モップやコショウまで武器にして戦う“あの刑事”が帰ってきた「SEGA AGES 2500シリーズ Vol.26 ダイナマイト刑事」レビュー(2/4 ページ)

» 2006年05月17日 16時59分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

グラフィックを大幅強化。で、あの大統領の娘はどうなった!?

 ダイナマイト刑事のストーリーを大まかに説明しておくと、武装したテロリスト集団が大統領の一人娘を人質に取り、高層ビルを占拠しているところへ、刑事が単身(あるいは2人で)現場に乗り込んで彼女を救出するという、何とも分かりやすいお話。このミッションに起用されたのは、サンフランシスコ市警察(S.F.P.D)所属で、「140億ドルの男」の異名を持つブルーノ・デリンジャー警部補。S.F.P.Dきっての検挙率を誇る凄腕ではあるが、犯人逮捕に手段を選ばないため、その物的損害額の累計が140億ドルにものぼっているのだ。また、新任の超エリート婦警であるシンディ・ホリデイ警部も、ブルーノとともにミッションに参加する(2Pコントローラー側でプレイするとキャラがシンディになり、2人同時プレイも可能)。

 操作に使用するボタンも、パンチ、キック、ジャンプの3つだけと、昨今のゲームと比べたら驚くほどシンプルでわかりやすい。たったこれだけのボタンで、落ちている武器を拾って撃つ、敵に投げつける、振り回すといった多彩なアクションを楽しめるところも魅力だ。また、敵に近づくと自動的につかみ状態になり、コマンド入力でさまざまな投げ技を繰り出せるほか、ハンドガンを所持しているときは、後ろ手に縛り上げて手錠をかけ、逮捕できるというのがおもしろい。

 プレイステーション 2版では、オリジナルのゲーム性はそのままに、グラフィックを一から作り直していることが大きな特徴。元がセガサターンだったということもあるが、プレイステーション 2版はグラフィックが驚くほどキレイになっていて、一見するとまるで別のゲームのように感じる。ダイナマイト刑事は、1999年にドリームキャストで続編(「ダイナマイト刑事2」)も発売されているが、キャラクターのモデリングやテクスチャの詳細さでは、そのドリームキャスト版を上回るほどのできばえだ。しかし、モーションや当たり判定などにはあえて手を加えず、セガサターン版のままなので、プレイ感覚は紛れもなく“ダイナマイト刑事”そのものである。

画像 初めからプレイできるモードは、セガサターン版をそのまま再現した「SEGASATURN MODE」や、グラフィックを一新させた「DYNAMITE DEKA MODE」などの4つ。他に、ある条件を満たすとプレイ可能になる隠しモードが4つもある
画像画像 左がセガサターン版、右がプレイステーション 2版だが、比べてみれば一目瞭然。キャラクターのモデリングはもちろん、背後にある通気ファンや床のデザインがこんなにリアルになっている。細かいところでは、体力ゲージの顔アイコンもちゃんと描き直してある

画像画像 主人公のブルーノ刑事もこんなに変わった。MA-1のナイロン生地の質感まで表現されていることにちょっと感激。グラフィックの向上で、ますますあの俳優に似てきた?

 セガサターン版をご存じの方なら、グラフィックの向上で一番気になるのは、「大統領の娘がどう変わったか」に尽きると思う。2Pキャラに婦警がいるとはいえ、このゲームのヒロインは間違いなく大統領の一人娘キャロライン・ヨーコ・パウエル(12歳)であり、彼女の存在がなければもしかしたらセガサターン版のヒットもなかったかもしれない。きっとそうに違いない。そう思いたくなるくらい、強烈な存在感を放つヒロインだったのだ……。

画像 ゲーム史上、希有のヒロイン“キャロライン嬢”のご尊影。ポリゴン処理が苦手なセガサターンとはいえ、「いくら何でもこれはないだろう」と当時思った。「助けたくない」との意見も多数……?
画像 プレイステーション 2版で美しく(?)生まれ変わったキャロライン嬢がこちら……

 また、ステージ間の移動時に突然「CAUTION」と表示され、とっさのボタン操作を要求されるビジュアルシーンもそのまま再現されている。カメラアングルを変えてのショートリプレイが挿入されるなど、アクション映画ばりの演出を楽しめるが、これもグラフィック向上の恩恵を受けて、よりダイナミックに感じられるようになった。

画像 「CAUTION」と表示された後、パンチやキックなど、特定のボタンを押すよう指示が出る
画像 指示されたボタンを素早く押すと、待ちかまえていた敵を急襲したり、攻撃をかわすビジュアルシーンが挿入される。バタ臭くてむさ苦しい刑事が、このときばかりはちょっとかっこよく思える?
画像 一方、ボタン操作を間違えると、無用な戦闘で足止めを食ったり、ダメージを受けてしまうことも。その際の無様なモーションがまたおかしいので、わざと失敗してでも一度は見ておきたい

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