「Connected Entertainment」でXbox 360の魅力をさらに高める――ロビー・バック氏が登場:2007 International CES
International CES恒例となっている、Microsoft会長ビル・ゲイツ氏の基調講演が、1月7日(現地時間)に開催された。発売を目前に控える新OS「Windows Vista」の話題が中心ではあったが、同じく登壇したロビー・バック氏からはゲーム関連の話題も豊富に取り上げられた。
International CES恒例となっている、米Microsoft会長ビル・ゲイツ氏の基調講演が、1月7日(現地時間)に開催された。発売を目前に控える新OS「Windows Vista」の話題が中心ではあったが、ゲーム関連の話題も豊富に取り上げられた。基調講演全体の詳しい内容に関しては関連記事を参照してもらうとして、ここではゲーム関連の話題を中心にリポートしよう。
「Connected Entertainment」で新しい経験を実現
基調講演でのゲーム関連の話題は、Microsoft President of Entertainment and Devices Divisionのロビー・バック氏によって語られた。ロビー・バック氏は、今回の基調講演のテーマとまっている「Connected Experience」の具体的な姿を示す「Connected Entertainment」というキーワードに沿って話題を展開した。
Connected Entertainmentとは「音楽、テレビ、ゲーム、映画などのさまざまなコンテンツを、好きなとき好きな場所どんな機器からでも入手したい、また、コンテンツを仲間同士で共有することでコミュニティを充実させたい、という2種類の要望を満たすもの」であるとロビー・バック氏は語り、その考え方を実現する具体例をいくつか示した。
まず、音楽に関する例としてMicrosoftが昨年発売したポータブルマルチメディアプレーヤー「Zune」を、好きな場所でさまざまなコンテンツにアクセスできる手段の例としてWindows Mobile搭載の携帯電話を示し、それらに続いてゲームに関する話題が取り上げられた。
ゲーム関連の話題として最初に語られたのは、PCゲームに関してだ。昨年末に次世代ゲーム機が出そろったこともあって、どうしてもゲーム機市場のほうに話題が集まっているものの、「全世界で2億人のプレーヤーが存在している」とロビー・バック氏が指摘するように、実はPCゲーム市場は非常に大きなものである。また、Windows Vistaでは、ゲームのグラフィック面の進化が実現されるだけでなく、ゲームプレイに関する優れた機能も兼ね備えている。こういった点も踏まえMicrosoftは、「Games for Windows」というWindowsけPCゲームのブランドプログラムを展開しPCゲーム市場にも従来以上に注力していくとした。
そして、Microsoftのゲームの話題としては、もちろんXbox 360が欠かせない。Xbox 360は、日本では非常に厳しい状況が続いているものの、欧米、特に北米市場では非常に大きな市場を形成しており、2006年末までに世界37カ国で1040万台の出荷を達成した。また、昨年北米市場で発売されたXbox 360向けタイトルである「Gears of War」は、わずか2ヶ月間で240万本ものセールスを記録するという、非常に大きな成功を収めている。そして、現在までにXbox 360向けタイトルは160ほどが登場し、2007年にはこの2倍近いタイトルが登場するとした。そして、2007年登場予定のタイトルの中で最も期待の大きなタイトルである「Halo 3」のムービーが会場で流された。こちらは、すでにXbox Liveで配信されているものと同じであったが、その迫力のある映像に来場者の多くが見入っていた。
Vista上でXbox Live同等の機能を提供
次に語られたのが、コミュニティに関する話題だ。ロビー・バック氏は、Xbox 360で展開されているネットワークサービス「Xbox Live」が、すでに500万人を超えるユーザーを獲得し、世界最大のゲームコミュニティを形成していると指摘。そして、この規模をさらに拡大し、機能を充実させるために、Xbox LiveがWindows Vistaに対応することになる。
