そして伝説へ――「ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜」第20回を迎えて

夏休み真っ只中、恒例の「ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜」が開催された。20回目を迎えた本公演の模様をお伝えする。

» 2006年08月12日 10時33分 公開
[塙恵子,ITmedia]
「作曲、演奏の頑張りが観客に伝わり、ここまで続けられた」とすぎやま氏

 8月11日、池袋・東京芸術劇場にて「第20回ファミリークラシックコンサート〜ドラゴンクエストの世界〜」が行われた。夏休みとあって親子で鑑賞する姿も見られた。「ドラゴンクエスト」誕生から20周年、そしてコンサートも今回で20回目を数える。こんなにも愛され続ける秘訣は一体何なのだろうか。公演前に指揮者であるすぎやまこういち氏にお話を聞くことができた。

 20回振り返って思うところは?という質問にすぎやま氏は、「ここまで続けられたということをとてもありがたいと思う。作曲も演奏も熱を入れて頑張っている。そして何よりもドラゴンクエストというゲームががっちりと地盤を築いて、いいゲームを出していく。この両輪がとってもうまく機能してきた。ぼくは、毎回新しい曲を書くのに知恵を絞るけど、(開発者の)堀井さんも次々にアイディアを出していてすばらしい。ボクもいちゲーマーとして、堀井さんが今度どんなゲームをデザインするのかが楽しみです」と答えてくれた。「ドラゴンクエストの楽曲はゲームとしっかり結びついていると同時に、音楽としても認知されつつある」(同氏)。

 節目となる今回の演目は、前公演時に「次回聞きたい曲」というテーマで聴衆からとったアンケートを元に構成されている。言わばドラゴンクエストの曲の中で人気のある曲を集めたプログラムだ。

 「プログラムを組むのはパズルでした」と同氏。票数通りに全部組むとオープニング、エンディングの曲ばかりになってしまう。そこで同氏はお城の曲、街の曲、フィールドの曲、それぞれ中で上位のものを選び、プログラムを作ったことを明かした。「なかなか楽しい作業でしたよ」(同氏)。

 しかし一回のコンサートでは収まりきらないため、今回のコンサートと、8月19日の名古屋でのコンサートに分けたとのこと。一番票数の高かった曲は、コンサートマスター山本友重氏も1位に押しているというドラゴンクエストIIIのエンディング「そして伝説へ・・・」。同氏は「この曲だけは東京、名古屋ともに演目に入れました」と話す。また「これが良いとか悪いとか差別をしないように努力していますが……、公式にはね。でもみなさんが好きというものと、ぼく自身が納得する曲はそんなに違わない。だから気合いも入ります」と意気込みを語った。


 すぎやま氏が組んだプログラムは、さすがにバランスよく構成されていた。それぞれの楽器が目立つように、そして持ち味が発揮されるように作られている。また休憩に入る前に宿屋の曲、2部の開始時にはレベルアップの曲というように、ミュージックエフェクト(ME)が効果的に使って見せ、会場を沸かした。同氏が「このほか仲間になった時、戦闘に勝った時、呪いの曲などのMEを集め、ドラゴンクエストIのCDのカップリングとして発売します」と宣伝すると、客席から「マジで?」という声も飛び出し笑いが起こる場面もあった。

 同氏はMCで、人気コミック「のだめカンタービレ」が連ドラ化されることを挙げた。このドラマに東京都交響楽団が全面協力をし、また常任指揮者のデプリースト氏も出演することについて「ぼくも楽しみにしている」と言って、自分のことのように喜んでいた。

 ラストの曲はやはり、投票で人気ナンバー1に輝いた そして伝説へ・・・。ブラボーという声と鳴り止まぬ拍手。観客が演奏を満喫した様子を見て、すぎやま氏は最後にコンサートマスターの山本氏とがっちりと握手を交わす。同氏は最後に会場に向かって深々とお辞儀をし、ステージを後にした。

 今後の公演としては、名古屋に続き、11月12日に福岡で行われる「九響スペシャル」が予定されている。ドラゴンクエストVIIIのプログラムを担当したレベルファイブの拠点が福岡のため、同社特別協賛での開催が決定したという。もちろん曲はすべてドラゴンクエストVIIIで組まれている。さらに広がりを見せるファミリークラシックコンサート。21回目以降にも期待したい。

第1部

序曲(VIII)

ラダトーム城(I)

パストラール〜カタストロフ(II)

街の人々(I)

木洩れ日の中で〜ハッピーハミング〜ぬくもりの里に〜フォークダンス〜木洩れ日の中で(VI)

勇者の仲間たち(IV)

広い世界へ〜大平原のマーチ(VIII)

戦闘のテーマ〜アレフガルドにて〜勇者の挑戦(III)

第2部

哀愁物語(V)

神秘なる塔(VIII)

憩いの街角〜パラダイス〜時の眠る園〜うたげの広場〜憩いの街角(VII)

高貴なるレクイエム〜聖(ひじり)(V)

エーゲ海に船出して(VI)

おおぞらをとぶ(III)

ドルマゲス〜おおぞらに戦う(VIII)

そして伝説へ・・・(III)

アンコール

トゥーラの舞〜復活のいのり(VII)

この道わが旅(II)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/09/news183.jpg JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  2. /nl/articles/2405/10/news144.jpg GACKT、「最上級グレードの外車」寄付も売り飛ばされ……“カスタムだけに3000万円”な元愛車の激安価格に「この値段なら買い戻すか」
  3. /nl/articles/2405/09/news162.jpg 「ずっと小児」 グランスタ東京の“母の日広告”に賛否…… 運営会社が撤去「違和感覚える方もいた」
  4. /nl/articles/2404/09/news169.jpg JR東日本、ネットバンクサービス「JRE BANK」を発表 JREポイントがたまるなどの特典も
  5. /nl/articles/1608/02/news135.jpg 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. /nl/articles/2405/10/news013.jpg 娘の部屋にあるゴツいメタルラック→パパが大変身リメイク! 驚きのビフォーアフターに「かわいい!」「細かいところまで!」
  7. /nl/articles/2405/10/news022.jpg ママもパパも双子赤ちゃんのお世話で手が離せないときは…… 赤ちゃんを見守る思わぬ“お姉ちゃん”が頼もしい
  8. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  9. /nl/articles/2405/10/news116.jpg 「ほんと凄すぎ」 加藤紗里、全身及んだ“人生で一番の大手術”から1か月……脂肪吸引で理想のスタイルへ「胸だけでかくて他は細い」
  10. /nl/articles/2405/10/news127.jpg 「ガチンコファイトクラブ」元2期生、現在は有名タレントの“マネジャー”だった……竹原慎二の“再指導”で約20キロ減「中途半端にやめやがって」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評