おバカでド派手なノリに期待も高まる。すごすぎるよ、戦国時代
アクションゲームの老舗であるカプコンが新たに送り出した、歴史ジャンル作品「戦国BASARA」。実在の戦国武将を操り、天下統一を目指す3Dアクションだが、そこはカプコン、ただの戦国ものにはしていない。奇抜にアレンジしたキャラクターと鮮烈なビジュアルが見る者の度肝を抜く、インパクト抜群の1本だ。
常識の通用しないバサラな世界観
「バサラ」(婆娑羅)とは、派手で奇抜な振る舞いや、常識にとらわれない自由奔放な様子を指した言葉だが、「戦国BASARA」は、まさにその言葉通りの作品となっている。
このゲーム、基本的には、戦国時代を舞台に天下統一を目指す武将たちの物語である。が、その武将たちの扱いがとにかくすごい。どの武将も戦国時代らしからぬスタイリッシュないでたちに身を包み、スーパーヒーロー顔負けの超人として描かれているのだ。
そんな戦国BASARAの世界観は、まず、なんといっても、オープニングムービーで見せつけられる。ノリノリなT.M.Revolutionのテーマ曲が流れる中、2本の槍を振り回して炎を巻き起こす「真田幸村」と、旋風とともに両手で6本! の刀を振るう「伊達政宗」。
戦場で相まみえた2人が激突すると、高性能爆弾もかくやという大爆発が発生し、周囲の雑兵たちを吹き飛ばしていく。「ありえねーよ!」と、思わずツッコミを入れずにはいられないが、このおバカでド派手なノリに、嫌が応にも期待は高まっていくのだ。
また、オープニングには、アニメーションバージョンもある。こちらは、現代の東京の街角にたたずむ武将たちの姿が描かれた、やはり風変わりな内容だ。しかも、製作を担当したのは、「サムライチャンプルー」のマングローブということもあって、クールでスタイリッシュなビジュアルは折り紙つきだ。
熱くてクールで時に笑える、バサラな武将たち
そんなわけでこのゲームは、第1にキャラクターに注目である。最初にプレイヤーキャラクターとして使用できるのは先に述べた伊達政宗、真田幸村のほかに、「織田信長」、「濃姫」、「武田信玄」、「上杉謙信」の6人だが、ゲームを進めるうちに、「森蘭丸」、「明智光秀」、「前田利家」、「まつ」、「猿飛佐助」、「本多忠勝」、「島津義弘」、「かすが」、「いつき」、「ザビー」の10人も使えるようになる。
そして、この16人、どいつもこいつもかなりブッ飛んでいる。伊達政宗は、片手に3本づつ刀を持って振り回す「六爪流」の使い手。なぜか英語をよく使い、ヤンキー風味でタイマン上等な感じ。
「デビル メイ クライ」のダンテばりに二丁拳銃を撃ちまくる濃姫は、ガトリングガンで敵を薙ぎ払うし、死神のような大鎌を得物にしている明智光秀は、相当イッちゃってる感じのサディストだ。
そして、本多忠勝に至っては、明らかにロボ。モビルスーツみたいな起動音を上げながら動き、背中のブースターでホバー移動し、ドリルやキャノン砲で攻撃する。すごすぎるよ、戦国時代。
ちなみに、かすが、いつき、ザビーはオリジナルのキャラとなる。かすがは、上杉謙信に仕える金髪くノ一。彼女が耽美な謙信に一目で魅了される、笑えるムービーは必見。いつきは、農民代表で一揆衆のリーダー。こゆいメンツの中にあって“萌え”を担当(?)している。
ザビーは、某歴史上の人物が元ネタなのではないかと思われる宗教家だが、もはや原型を留めていない変人教祖様だ。ザビー教なる怪しい宗教を日本に広めるために活動する。