Xbox LiveアカウントがWindows Vista上でも活用できるようになり、フレンドリストやフレンドのアカウント情報を参照したり、Xbox 360と同じコミュニティに参加できるようになるだけでなく、Windows VistaとXbox 360との間でのメッセージ送受信が可能となる。さらに、Windows VistaとXbox 360との間での対戦を可能としたマルチプラットフォームタイトルの投入も予定されている。Windows Vista/Xbox 360双方に対応するマルチプラットフォームタイトルとしては、2006年のE3において「Shadow Run」が発表済みであるが、今回の基調講演では、PC版「HALO 2」や、カジュアルゲーム「UNO」などもマルチプラットフォームタイトルとして新たに紹介された。
そして、実際に壇上でWindows Vista上からXbox 360でゲームをプレイしているフレンドにメッセージを送信し、UNOの対戦を行うデモが行われたが、Xbox 360上での場合とほとんど変わらない感覚でWindows Vista上からXbox 360のプレーヤーにゲームの招待メッセージを送信し、対戦プレイを行う様子が確認できた。
Xbox LiveのWindows Vista対応によって、PCの世界に500万人を超す規模のゲームコミュニティがいきなり登場することになるわけで、PCゲームの勢力図が大きく様変わりする可能性を秘めている。おそらく、これまで以上にオンライン対応ゲームへの関心が高まることになるだろう。そしてなにより、プラットフォームの垣根が取り払われ、相手の環境を気にせず同じ楽しみを共有できるようになるわけで、ユーザーにとって非常に待ち遠しい機能であることも間違いないだろう。Windows VistaでのXbox Liveへの対応は2007年夏を予定している。
最後に語られたのが、映像に関する話題だ。現時点では、「HD DVDプレーヤー」を利用したHDコンテンツの再生、「Media Center Extender」機能によるPCに蓄積された映像・音楽データの活用、また、現在北米市場で開始された「Xbox Live ビデオマーケットプレース」での映画やテレビ番組の配信サービスの3種類の要素が用意されている。そして、そのどれもがHDクオリティの映像をサポートしており、非常に優れた映像体験が得られると指摘。その上で、更なる施策の投入を発表した。それは、「Microsoft TV」のサポートだ。
Microsoft TVは、テレビ放送を初めとする映像コンテンツの再配信サービスのひとつで、IPTVと呼ばれているものだが、こちらにXbox 360を対応させることになる。IPTVサービスは、米国やヨーロッパの一部の国でのみ提供されているが、それらサービスにXbox 360を活用できるようになる。しかも、Xbox 360の他の機能と組み合わせ、配信されるテレビ番組を視聴しているときにフレンドとボイスチャットを行うといったことも可能となる。
こういったさまざまな要素は、それぞれが独立して利用できるのではなく、それぞれを自由に組み合わせ、またXbox 360やWindows Vista、Zune、Windows Mibile端末などさまざまな機器にまたがって利用でき、まさに「Connected Entertainment」が実現されることになる。最後にロビー・バック氏は、「すばらしいソフトウェア、すばらしいサービス、欲しいと思ったときにいつでもどこでもそのコンテンツが得られる、そしてそのコンテンツを友人と共有できる、こういった多くの選択肢を消費者の皆さんに提供できることは私にとって非常にエキサイティングなことです。私たちは、これからも”Connected Entertainment”を推し進め、よりすばらしい体験ができるようにしていきたいと思っています」と語り、スピーチを締めくくった。
今回の基調講演は、ロビー・バック氏の話だけでなく、全体的に発表済みの話題が中心で特に目立つような新しい発表はなかった。そういった中でXbox 360に関しては、良質なタイトルが数多く登場してきたことに加え、付加サービスが充実してきたこともあり、次のステージへと進化を始めていることが容易に感じられた。実際に基調講演で語られた内容は魅力的なものが多く、他の次世代機を大きくリードしていると感じさせるには十分なものだった。日本では、Xbox Live ビデオマーケットプレースおよびMicrosoft TVはサービス開始が未定となっているため、今回語られた内容全てが体験できるわけではないのが残念だが、できるだけ早い時期に日本でもそれらサービス開始を実現し、ロビー・バック氏やビル・ゲイツ氏が目指す真のXbox 360の姿を体験できるよう期待した。
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