レビュー
2006年10月19日 11時09分 更新

「Rockstar Games presents Table Tennis」レビュー:

たった3メートル卓上の戦場へ――バイオレンスゲームの雄が放つ話題の新作は卓球ゲーム (1/2)

「グランド・セフト・オート」シリーズや「Manhunt」など、過激さと自由度の高さがウリの海外ゲームメーカーRockstar Gamesから、卓球ゲーム「Rockstar Games presents Table Tennis」が発売された。広大な街から約3メートルの小さな卓に舞台を変え、いきなりの転進を行ったRockstar Gamesが贈る話題の卓球ゲーム。その魅力に迫ってみた。

過去の作品例を翻す“ちゃんとした卓球ゲーム”

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 本作に対して筆者がはじめに驚いたのが、このゲームが“ちゃんとした卓球ゲーム”であったということだ。いきなり失礼な発言かと思われるが、Rockstar Gamesというメーカーが今まで世に送り出してきたゲームを考えれば、筆者がそう思ってしまうのは無理もないことではないか。

wk_0601018tt02.jpg バイオレンスさがなくなって、肩透かしを食らった感があるかも。ラケットで殴りあうみたいなのも見てみたかった。若干残念!?

 「グランド・セフト・オート」(以下、GTA)シリーズは、主に車を盗んだりギャングとして成り上がることが主体だったし、「Manhunt(マンハント)」(日本では未発売)なんて、名前からして発禁確定である。そんな過激な作品が続いたため、本作ももしかしたら、ボールが時限式の爆弾ボールになっている爆弾卓球なのか、それとも、卓球の勝敗で人の生死を賭けるマフィア同士の決闘という設定なのだろうか、はたまた試合会場のあちこちに銃器やナイフが隠されているのではと、いろいろとダークな考えばかり浮かんでしまった。

 だが、筆者のそんな予想を裏切り、本作は大変ストイックな卓球ゲームだったのだ。では、そんなバイオレンスゲームから180度転換した、至極マジメな本作をリポートしていこう。

 本作のゲームモードはいたってシンプル。1人でトーナメント大会を楽しめる“トーナメント”に、選手を自由に選んで試合を楽しめる“エキシビジョン”、操作方法を詳しく学ぶことができる“トレーニング”など。Xbox 360ではおなじみの、Xbox Liveによるネット対戦も当然対応しており、世界中の猛者と勝負することが可能だ(注:10月17日の時点では、日本国内のプレーヤーとのみ対戦可能。近日中に海外版のアップデートが行われ、ワールドワイドで対戦可能になる予定)。

wk_0601018tt03.jpg 大変ごつく、男臭漂う中国人。だが、名前をカタカナで“リゥ”にしたらなんか萌えキャラっぽくなる

 とりあえずメインモードと思われるトーナメントモードを選び、プレーヤーキャラ選択画面へ。筆者が選んだのは、中国代表のLIU PING選手。「卓球といったら中国っしょ!」という筆者の勝手なイメージから選んだだけなのだが、能力値もバランスよく振り分けられているので、初心者にも扱いやすそうだ。

本格的なリアルさを追求しているのに、シンプルな操作性

wk_0601018tt04.jpg 試合が長丁場になると、選手が汗をかく演出も。Tシャツが濡れているのがわかるだろうか。肌も微妙に、汗でてかっている

 ゲームを始めて感じたのは、選手たちのリアルさ。Xbox 360というハードの性能をフルに活用した、リアル志向の本格的なグラフィックで、その質は折り紙つきだ。

 選手の細部は、毛穴のひとつひとつまで再現されているという懲りよう。個々の選手にある、片方の眉毛をくいっと上げたり、勝ったときの力の入ったガッツポーズなど、モーションや仕草も非常に多彩だ。このため、各選手はすごく人間くさく感じられ、勝利したときは喜びを共感しり、逆に負けたときは対戦相手が心底憎らしかったりして、見ていて飽きない。このようなゲーム中の登場人物の人間らしさは、GTAシリーズに出てきた、主人公に話しかけたりからかったりしてくるNPCとルーツが同じなのではないだろうか。

wk_0601018tt05.jpgwk_0601018tt06.jpgwk_0601018tt07.jpg サーブだけで勝ったときや、長いラリーの末ようやく勝ったときなど、シチュエーションによって、選手の仕草や表情が変わってくる