また、プレーヤーが使える武将以外にも、「徳川家康」、「長曾我元親」、「北条氏政」、「毛利元就」、「今川義元」の5人が、乱世のライバルとして登場する。いずれもプレーヤーキャラに負けない個性的なキャラクターとなっているほか、敵味方それぞれの配下や仲間として、やはり実在の武将が多数登場し、戦場で行動する。彼らには、それほど強烈な個性は与えられていないが、戦国武将ファンにとってはニヤリとできる要素のひとつだろう。
天下人を目指し、バサラな戦いが始まる
さて、そろそろ実際のゲーム内容について触れてみよう。
ゲームモードには、覇権を賭けて他の武将たちと戦う「天下統一」モードと、好きなキャラクターを好きな戦場で活躍させる「自由合戦」モードのふたつがあるが、メインとなるのは、やはり天下統一モードだ。
ここでは、日本が15のエリアに分けられており、それをすべて自軍の領土とすることを目指す。自国に隣接したエリアへと攻め込むことができるが、キャラクターによって最初の領土が決まっているので、天下統一までの流れは、それぞれ異なってくる。
また、自国以外の国も互いに争っているので、各地の勢力図も次第に変化していくことになる。そのため、苦手な武将との戦いをなるべく後にまわして、他の武将に滅ぼされるのを待つ、といったこともできるのだ。
そして、攻め込む相手を決めたら、いよいよ合戦だ。基本的には、マップ最奥部にいる敵の大将を倒せばクリアとなるが、国によっては、逃げる伝令兵を追いかけたり、自陣へ突撃してくる騎馬隊を迎撃したりといったイベントが発生することもある。これらのイベントの成否によっては、敵将の位置が変化したり、最悪ゲームオーバーとなってしまうこともあるので、なかなかにスリリングだ。
なお、各キャラクターとも、さまざまな効果を持つアイテムを3つまで身につけておくことができるのだが、このアイテムの選択によっても、各国での戦いやイベントの難度が変わってくる。まさに、敵を知り己を知れば百戦危うからず、というわけだ。
戦場という舞台で、バサラな大立ち回りを演じろ
合戦では、全体マップを見つつ戦場を移動し、敵を倒していく。ザコを無視して大将をすぐに狙いに行ってもいいが、ステージクリア後には、経験値によるレベルアップがあるので、なるべく多くの敵を倒していったほうが、のちのち有利だ。
さらに、戦場各所には、アイテムの入った箱が設置されていたり、箱を背負った敵兵などがいるので、これらを攻撃して、アイテムを入手することができる。箱の中からは、その場で役に立つ回復アイテムなどのほかに、ステージクリア後に装備アイテムが手に入る「玉手箱」が出ることもある。
また、そうしたアイテムは、敵を一定数倒したり、名のある武将を倒したりした場合にも出現する。つまり、敵を倒せば倒すだけ、キャラクターを強くしていくことができるというわけだ。
それに、敵の雑兵は簡単に倒すことができるので、数が多いからといって恐れることはない。固まっている所へ突っ込んでいって、何度か武器を振るえば、10人程度まとめて倒すことができる。
敵の中には、飛び道具を撃ってくる者や、防御不可能な攻撃をしてくるものなどもいるので、気を抜くわけにはいかないが、間合いの取り方などに気を配っていれば、そうそう苦戦することはない。
そして、さらなる大軍が押し寄せてきた場合でも心配は無用。通常の攻撃よりも強力で、爽快で、なにより格好いい「固有技」と、さらにその上を行く「バサラ技」があるからだ。
これぞ真髄。ド派手な技でバサラに決めろ!
