次世代クオリティで描かれる“戦争”はすごく美しくて、何より重い:「NINETY-NINE NIGHTS」レビュー(2/2 ページ)
選ぶキャラクターによっては、違うゲームのような感覚に
プレーヤーキャラクターは7人用意されている。ただし、最初に選べるのは、聖堂騎士団に所属する少女「インフィ」だけだ。プレイを重ねて条件を達成することで、プレイ可能なキャラクターが増えていく仕組みが採用されている。
正直、最初は“7人だけか、ちょっと少ないなー。やり応えはないんじゃないかな?”と思っていた。だが、2人目、3人目と、次々と新しいキャラクターでプレイすることで、そんな予想はまったくの思い違いであることを思い知らされた。
なぜなら“キャラクターごとにアクションがまったく異なる”から。例えば、インフィは全体的にスピードが速く、ジャンプ攻撃が多彩なのだが、聖都教団の神父であり、こん棒のようなものを振り回して戦う「カラーラン」は、なんとジャンプができない。さらに言うならば、相手をつかんで投げて攻撃できるなど、インフィと共通点を捜すほうが難しいくらいなのである。
キャラクターによって特長がガラリと変わるので、ステージの攻略法も大きく変化する。例えば、魔法使いの「テュルル」は防御力は低いが、水を飛ばす遠隔攻撃が可能だ。そのため、常に一定以上敵と距離をとって戦う戦闘になる。迫り来る敵をかわしつつ、遠隔攻撃で倒していくその様は、アクションというよりもシューティングゲームに近いだろう。遊ぶキャラクターを変えるたび、本作のまったく異なる一面を見られるのも、大きな魅力のひとつだと筆者は感じた。
7人の視点に立つことで、初めて明らかになる重厚なストーリー
ここからは、ストーリーと世界設定について語っていきたいと思う。いきなりで何だが、本作はストーリーが非常に分かりにくい。ゲーム中に流れるムービーで、基本的な世界観を説明するためのセリフがあまりにも少ないからだ。何の説明もないまま、突然ゴブリン族と戦うことになった時は、筆者も面食らった。
実は、世界で戦争が起こっている理由や、種族関係のイザコザに関しては、説明書で詳しく解説されている。筆者も相当プレイを重ねたあとでそのことに気づき、ショックを受けた。最初から説明書を読んでいれば、もっとスムーズに世界へ入りこめたのに、と。
まだ本作をプレイしていない人――特に普段からゲームに慣れ親しんでおり、説明書を読まなくてもプレイできるという人――は、筆者のように残念な結果にならないためにも、プレイ前に説明書を一通り読んでおくことを強くオススメする。ストーリーをしっかりと理解できるようになれば、感情移入度も大きく変わるからだ。ちなみに、バックグラウンドストーリーを簡単に説明すると、以下のようになる。
N3バックグラウンドストーリー
人間やゴブリン族などさまざまな種族が存在する世界。その世界は、オーブの不思議な力によって均衡が保たれていた。ところが、何者かにそのオーブを半分に割られてしまう。オーブが分かれたことで、世界は光と闇の勢力の2つに分かれ、互いに正義を掲げて争いを繰り返すようになった……。
N3は、このひとつの大きな戦争を、立場も種族も違う7人のキャラクターで体験できるのだ。当然のことながら、立場が変われば敵も正義も変わるので、ゲーム中の雰囲気も完全に別のモノとなる。操るキャラクターによって、多数の世界観を楽しめるのが、本作の大きな特徴だろう。
最初に操るキャラクターが人間のインフィということもあり、筆者は“人間の敵なんだから悪い奴に決まっている”と思い、特に何も考えずにゴブリン族をズバズバと斬りまくっていた。だが、ゲームを進めていくと、ゴブリン族の「ディングバット」が使用キャラクターとして登場する。ディングバットで遊ぶ場合、敵として現れるのはもちろん人間だ。しかも、インフィやアスファといった、それまで自分が使用していたキャラクターまでもが、強力な敵となって目の前に立ちふさがる。
それでも“ゴブリン族に正義なんてあるものか”という気持ちで、なんとなくプレイを進めていた。だが、人間が無抵抗なゴブリン族に対して行った行為などを知っていくうちに、“本当にひどいのは、実は人間のほうなんじゃないのか……!?”と考えるようになる。そうなると、再び人間のキャラクターで遊んだ時、ゴブリン族を斬るのに少し気が引けてしまう。これには筆者自身も驚いた。いったい何が正しいのか、何が正義なのか。ゲームでそんなことを考えさせられるとは、思いも寄らなかった。
目の肥えた3Dアクションファンも満足させる仕上がり
勧善懲悪ではない重厚な物語と、大迫力でド派手な戦闘が絶品のN3。誰でも楽しめる作品であり、大作と呼ぶにふさわしい完成度を誇っていると思う。だが、既存タイトルと比較した場合、決定的な差別化となる戦闘システムがないのも、また事実だ。そのため、“定番タイトルとあまり変わっていないじゃないか”という評価を受ける可能性もあるだろう。
だが、現在のところ唯一の次世代機であるXbox 360、そこで登場した最高クラスのクオリティを誇る3Dアクションゲームに触らないのは、非常にもったいないと思う。操作自体も非常に簡単なので、3Dアクションゲーム好きはもちろん、アクションゲームが苦手だという人にもプレイしてもらいたい作品だ。
関連記事
- サンユン・リーが“体験版とは別物”というので製品版「N3」をプレイしてきた
- キャラクターの葛藤や苦悩が伝わり、何が本当の正義なのか深く考えさせられる――「Ninety-Nine Nightsのすべて: 次世代キャラクターデザイン」
- 体験版とはまるで別物――「N3」をサンユン・リーが語る
- 「NINETY-NINE NIGHTS」主題歌にBoAの「Your Color」
- 「NINETY-NINE NIGHTS」の主題歌にBoAさんを起用
- 「NINETY-NINE NIGHTS」4月20日に発売決定
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
-
誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
-
小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
-
娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
-
プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
-
1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
-
メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
-
子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
-
巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
-
ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
- 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
- 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
- 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
- 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
- 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
- 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
- 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
- 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
- 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
- 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
- フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
- 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
- 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」