インタビュー
2006年05月23日 14時58分 更新

鉄拳シリーズ開発者インタビュー:

移植ではない(?)渾身のPSP新作と、心意気の詰まったムービー (1/3)

E3 2006のバンダイナムコゲームスブースにて、「鉄拳」シリーズのゲームデザイナー原田勝弘氏とビジュアルデザイナーの林直弘氏に話を聞くことができた。発売を控えるPSP「鉄拳 DARK RESURRECTION」とプレイステーション 3での発売が発表された「鉄拳6」について熱く語っていただいた。

移植じゃなくて新作です――「鉄拳 DARK RESURRECTION」

画像 ゲームデザイナー 原田勝弘氏(左)、ビジュアルデザイナー 林直弘氏(右)

 今夏発売が予定されている「鉄拳 DARK RESURRECTION」は、アーケード版「鉄拳5 DARK RESURRECTION」のPSPへの移植作品だ。E3 2006のバンダイナムコゲームスブース内に置かれた試遊機でプレイしたその内容は、アーケードと遜色ない出色の出来映えだった。PSPの機能を極限までひきだしたかのようなそのグラフィックやプレイ感はいかにして作り出されたのだろうか。


――なぜ「鉄拳 DARK RESURRECTION」は、PSPというプラットフォームを選択したのですか。今までの流れでいけばプレイステーション 2でリリースされるものかと思っていましたが。

 チャレンジですね。あと実は、PSPの仕様というのがアーケードでのプレイとマッチしている点がありまして。デバイスとしてPSPとアーケードが接続できるというわけではありませんが、アーケードでプレイしているユーザーのゴーストがソフトに入るんです。これはそのプレーヤーのクセですとか、どういった空中コンボを使うとか、そういうデータが入っているゴーストです。いわゆる普通のCPUキャラではなくて、その人がカスタマイズで装着しているアイテムがそのまま使われているほか、名前もそのまま使われています。2006年の年明けから募集していたんですが、けっこう応募数があったんですよ、何万人という単位で。

 UMDに収録されているデータ以外にも、PSPのネットワーク機能を利用してゴーストをダウンロードすることができます。つまり世界中のプレーヤーのデータをユーザーがダウンロードできるようになっているわけです。

原田 「鉄拳」というタイトルは、アーケード市場がない北米とヨーロッパで家庭用ゲーム機での売り上げが日本の2倍3倍じゃ済まないくらいのビッグタイトルなんですね。ヨーロッパでは「鉄拳3」が家庭用ゲーム機で初めてミリオンを越えたゲームとなっています。「鉄拳 DARK RESURRECTION」も北米やヨーロッパで発売されるのですが、例えば世界中のトップランキングにあるようなプレーヤーだけのゴーストパックとか、中級者だけのパックとか初心者だけのパックとか、そういうのをユーザーが選んでダウンロードできるようになればいいな、というアイディアはありますね。

 今までは日本人同士でしか戦えませんでしたが、PSPというハードを得たことで、ゴーストをダウンロードすれば、北米やヨーロッパの人とも擬似対戦できるようになるんです。

原田 ヨーロッパの人たちは、多分日本人のすごさにびっくりするんじゃないでしょうか(笑)。向こうはアーケードでプレイしているわけじゃないので、技の磨き、レベルがちょっと違いますね。日本のほうが磨きがかかっているというか。日本の初級・中級プレーヤーにとっては、うまい人のゴーストはいいお手本にもなりますし。レースゲームでも上手な人のゴーストと走ると「ここらへんはこう走るんだ」とか学べるじゃないですか。そういうものにもなりうるかなと。

画像画像

――PSPのネットワーク機能を活かした機能はほかにありますか。

 ワールドランキングを見ることができます。タイムアタックやサバイバルなどの各モードについて、個別のワールドランキングを見ることができるほか、世界中のプレーヤーの中で自分が何位くらいなのかが分かるようになります。

――ランキングは月間もしくは週間で更新されるんですか。

 ランキングはリアルタイム更新です。ネットワークにつながったPSPからも見ることができます、PCからでも見られるようにします。

――アーケードの「TEKKEN-NET」との連動はありますか。

原田 イベントで上位に入った人のゴーストデータをネットワークを通じて配信するとか、そういうことは技術的には可能ですね。だからそういううまい人のゴーストと手当たり次第戦って、自分が全勝できたら「俺、優勝!」(笑)みたいなことも可能ではあります。

――家にいながらにしてアーケードと同じ感覚で遊べるわけですね。

 もちろんアドホックモードでの対戦もできます。あらゆる対戦プレイに対応しています。

原田 たとえば公共の場や電車の中などで、ロビーを作って対戦相手を募集したり参加したりというのも可能です。まったくラグもなく、さくさくできますよ。

――それは1対1の対戦ですか。3人、4人とかでのチーム戦みたいなものはありますか。

 チーム戦はないですね。誰かが作ったロビーには複数のプレーヤーが入ることができるんですけども、その中の誰かとお見合い形式で、1対1で対戦するというものです。

――1人用モードはいつも凝ったモードが入っていますが、今回の「鉄拳道場モード」というのはどんなものですか。

 今までのプレイだと初級者から鉄拳王まで、1つの道場にいるようなものでしたので、上位には本当に上手な人しか行けない感じでした。鉄拳道場モードでは複数の道場が用意されていまして、初級者の方も今いる道場でのプレイを楽しみつつ、ゲーム内でのお金が稼げます。上手になると道場内のトーナメントに出場できて、トーナメントで1位になれば次の道場に進むことができます。「鉄拳5」だと頑張って鉄拳王になっても、負けると段位が落ちたりしていましたよね。その感覚ではなくて、頑張って1位を取ったら次に上がっていけるというような、そういったところでモチベーションを提供したいと考えています。

――ということは所属の道場のランクが上がったら、そこから下がることがないということですか。

 下がることはないですね。そこの道場で最下位にはなりますけども。

――どうして鉄拳道場モードを入れたのですか。

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 PSPだと1人でじっくり遊ぶ時間も欲しいですよね。今回はアイテムなどさまざまなものが、鉄拳道場モードなどで貯めたお金で買えます。与えたダメージによってお金がもらえる新モードも用意してます。

原田 この新モードはいいですね。うまい人の自尊心をくすぐる要素が盛り込まれているので、腕に自信がある人は楽しみにしていてください。

 あと鉄拳道場モード以外にも、1人でじっくり遊べる仕掛けをいろいろ盛り込んであります。詳細は言えなのですが、オマケゲームが入っていまして、これももちろん対戦プレイが可能です。鉄拳のプレイにちょっと疲れたら、箸休め的な感じで遊べるものですが、かなり力が入っているオマケゲームです。

原田 箸休めにしてはできがいいんですよ。これだけのために欲しいと言ってるスタッフがいるくらいで(笑)。

 あと1人で楽しめる要素といえば、ムービーもそうですね。PSPは映像がすごくきれいですし、UMDで映画を観るという使い方はあると思うんですが、ムービーが長時間収録されているゲームは実はまだあまりないんです。鉄拳には高いクオリティのムービーが、長さにすると30分くらい入ってます。またアーケード版のオープニングも完全版収録しています。実はアーケード版のオープニング映像は、アーケード用に短くカットしてあるんです。ディレクターズカット版という感じでしょうか。それに対してPSPのオープニング映像は完全版なんです。

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[聞き手:仗桐安,ITmedia]

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