「固有技」というのは、キャラクターごとに用意されている特殊な攻撃で、ボタンひとつで簡単に何度でも出すことができる。最初は各キャラクターが2つずつ持っているが、レベルを上げることで、種類はさらに増えていく。
より多くの敵をまとめて薙ぎ払えるものや、遠くの敵を攻撃できるもの、広範囲の敵の動きを止めるもの、中には、体力を回復できるものなどもある。いずれも強力で個性的な技なので、使いどころを把握してうまく活用していけば、戦いを楽に進めるだけでなく、武将たちの活躍を、よりスタイリッシュに演出することができる。
ただし、一度の戦いで使えるのは2種類までなので、どの技がどんな場面で役に立つのかを考えて選んでいく必要があるだろう。
そして、そんな固有技よりも、さらに派手で強力なのが「バサラ技」だ。これは、各キャラクターがひとつずつ持っていて、使用するには「バサラゲージ」というゲージが満タンになっていなくてはならない。バサラゲージは、時間の経過によって自動的に増えていくほか、敵を攻撃したり、逆に敵に攻撃を受けたり、あるいは、特定のアイテムを取ることで増加する。
そのため、いつでも自由に使うことはできないが、その分、効果は高く、一定の間、広範囲に強力な攻撃を行い続けることができる。また、バサラ技が発動している間は、キャラクターが無敵状態になるため、防御面で活用できる点も魅力。もちろん、使うタイミングは選んだほうがいいが、バサラゲージは比較的早く溜まるので、あまり出し惜しみするのもよくない。思い切りよく使っていこう。
目指すは敵将の首。バサラな武将同士が雌雄を決する
合戦の最後に待っているのは大将戦だ。敵軍の本陣へと乗り込み、敵将を打ち倒せば、そのステージはクリアとなり、自軍の領土を拡大することができる。
しかし、大将戦とはいっても、一騎打ちというわけにはいかない。敵将は多くの兵士たちによって幾重にも守られているからだ。そして、この時ばかりは、雑兵たちの存在がばかにならない。
敵の武将と雑兵を同時に相手にしてしまうと、敵武将の動きが非常にわかりづらくなり、強力な攻撃を何度も受けてしまうことになりかねないのだ。そのため、できるだけ雑兵を先に排除することを考えて戦っていく必要がある。
だが、敵将と1対1になったとしても、やはり安心はできない。相手の多くは、プレーヤーキャラクターとしても使用できる武将である。その強さは、プレーヤーが一番実感できるはず。ザコ戦の時のように勢いに任せず、まずは相手の攻撃を防御し、その後の隙に連続攻撃を加えるなどして、慎重に戦っていこう。もちろん、バサラ技を使うのにも躊躇はいらない。
それでもピンチになった時は、一旦退却するのもアリだ。大将戦が発生したあとも、ステージ内は自由に移動できるので、上手く相手を撒いて安全な場所まで逃げたり、離れた場所にあるアイテムを取りに行ったりということも可能なのだ。いろいろな要素を考慮して、有利に戦いを進めていきたい。
歴史に興味がなくても大丈夫。だってバサラだから
そんなわけで、この「戦国BASARA」、ひとことで言えば、とにかく爽快な作品である。操作はシンプルだし、ゲーム中にも複雑な要素はほとんどない。たったひとりで群がる敵をバッタバッタとなぎ倒していく快感を味わうことができるのだ。
かといって、単純すぎるというわけでもなく、難易度の選択や、やり込みプレイによって、アクションゲームをやり慣れた人でも、充分以上に楽しめる内容となっている。プレイ時間も、1キャラあたり2時間もあれば天下統一できてしまうので、手軽に遊ぶにしろ、やり込むにしろ、悪くないバランスだ。
また、戦国時代をモチーフにした作品ではあるが、どの武将も極めて荒唐無稽にキャラクター化されているので、歴史に関して知識や興味のない人間でも取っつきにくさは感じないだろうし、逆に、そういった方面に興味を広げるきっかけになるのではないかと思う。
ただ、難を言えば、何度も繰り返し遊ぶゲームだけに、各武将ごとに内容の差異をもう少し与えてもよかった気はする。あと、2P同時プレイなんかもできれば面白かったかも。
とはいえ、アクションゲームが特に嫌いでなければ、充分にオススメできる作品だ。当然、歴史好き、戦国時代好きには、是非プレイしてもらって、あまりに突飛なキャラクターと化した戦国武将たちの活躍を楽しんで欲しい。
戦国BASARA | |
対応機種 | プレイステーション 2 |
メーカー | カプコン |
ジャンル | スタイリッシュ英雄アクション |
発売日 | 発売中 |
価格 | 7140円(税込) |
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