 リアルなのは、なにもグラフィックだけではない。卓球のひとつの醍醐味(?)である、あの「カコッカコッ!」という打球音も、もちろん再現されている。さらにこの打球音は、選手によってそれぞれ違うという懲りようなのだ。選手が持つ能力の違いで打球音の響き具合が変わるので、パワーのある選手が重い打球を打つと、なんだかよけい強そうに見えてくる。

wk_0601018tt08.jpg テクニックは総じて難しいものはないので、すぐに覚えられるだろう

 さまざまな点で卓球のリアルさを追求した本作。なんだか操作も難しいそうと思われるかもしれないが、そんなことはなく、実にカンタンだ。キャラクターの移動と打ったボールの落下地点は左スティックで操作し、A・B・X・Yの各ボタンでボールを打つ。基本操作はこれだけ。

 なお、これらの操作方法やスピンの使い方などは、前述したトレーニングモードで学ぶことができるので、メインのモードをプレイする前に確かめておくといいだろう。

 そんな感じで何試合かプレイを続けてみたところ、筆者が持っていた卓球のイメージは、良い意味で完全にくつがえされた。日本人が持つ卓球に対してのイメージといったら、まず浮かぶのが“温泉で卓球”。ご多分に漏れず、筆者も卓球=温泉といったなんだか平和的なイメージを持っていた。

 しかし本作は、そんなイメージを軽々と吹き飛ばしてくれた。いや、筆者が知らなかった“本当の卓球”を、本作は教えてくれたのだ。ハッキリ言って、ラリーやスマッシュの、ボールの速さは驚がくモノだ。

 例えばテニスは、約24メートルのコートで時速220キロのボールが飛び交うのに対し、卓球はわずか3メートルにも満たない小さな台の上で、時速120キロを越すボールが交互に飛び交うのだ。そのスピード感といったら……!! そんなプロ卓球の世界を完全再現した本作のスタッフと、Xbox 360というハードには、思いっきり敬意を表したい。というか、ゲーム中のこれが、本当のプロの世界なんですよね?

天敵とラリーズハイ

 しばらくプレイを重ね、ゲームに慣れてきたら、ラリーが続けられるようになってきた筆者。そのまま押し切ってポイントを稼げるようになり、順調に勝ち星をあげられるようになった。もしや、本作は結構簡単なのかも? それとも筆者がゲーム上手すぎ!? なんてプチ有頂天になり始めたとき、ヤツは現れた。スウェーデンの怪物、JESPERである。

 JESPERは、パワーの能力が最高値という典型的なパワータイプの選手。圧倒的なパワーで打ってくるボールは、とてつもなく速く、そして重い。ラリーは打ち返すのが精一杯で、地面にめり込んでしまうんじゃないかとこちらが心配してしまうほど強烈な勢いで打ってくるスマッシュなんて、反応することすらできません。結果、相手にチャンスボールを与えてしまう形になり、JESPERにスマッシュばっかりやられてしまう始末。完全に主導権を握られる形となり、こちらは防戦一方となってしまった(こいつの力んだ勝ちポーズが憎たらしいのなんの!)。何回もコンテニューを繰り返すハメになったのだ。

 それでもメゲずにチャレンジし続けると、やっとJESPERの打球速度に慣れてきた。するとスマッシュを打ち返せるようになり、結果としてラリーが続くようになる。このあたりで、なんだかラリーが楽しくなってきた筆者。相手のボールに反応して素早く打ち返す、単純なパターンの繰り返しながら、これが実に面白いのだ。いつしか筆者の目標は、相手を打ち負かすことから、純粋にラリーを続けることに変化していった。

wk_0601018tt09.jpg ラリーが100を超えたあたりから、もう楽しくて止まらない状態に。ランナーズハイならぬ、ラリーズハイといったところか

 ちなみにラリーの回数は、画面端に表示される。回数が増えると、「ここでミスったらラリーがとぎれてしまう!」という緊張感がどんどん増していくのだ。この緊張感も心地よく、ラリーの楽しさをふくらませるのに一役買っていると思う。

 勝ち負けよりも、スポーツ自体を楽しめる。うーん、これぞスポーツマンシップだ。なお余談だが、ラリーが長く続くと、選手が汗をかき始める。彼らが着ているシャツの、首筋や脇の下がジワジワと塗れていくのだ。まさかこんなところまで、リアルを追求しているとは!

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[雛見沢秀一,ITmedia]

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