正しい夏の過ごし方――「流行り神 Revenge」で身も心も震えよ(2/2 ページ)
オカルトマニアでも満足できるストーリー
本作はアドベンチャーゲームである以上、ストーリーを書いてしまうと楽しみが薄れてしまうため詳しい話は避けるが、オカルトマニアを自認する筆者でも十分に楽しめる内容に仕上がっていた。
各話ごとに話の中心となる怪奇現象があるのだが、最初の4話は選択肢によって、オカルト面・科学面のどちらかでアプローチしていくことになる。が、どちらの話で進めていっても、十分に納得できる結末がきちんと用意されていたのには感心した。こういったストーリーは一朝一夕で創られるものではないので、綿密な下調べがあったに違いない。
特に、あまりオカルト知識のない人が書く怪奇現象話は、内容の薄さがすぐにバレてしまうもの。しかし、本作にはそういう部分は一切見受けられなかった。これならばマニアの方でも、十分にストーリーを堪能できるだろう。
また、随所に恐怖感をあおる演出が挿入されているので、プレイしていてドキッとすることもしばしば。ただし、常に怖さがまとわりついている訳ではなく、油断しているときにちょっとだけ脅かされる、といった感じだ。よほどの恐がりさんでなければ、問題なくプレイできるだろう。このあたりの、微妙なバランスの取り方も、感心する部分が多かった。
さまざまな改良が施され、遊びやすくなったことは間違いない
実際にプレイしてみると、昨年発売された「流行り神」(以下前作と略)と比べて、非常にプレイしやすくなっていた。
アドベンチャーゲームは、同じ文章を何度も読み返すことになるのが普通だが、その際に重要となるのが既読スキップ。前作ではこれが遅く、同じシナリオをプレイし直すのが苦痛だったが、今回は非常に速いスピードでメッセージを飛ばしてくれる。
前作をプレイした人はもちろん、話を聞いて尻込みしていた人にも、これなら安心して勧められる。とはいえ残念なのが、スクロールや文字を表示する際に演出が入るところでは、スキップが遅くなってしまうこと。2回目以降のプレイでは、スキップ中の演出は全面的にカットしてほしかった。
他にも、一度選んだ選択肢には“済”のマークが着くため、既読率100%を目指しやすくなったのもうれしい配慮だ。だからといって本作が簡単にクリアできるわけではなく、きちんとフローチャートを書きながら進めないと、何度も同じストーリーを追うことになるかもしれない。それでも、二昔前のアドベンチャーゲームと比べれば、難易度は雲泥の差。あの当時ゲーマーだった人だと、親切過ぎてヌルく感じてしまうかもしれない。
もう一つ気になったのが、話同士のつながりがそれほど濃くないので、今ひとつ盛り上がりに欠ける点だ。あくまでも個人的な希望なのだが、少しずつ話が盛り上がっていき、最後の隠しシナリオで裏世界を牛耳る人物が登場する、などという展開なら良かったのに……と、ベタなことを考えてしまった。
いくつか謎のままに終わってしまった事もあったので、ぜひとも続編を発売して、完全に解決してほしいところ。正直な話、重要なところが伏せられているので、気になって仕方がないのだ(笑)。結局ははまっているわけだが。
とはいえ、こういったオカルトもののタイトルは、プレイする人を選ぶのもまた事実。特に本作は、かなり本格的にオカルト方面に突っ込んでいるシーンもあるため、濃い話が苦手だという人にはあまりお勧めできないのが残念だ。逆に“自分はオカルトマニアだ”と思う人ならば、のめり込むことは間違いないだろう。
前作をプレイした人ならば感動するぐらい、スキップが早くなっている。これならば、何度もプレイする気になれるというもの
他の廉価版ソフトにも見習ってほしいタイトル
このところ、発売から1年が経過したということで、値段だけを下げて売られるゲームが多い中、前向きな改良を加えつつお得な価格で再登場した本作の姿勢は、間違いなく賞賛されるべきだろう。
発売済みのゲームを、ただ値段を安くしてもう一度売ること自体は否定しないが、その際にはユーザーから寄せられた意見を反映して、若干の改良ぐらいは施してほしいもの。そういう意味では本作が、他の廉価版ソフトに多大なる影響を与えてくれることを願ってやまない。
流行り神 Revenge 警視庁怪異事件ファイル | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | 日本一ソフトウェア |
ジャンル | ホラーアドベンチャー |
発売日 | 2005年7月14日 |
価格 | 2940円(税込) |
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