「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」について開発者はかく語りきヴェネチア国際映画祭

2年連続でヴェネチア国際映画祭に出展という偉業を達成した「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」。現地で主要開発スタッフへ直撃取材! 鳥肌モノの最高傑作となった本作について、いろんな秘話が飛び出した。

» 2005年09月03日 12時05分 公開
[西岡浩二郎,ITmedia]

 まずは、とにかくCGのデキがすさまじい「FFVIIAC」。その中核を担った野末武志氏は、昨年末に公開されたCG映画「Mr.インクレディブル」の制作スタジオに取材も行ったというが、剣劇シーンはモーションキャプチャーではなく、ほとんどが手付けのモーションだったと明かす。しかも顔の表情など細かい部分は「キングダムハーツ」のアニメーターが手伝ってくれたという実力派を揃えての布陣とのこと。

 実際に昨年ヴェネチアに出展された映像は「時間があまりにもなくて納得がいかず、すべてのシーンを作り直した」というほどのこだわりだ。特に「FFVIIAC」の映像のキーワードであり、実際にものすごいと感じさせられる「空気感」の表現については、「今回はレンダラー(※光の計算をするソフト)もいつもと変え、キャラと背景をあとで合体して実現したもの」だという。

 「スター・ウォーズEPIII」をもはるかに凌ぐ剣劇シーンについては、「剣の戦いはやはり日本が本場ですからね。そこは負けるわけにいかなかったし、かなりこだわりました」とディレクターであり監督の野村哲也氏は語る。野末氏も続けて「とにかく剣劇は“ネタ”がすべてでしたね。こんなシーンで戦わそうとか、突然思いついたものもありますし、アニメーションチームから出てきたアイデアもたくさんあります」とこだわりすぎたくらいと語る。最後のクライマックスとなる決闘シーンはとにかくスゴイことになっている。観ないと一生後悔するほど必見のデキだ。

 シーンごとのシビれるセリフは、シナリオ担当の野島一成氏によるものだが、「映像作品は今回が初めてでしたけど、ゲームの場合、僕って、説明グセがあるんですよね。なんか(セリフで)説明しようとしちゃう(笑)。だけど、今回の作品は、普通のゲームとは比べものにならないぐらい声や顔の表情で表現できる部分があるので、シーンごとのセリフを逆に凝縮して濃密なものにしていくことができたんです。最初の最初は20分程度の企画で、子供達とクラウドとティファが出てくるぐらいの物語だったのが、こんなに大きな作品になったわけですけど、本当にやって良かったと思います」と自信をのぞかせる。

 今回、ゲームとは違う「映像作品」を手がけた野村哲也氏。彼は本作について「最初は短期間で作って、すぐに終わうと思っていたんですが、やってるうちに本格的なものになってしまいましたね。僕としては、ゲームも映像作品も、違いというのは実はあまりなくて、基本的に大きな指針をキッチリと出して、あとは現場がやりたいように頑張って、いいものに作り上げる。このやり方は、いつも僕らがゲーム作りでやっている方法となんら変わらなかったんですね。結果として、ゲームとはまた違ったものがたくさん味わえて、良かったと思います」と語る。

 実は、ヴェネチア国際映画祭のマルコ・ミューラー会長は、わざわざ日本に何度も足を運び、毎回野村哲也氏に直接会いに来て、2年連続の出展を熱烈に要請したという。スクウェア・エニックスとしても、ゲーム発の映像作品という“初の試み”に対し「2年半前の段階ではまったくゼロだったものですからね。始めた頃にゼロだったものが、今やヴェネチアにまで来ることになるなんて、当時は誰も予想してませんでしたから。ゲーム発の映像作品。それがこうして、1つの形になったということは、とてもうれしいことです」と橋本慎司プロデューサーは総括する。

 このあと、9月8日にヴァージンTOHOシネマズ六本木ヒルズでジャパンプレミア上映が行われ、9月10日〜16日には東京・名古屋・京都の3都市でリミテッドスクリーニング(特別上映)を経て、9月14日にDVD-VideoとUMD-Videoで発売が予定されている本作。

 「ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン」は、全世界で1000万人のファンがいる「FFVII」の続編的な映像ではあったが、それはある意味で「FFVII」の歴史を見届ける作品とも言える。一部海外サイトでは、勘違いな批評も出ているようだが、本作は間違いなくファンは感動を覚え、何度も観てしまい、そしてファン同士で語り合いたくなる歴史に残る名作であり、大傑作だと言える。日本での発売まであと10日ほど。みんなの期待は絶対裏切らないと断言しよう。

左から野村哲也氏、野末武志氏、野島一成氏、橋本慎司氏。連日海外メディアへの対応で引っ張りだこの中、我々の取材に応じてくれた。さらなるエピソードは、「ドリマガ」でも掲載される。そちらも必見

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/07/news109.jpg 「ロッチ」中岡、顔にたっぷり肉を蓄えた激変ショットに驚きの声 「これ…ヤバいって」「すごい変身っぷり」
  2. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  3. /nl/articles/2405/06/news040.jpg 「東京チカラめし」約2年ぶりに東京で“復活” まさかの出店場所に驚き「脳がフリーズしそうに」
  4. /nl/articles/2405/03/news025.jpg 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  5. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  6. /nl/articles/2405/07/news114.jpg 大谷翔平がエスコート 真美子さん「ドジャース奥様会」に再び登場で頭ひとつ抜き出る
  7. /nl/articles/2405/08/news030.jpg 「新紙幣出てきたんだけど」 レジで“千円札”見た若者がポツリ→まさかの正体にショック広がる 「そうだよねえぇ」
  8. /nl/articles/2405/07/news043.jpg 16歳お姉ちゃんと0歳弟、赤ちゃんが泣くとすぐに抱っこして…… 愛をそそぐ姿に「愛しさ溢れてて号泣」「いいね1万回押したい」
  9. /nl/articles/2405/05/news018.jpg 地元民向け“バリカタ仕様”の袋麺だと思ったら……思わぬ落とし穴に「トラップ仕掛けられてる」「自分も引っかかった」
  10. /nl/articles/2405/06/news001.jpg 川をせき止めるほどのゴミ→ボランティアがを徹底的に掃除したら…… 見違える変化に驚き
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評