変遷していくゲームマスターの立つべき場所は……どこ?モビーダ・ゲームズ 栗原 哲氏インタビュー(2/2 ページ)

» 2006年02月02日 14時21分 公開
[加藤亘,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 GMという定義が固まらずにいる現状を栗原氏は、このモビーダ・ゲームズで確固たるものにできるのではないかと考えている。「ちょっと前までGMなんて時給1000円くらいで、プレーヤーからのクレームを受ける防波堤くらいにしか思われてなかったかもしれないが、ゲーム内のことを最もよく知っている運営スタッフであるGMの言うことも馬鹿にならない、と思ってもらえる環境ができつつある。僕ひとりだけでなく、講演などで話をさせてもらいながら、みんなで定義も含めてGMについて考えていきたいと思っている」と、今後は旗振りになることを意識している。

 栗原氏は2月9日から10日の両日、日本教育会館にて行われる、ブロードバンド推進協議会主催「アジア オンラインゲーム カンファレンス 2006 東京」にて講演が控えている。「オンラインゲーム運営とゲームマスターの可能性」と題して、運営の重要性と、広がるゲームマスター業務の可能性について述べる予定だ。

現在のGMのタレント化は韓国流ともいえるそうだ。しかし、栗原氏が育ったGMとしての土壌はあくまでも全プレーヤー平等の米国流であるらしい。同じ金額をいただいているのならば、そこは大事にこだわっていきたいのだと語る。とはいえ、今の主流はやはり韓国流である

 今後のモビーダ・ゲームズは、カジュアルやスポーツなど、ファンドを利用したタイトルを続けて着手していけたらと希望を述べる。すでに発表されているもの以外では、年内に1〜2本ほど公開する予定だ。一昨年発表された「真・三國無双BB」も、今年にはある程度の形を見せることができると自信をのぞかせる。

 栗原氏は「真・三國無双BB」の発表を知り、当時のビー・ビー・サーブへの転職を決めたのだとか。「個人的にも『真・三國無双』シリーズは好きだっただけに、タイミングよく誘ってもらえて運命だと思った」と言う。それだけ思い入れもある「真・三國無双BB」だが、やはりコーエーはちゃんとしているんだなと感心したほどの出来だとか。今はバランス調整を含め、着々と発表できるまでの詰めの作業を行っているところだというから期待が高まる。「ベルアイル」も、GMによるテストサーバーの厳しいチェックなどを経て、日々ブラッシュアップしているところだとか。

人材難のため、腕のいいGMを募集しています

 現在、オンラインゲーム業界はGMの売り手市場であるらしい。どこも腕のいいGMを求めている。実績がありスキルが高く、倫理観のあるバランス感覚に長けた人が好ましいという。どうやらGMにも適正があるとのこと。

  • カスタマーサポート能力:あくまでもお客様ありき
  • ゲーマーであること:ユーザーの立場に立てること
  • エンターティナーであること:イベントをやる際に必要
  • 社会人である:時間厳守、約束を守るという基本的なことができること
  • 知識がある:PCやネットに詳しい

 人材難とはいえ、業界でのGMの地位はまだまだらしい。もちろん栗原氏のように中心に食い込むGMも多くなってきているが、実情は“まだまだ”といった実感だとか。アルバイト並の賃金の安さからはじめなくてはならないことには変わらないという。

 「キャリアについても考慮してくれる会社かどうかも見極めないといけない。当人の能力以外にも運も必要になる。自分が“運よく”モビーダ・ゲームズに誘ってもらえたように、タイミングや巡り合わせが噛み合うといいのですが……」と、これからの地位向上にも努めていきたいと語る。

 「GMが姿を見せなくても成立するゲームが理想であり、健全ではないかとひとつの形を提示する。可能であれば、GMがすごくたくさんいて、手厚くサポートをするという体制がいいんでしょうが、これは現実性がない。気が弱い人はGMコールできなかったり、声がでかい人(発言する人)だけが得をするというサービスであってはならないと考えている。だからこそ、まずはプレーヤーからGMが姿を見せなくても成立するオンラインゲームであってほしいと思う」と最後は、理想とするオンラインゲームの環境を語る。

 モビーダ・ゲームズは、ビー・ビー・サーブ時代から約2年、じっくりとプロデュースするタイトルを熟成してきた。つぼみから花へとなるように、まもなく開花の時期を迎えようとしている。その際、プレーヤーのそばには栗原氏をはじめとした、多くのGMの姿が見られるだろう。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/01/news077.jpg ミュージカル『ディズニー くまのプーさん』、舞台が見えづらいとの指摘に謝罪 「視認性の改善を講じる」
  2. /nl/articles/2404/30/news015.jpg 【今日の計算】「500×99」を計算せよ
  3. /nl/articles/2404/30/news156.jpg 「葬送のフリーレン」の勇者一行、ネモフィラ畑に現る 名場面にちなんだコスプレが「これを花畑を出す魔法か」と23万いいね
  4. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  5. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
  6. /nl/articles/2405/01/news095.jpg 秋元康、AKB48卒業の柏木由紀に送った手紙が物議 “冒頭の一文”に「昭和丸出し」「嫌すぎる」
  7. /nl/articles/2405/01/news014.jpg 1歳娘、ちょっと目を離したら衝撃の光景が……! リアル過ぎるワンオペ現場が190万再生「わかりみすごすぎです」
  8. /nl/articles/2404/29/news009.jpg 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  9. /nl/articles/2403/21/news104.jpg 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  10. /nl/articles/2405/01/news011.jpg 息子「あしたから下敷きいるって」母「ええやつあるで(ドヤ」 母の愛がつまった手作り下敷きに「なにこれめっちゃほしい!」と注目集まる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評