妄想が実現するとこうなる――「ケータイ少女」に見る“ケータイ発メディアミックス”の可能性(1/2 ページ)
オリジナルの恋愛シミュレーションゲーム「ケータイ少女」は、ケータイだけに留まらず、さまざまなメディアに展開しているタイトルだ。メディアミックスに至った経緯や今後の展開について、プロデューサーに話を聞いた。
ある日、ケータイが少女になった――「ケータイ少女」は、少女になってしまった自分のケータイを元に戻すため、そして異世界から来た携帯サイズの女の子を元の世界に帰すため、クリスマスまでの40日間に彼女を作ることを目的とした恋愛シミュレーションゲームだ。
攻略対象となるキャラクターは、“できる幼なじみ”や“面倒見のいい先輩”、“ちょっと不思議系の後輩”など総勢5人。普段の会話やメールを通して、女の子たちの好感度を上げていき、好感度パラメータが規定値に達していれば彼女になる。システム的には王道路線の美少女ゲームといえるだろう。
また、ケータイ少女はコミックやアニメ、インターネットラジオなど幅広い展開を見せるメディアミックスタイトルでもある。ケータイ発でここまで大きな広がりを見せるタイトルは珍しい。
ケータイ少女そのものと、メディアミックスに至った経緯について、ジー・モードのチーフプロデューサー 長木一記氏に話を聞いた。
しっかりとした機能でバカなことをやりたかった
ケータイ少女で特徴的なのは、端末自体の動きを検知する「モーションコントロールセンサー」を使った仕掛けだ。ゲーム中、女の子との会話時に背景がピンクに切り替わることがあり、この時に端末を傾けると画面がスクロールするというもので、見ている部位により、女の子たちはさまざまなリアクションを見せてくれる。例えば胸ばかり見ていれば、「どこを見ているのよ」「エッチ」といった感じだ。
モーションコントロールセンサー搭載機は、ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)の「V603SH」「V501SH」「904SH」など。センサーのない端末では、十字キーで画面をスクロールできる。
ケータイ少女のボーダフォン版が配信されたのは2005年12月1日。当時の新機能を利用したアプリだったこともあり、プリインストールされている端末もあったという。「しっかりとした機能を使ってバカなことをやりたかった」と長木氏は当時を振り返る。
「普通すぎても面白くないじゃないですか? そんな時にふっと“端末を傾けたら見えそうになる”ということを思いついたんです。これでケータイならではっぽくなりましたね。人に伝える時も分かりやすいと思います。“センサーを傾けるとパンツが見えそうになるゲームなんだよ”って(笑)。ただの美少女ゲームというだけではなく、一般の人でもネタとして興味を持ってくれそうなフックが欲しかったんです」(長木氏)
ちなみに、女の子のどの部位を見続けるかにより、好感度パラメータが増減する。変なところばかり見続けて、好感度を下げないように注意したい。
好感度パラメータを語るうえで、モーションコントロールセンサーと同じくらい重要なのが「メールシステム」。女の子から送られてきたメールに対して、“「話を合わせる+感謝”や“相手の話題と別に+からかい”など、行動と感情を組み合わせてメールを作成するというものだ。うまく返信することができれば好感度が上がる。
「女の子と会ってパラメータを上げて彼女になりました、だけだとちょっとつまらないですよね。そこで考えたのがメールシステムなんです。選択肢の組み合わせなんですけど、(“いつ、どこで、誰が、何を、どうした”って)言葉遊びでやりませんでした? あれと似たような感じです。いちからメールを作ると大変なので、言葉だけを選択する。これは意外になかったことだと思います」(長木氏)
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