ゲーム界のアカデミー賞「9th Annual Interactive Achievement Awards」が決定(1/3 ページ)

「Academy of Interactive Arts & Sciences」選定による「9th Annual Interactive Achievement Awards」が2月10日、ラスベガスで発表された。アメリカ開発のヒット作「ゴッド・オブ・ウォー」が日本勢である「nintendogs」「ワンダと巨像」を迎え撃つ、という構図に見えたが……。

» 2006年02月17日 14時58分 公開
[岩井省吾,ITmedia]

やっぱり、ゲーム業界にフォーマルな服装は似合わない?

 2月10日夜、ラスベガス・ハードロックホテルにおいて、「9th Annual Interactive Achievement Awards」の授賞式が行われた。これはゲーム業界の重鎮が集まって結成されたAcademy of Interactive Arts & Sciences(そのまま訳すとインタラクティブ科学&芸術アカデミー)が選定するこの賞は、「Game Developers Conference」会期中に発表される「Game Developers Choice Awards」と同様に支持されている賞である。

 今回、授賞式出席にあたっては「ジーンズ不可・フォーマルな格好でお越しください」とあったので、筆者も“いっちょうら”で出席したのだが、わりと“ジーンズじゃないお洒落な格好”の人や“ファーマルじゃない”人も多く、ドレスコードは厳守されていなかった模様。今回はアカデミー賞ばりのレッドカーペットが用意されており、この賞をより権威のあるものにしようというもくろみがあったらしい。とはいえ、会場にはインタラクティブに動くマリオやワリオ、そしてラチェット&クランク、そして「ゴッド・オブ・ウォー」のクレイトスが登場していた。

日本での下馬評はnintendogs優勢だが、意外な伏兵が

 今回の賞の選考対象は、2005年12月9日までにアメリカで発売されたタイトル。よって、「DEAD OR ALIVE 4」(アメリカでは12/29発売)や「キングダムハーツII」(アメリカでは3/28発売予定)はこの時点で来年度の対象となる。そして、ソフトのパブリッシャーがアカデミーにノミネート申請を行い、それをアカデミーのボードメンバーが動議したのちにノミネート作品を決定(ノミネート作品の数は申請本数に比例・去年はノミネートが1作品=そのまま受賞、というケースもあった)、最終的にはアカデミー会員の投票で賞が決定する、というわけだ。

 この賞での最優秀作品賞である「Game of the Year」。これはPCゲーム対象の「Computer Game of the Year」とコンシューマゲーム機対象の「Console Game of the Year」があり、それとは別に全タイトルの中から最優秀作品を決定する「Overall Game of the Year」があるのだが、今年は「Console」と「Overall」のノミネートが同じという異例な事態となった。

 そして、そのノミネート作品は――

  • nintendogs(任天堂)
  • ワンダと巨像(SCEJ)
  • ゴッド・オブ・ウォー(SCEサンタモニカ開発・国内発売元カプコン)
  • Call of Duty 2(アクティビジョン・Infinity Ward開発・国内発売元:コナミ(Xbox360版))
  • Guiter Hero(Red Octane・Harmonix Music Systems開発)

――の5タイトル。日本での下馬評は「nintendogs」、「ワンダと巨像」、「ゴッド・オブ・ウォー」の三つ巴だったのだが……。

Outstanding Achievement(技能賞)・ゲームデザイン部門でnintendogsと争ったタイトルは?

 まずは技能賞の発表。部門は大きく分けて――

  • Game Design(ゲームデザイン)
  • Game Play Engineering(ゲームプレイ技術)
  • Online Game Play(オンラインゲーム)
  • Story&Character Development(脚本)
  • Art Direction(美術)
  • Animation(アニメーション)
  • Visual Engineering(映像技術)
  • Soundtrack(サウンドトラック(既存曲))
  • Original Music Composition(オリジナル作曲)
  • Sound Design(音響効果)

 の11部門に加え――

  • Innovation in Gaming(革新的ゲーム)

というものがある。ちなみに去年、この賞は「塊魂」と「ハーフライフ2」が受賞している。

 また、面白いものに――

  • Character Performance-Male(キャラクターパフォーマンス・男性部門)
  • Character Performance-Female(キャラクターパフォーマンス・女性部門)

という、主演俳優賞・女優賞に相当するものもあった。ちなみに、過去の受賞者は「ゴールデン・アイ:ダークエージェント」の「M(ジョディ・デンチ)」、「エンター・ザ・マトリックス」の「ナイオビ(ジェイダ・ピンケット・スミス、ウィル・スミスの嫁)」、「ロード・オブ・ザ・リング」の「フロド(もちろんイライジャ・ウッズ)」に加え、「ファイナルファンタジーX-2」の「リュック」などだ。

 ではでは、受賞作品を見ていくことにしよう。

Outstanding Achievement of Visual Engineering(映像技術賞)

Outstanding Achievement of Art Direction(美術賞)

  • 「ワンダと巨像」(SCEJ)

 唯一日本人として壇上に登ったSCE JAPANスタジオの海道賢仁氏と上田文人氏。本作では映像による世界観の確立と、その表現技術が高く評価されたと言えよう。

製作中生きた心地がしなかった、と壇上で語る海道氏。ちなみに、2002年度の第5回でも「ICO」で受賞しており、2冠を獲得している。PS2の表現力をプログラマーの腕で最大限に引き出し、上田氏のビジョンを見事に実現したワンダ。映像技術賞候補にはカメオ、Call of Duty 2といったXbox 360タイトルがあったが、それらを押しのけて賞を獲得している。次世代機タイトルではさらなるグラフィック表現は当然として、映像による世界観の確立を見せなければこの部門での受賞は難しい?

Outstanding Innovation in Gaming(革新的なゲームに与えられる賞)

  • 「nintendogs」(任天堂)
任天堂作品はNintendo of Americaスタッフが表彰された。ちなみにアメリカではダックスフント、チワワ、レトリバー(柴のかわり)に加え、オリジナルカラーDS同梱の特別版が発売されている

 過去にもペットを飼うゲームというのは存在したが、ニンテンドーDSのハードウェアポテンシャルを活用し、高みを引き上げたことが評価されたのであろう。正直なところ、筆者はこのままnintendogsがゲームデザイン関連の賞を獲得すると思っていたのだが……。

Outstanding Achievement of Game Play Engineering(ゲームプレイ技術賞)

  • 「nintendogs」(任天堂)
  • 「Guiter Hero」(Red Octane・Harmonix Music Systems開発)

 なんとまさかのタイによる同時入賞に。これから、Guiter Heroの怒涛の快進撃が続くことになるとは誰が予想しただろうか?

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
先週の総合アクセスTOP10
  1. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  2. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  3. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  4. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  5. 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
  6. 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
  7. 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
  8. 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
  9. 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
  10. 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  2. パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
  3. “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
  4. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  5. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  6. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
  7. 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
  8. “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
  9. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  10. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」