際にもっともこだわったことは?

會川 大切にしようと思ったのは、1923年のミュンヘンとそこに生きている人たちの描写の仕方です。現代の我々の視点ではなく、当時の人々の視点で世界を描きたかった。そのために、家にある当時の映画のDVDなどの資料に目を通して、できるだけ当時生きていた人々の感覚に近い視点で描くということにこだわりましたね。

―― それでは最後に、公開を心待ちにしているファンにメッセージを。

會川 映画というものは、ゲームのように何十時間も楽しめるわけではないし、遊園地のアトラクションのようにインパクトのあるものではありません。なのに、上映時間+出かける準備+移動時間+etc……と考えると、ほとんど半日近くかかってしまいます。ですが、映画はその労力に見合うだけの価値があるエンタテイメントの頂点のひとつだと思います。そして、「鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」もそれにふさわしいものになっていると思います。だから、ぜひ「映画館で観る」という体験をしていただきたいですね。

  • 「劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者」
  • 7月23日 全国松竹・東急系で公開
(C)荒川弘・HAGAREN THE MOVIE


[福西輝明,ITmedia]

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