レビュー
2007年02月15日 00時00分 更新

「Kanon」レビュー:

8年の歳月が流れても、その感動は色あせない──泣きゲーの金字塔をPSPで遊んでみました (1/2)

“泣きゲー”というジャンルを確立させた元祖である「Kanon」がPSPで登場した。オリジナル版は8年前の作品だが、今遊んでも泣くことができるのだろうか!? 泣きゲー好きの筆者がプレイしてみました。

今の「Kanon」と昔の「Kanon」

画像 1999年といえばノストラダムスの大予言の年! 地球が滅ぶと騒いでいる傍らで、美少女ゲームジャンルに波紋を呼ぶ作品が誕生したのだ

 1999年にPCゲームとして発売された「Kanon」は、いまやNo.1の泣きゲーメーカーとして名をはせるKeyの処女作でもある。ギャルゲー界に旋風を巻き起こしたこの作品は、当然のようにプレイステーション 2やドリームキャストなどのコンシューマ機へ移植されており、また漫画や小説、アニメといった他メディアにも進出している。一言でいえば「猛烈にヒットしたゲーム」ということだ。

 そんな「Kanon」だが、昨今のゲームファンにとっては、現在(2007年2月)放映しているアニメの方が、印象に強いのではなかろうか。実は「Kanon」は、2002年にフジテレビ・関西テレビで一度アニメ化されている。2回目のアニメ化である今回は、2006年にアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」で一躍脚光を浴びた京都アニメーションが手がけている。一見、関係なさそうに思えるこのアニメ化だが、実はこのPSP版と少し共通点がある。その種明かしは、後ほど語っていく。

 ひとまず、PSP版「Kanon」本編についてざっくりと解説しよう。本作は、システム、シナリオともにオーソドックスなアドベンチャーゲームだ。テキストを読み進めながら、途中に現われる選択肢を選んで意中の女の子とのルートを目指し、最終的にはエンディングを迎えるという、おなじみのアレである。

 物語は、主人公である相沢祐一(あいざわゆういち)が家庭の事情により、親戚での少女、水瀬名雪(みなせなゆき)の家に居候する場面からスタート。何気ない日常を楽しみながら、気がつけば計5人の女の子たちと出会い、交流を深めていく……というストーリーだ。

 筆者のギャルゲー好きは編集部内でも有名だが、実は「Kanon」は未プレイだった。「無人島に1つだけ物を持って行けるなら、問答無用で泣きゲーと「ひぐらし」を持って行きますよ!」と、常日頃から周囲に吹聴しているくせに、泣きゲーの教科書的な存在の本作をスルーしていたという、ギャルゲーマーの風上にも置けないヤツなのだ。いやホント、なんか遊ぶタイミングがなかっただけなんですよ……。

 いつかは遊ばないと、と思っていたところに、今回のレビューである。これ幸いと思ったのもつかの間、一抹の不安が筆者の頭をよぎった。“現代っ子の筆者が、8年も前の泣きゲーで泣けるのか?”ということだ。もしかしたら、最近の美少女ゲームとは勝手が違い、泣けない可能性もなきにしもあらず。ひとまずあらすじを読んで、テンションを高めてみることにしよう。

 本作の舞台は、雪が降る街だ。一面が雪化粧におおわれた美しき街、よいではないか。例えば、女の子と2人でコタツに入っていたら、2人の足がちょん、なんて触れたりして初々しく2人とも赤面したり、長いマフラーを2人の首に巻いて女の子が「ほら、これで2倍あったかくなったよ」なんて言いつつ、男が「……こんなんじゃ歩けねぇよ」と、若干顔赤くしながら言うシチュエーションなんてのも!? ありがちだけど、女の子と一緒に歩いてるときに、彼女の冷えた左手を自分のコートの右ポケットに入れてあげながら、手をつないで歩いたり……と、イタい妄想を膨らませる筆者。それだけ、“雪が降る街”というのは妄想を掻き立てる舞台なんですよ。

画像画像

筆者とあゆあゆの軌跡

 妄想パワーでテンションを高めた筆者は、早速ゲーム開始。この手のゲームでは珍しく、主人公がフルボイスでしゃべることに軽く驚いた。多くのギャルゲーは、主人公はしゃべらないッスよね? ちなみにこれはPSP版からの仕様で、現在放映中のアニメ版「Kanon」の主人公と、同じ声優さんが担当しているのだ。冒頭で述べた、アニメ版とのつながりとは、このことなのだ。

 ちなみに祐一の声優さんは、2006年に大ヒットしたTVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の主人公、キョンを担当した杉田智和さん。このため筆者はプレイ後、しばらく祐一とキョンがかぶって見えてしまった。

画像 通称“いたる絵”と呼ばれる独特の絵柄は賛否両論かも? Keyの3作目「CLANNAD」あたりからクセがなくなりつつあり、熱心な“いたる絵”ファンにとってはこれまた賛否両論。難しいものだ

 少しゲームを進めると、ヒロインの1人である名雪がドアップで現われる。美少女ゲームというジャンルを初めてプレイする人にとっては、このシーンは最初の関門かもしれない。というのも、Keyの原画家である樋上いたるさんが描くキャラクターは、ちょっとクセが強い。もしかしたら、この作風を受け入れられない人もいるかもしれない。

 そんなこんなで物語を進めていくと、攻略可能なヒロインが全員登場した。ちなみに筆者は、美少女ゲームを遊ぶとき、どのヒロインを最初に攻略するかは脳内会議で決めている。1次審査(ビジュアル選考)、2次審査(声の選考)、最終審査(ツンデレなのか天然なのかという、性格の選考)という厳しい試験を行い、その結果、今回は“あゆあゆ”こと月宮あゆが選ばれた。というわけで、初回プレイはあゆ狙いで進めますよー。

 ちなみにあゆを選んだ理由は、ドジっ子という性格、“うぐぅ”という口癖、そして声優さんが堀江由衣さんだから! さらに言えば、本作のキーパーソンであり、PC版をプレイしたライターが「あゆのシナリオが一番ガチ」と言っていたことなども、要因となった。

画像画像 倉田佐祐理(くらたさゆり)や美坂香里(みさかかおり)といった、脇を固めるサブキャラクターも魅力的

 祐一が見る夢や、子供の頃の記憶が途切れ途切れでよみがえる回想シーンなど、序盤から結構伏線を張っている。だが、基本的には、ほのぼのとした展開が続く。中盤あたりから泣かせてくれるのかと思いきや、このほのぼの展開が終盤まで続くので、人によっては「いつ泣かせてくれるんだ!」と、絶えられず飽きてしまうかもしれない。しかし、それに見合ったオチが待っていると信じてプレイ続行。

 プレイ中気になったのが、選択肢の内容がシンプルな点だ。“ヒロインを追う”、“追わない”といった感じで、どのルートに入るかが結構ストレートに分かる選択肢なのだ。もう少し、分かりにくくてもよかったかも? また、学校が週休2日制ではなかったり、成人式が1月15日だったりと、時代のギャップを感じてしまい、ちょっぴり懐かしく感じてしまった。もしかしたら選択肢の内容がシンプルなのは、昔の作品では普通だったのだろうか。

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[雛見沢秀一,ITmedia]

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