ニンテンドーDSによる業界の“パラダイムシフト”が起きている――任天堂決算説明会(3/3 ページ)

» 2007年04月27日 17時57分 公開
[今藤弘一,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

質疑応答に答えて

 発表終了後、来場者による質疑応答時間も設けられた。岩田社長による回答を抜粋・要約して掲載する。


画像

 プラットフォームは勢いのビジネスであるというのは本当だ。勢いがあるとユーザーもソフトを購入するし、ソフトメーカーもまた参入するため数が増え、またユーザーも増えていくといういいサイクルができてくる。新しいプラットフォームでは、1年目から2年目にかけて、いかに間を空けず次々とタイトルを出していくかが重要で、これは自社の仕事となる。この動きを見極めて、ソフトメーカーがタイトルをリリースする。Wiiの場合は下馬評は芳しくなかったため、自社で作っていくことにしてきた。現在Wiiで45タイトル、ニンテンドーDSで79タイトルを自社で開発している。

 やりこみ要素のあるようなゲームは、たとえば「スーパーマリオギャラクシー」であったり、「大乱闘スマッシュブラザーズX」、「メトロイドプライム3 コラプション(仮称)」などが夏の終わりから暮れにかけて発売され、夏から年末年始を支えてくれる。理想で言えば春ごろにそういうソフトが出ればよかったのだが、中途半端な状態では出したくないので、満足する水準まで磨いていきたい。


 Wiiチャンネルだが、ユーザーから課金などで収益を得るといったビジネスモデル以外の可能性を秘めている。広告などによる収入もあるかもしれない。いずれにしてもさまざまな会社からいろいろな形での申し出を受けている。ただしどれほど大きなビジネスに今後発展していくのかは不明だ。


 開発環境については今後も増強する。ただし、2倍のソフト本数を販売すると言っても、人員が倍になるというわけではない。宮本茂専務取締役については、自分のチームに集中できる体制を整えている。開発中のタイトルは多いが、それをすべて見ていくことは不可能だ。それよりも自分のチームをしっかりと見て、高いクオリティを保つのが一番大事。それができてきたので、ミリオンセラーが増えたのかもしれない。


 かつて米国は、欧州の2倍売れるというのは当たり前だった。ただしニンテンドーDSではまだそのようになっていない。「ポケットモンスター ダイヤモンド・パール」が米国で発売されたが、それだけでは不十分だろう。ただしWiiについては、米国では強いものを感じる。Nintendo of Americaの社員も、仕事と離れたところで、これほど自社の製品の話を聞いたことがない、と言っている。アメリカのパーティ文化と「Wii Sports」などがマッチしたこともあるが、独自の立ち位置をふまえて、年末にはさらに加速させていく。最大の市場で売れて欲しいと思っている。


 FPSについては、家庭用ゲームよりも左手でキーボード、右手でマウスを使う方が操作しやすいと言われている。Wiiリモコンとヌンチャクを使うのは、これと近い印象があり、可能性を感じる。このジャンルはWiiがいいねと呼ばれるのが目標だ。FPSにも新しいユーザーを連れてきたい。


 現在の供給台数についてだが、ニンテンドーDSは月250万台生産している。ゲームボーイアドバンスでは1度だけ月に230万台を供給したことがあるが、数えるほどはなかった。現在の供給台数を継続していきたい。Wiiについては月産台数を公開していないが、増産しており、今月あたりから少しずつ改善されていくと思う。任天堂のハードはハイテクを使っていないと誤解されるが、低消費電力などハイテクが詰まっており、1つの関門を乗り越えるとまた次に難問が出るなど、これを増産するのは容易ではない。

 ニンテンドーDSは国内で900万台販売したが、これは異常な数。単年度で600万台売れたハードはこれまでなかった。この販売数値を前提に予想を立てるとアグレッシブすぎるので、少し控えめな数値となった。プラットフォームの寿命は据え置き型で5年、携帯型ではもう少し短いと言われているが、最初に寿命が決まっているのではなく、ソフト+プラットフォームで決まるもの。ただし、任天堂がチャレンジしなくなったら短いだろう。チャレンジを続けていけば長くなり、寿命は延びるかもしれない。長く生きて、社会のインフラのようになっていければと思う。

 携帯電話は9000万台売れていると言っても、アーキテクチャは1つではない。ニンテンドーDSは2000万台だが、さらに普及していけばまったく違う価値を生み出すだろう。そうなれるようなチャレンジをしていきたい。また一方で新しい価値を生み出す必要もあるので、ハードウェアのチームは常に次を考えている。


 Wiiについては、1度でもWiiリモコンを触ったことがある人を増やそうと思っている。いまはそういう段階だ。やり込み系のソフトを発売するが、そのときに手にとってもらえるかもらえないかは、その前にリモコンを触ってもらっているか、いないかで違う。


 「Second Life」については、個人的には興味もないし、ものすごいものになるとも思えない。現代を生きる人が使えるエネルギーは多くない。ゲームとは何か、にもかかわってくるが、人が何かをインプットしたときに、より価値のあるものが返ってくるときに、人はやめずに続けていく。ご褒美がなかったら続けられない。「しゃべる!DSお料理ナビ」を使い続けているが、これはゲーム中にはご褒美がないものの、料理を食べておいしいというご褒美がある。なので飽きずに使う。長期にわたって使えるものをどう作るかが重要だ。


 ※携帯電話向けのソフトを供給しないのかという質問に対して。

 携帯電話のゲームが、携帯型ゲーム機を食ってしまうと5年前から言われているが、その予想が当たったらこのような状況にはなっていないだろう。ソフト+ハードで提案できるのが任天堂の強みであり、ソフトだけでやっていくのは強みの1つを捨てることになる。ほかのプラットフォームでできないことを、ハード+ソフトで一体となって、いかに作り出すかが大事。また、すでに実施してきたことは、ほかのプラットフォームでもすぐに取り入れてくる。携帯電話でできない、それ以上のことをチャレンジし続けていく。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  2. /nl/articles/2404/18/news025.jpg 生後5日の赤ちゃん、7歳のお姉ちゃんから初めてミルクをもらうと…… 姉も驚きの反応がかわいい
  3. /nl/articles/2404/18/news057.jpg 9カ月の赤ちゃん、バスで外国人の女の子赤ちゃんと隣り合い…… 人生初のガールズトークに「これは通じあってますね!」「ベビ同士の会話、とろけます」
  4. /nl/articles/2404/17/news037.jpg 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  5. /nl/articles/2404/17/news034.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」 こだわり満載のクラシカルな一着に「すごすぎて意味わからない」「涙が出ました」
  6. /nl/articles/2404/18/news155.jpg 大谷翔平選手、ハワイに約26億円の別荘を購入 真美子夫人とデコピンとで過ごすかもしれないオフシーズンの拠点に「もうすぐ我が家となる場所」
  7. /nl/articles/2404/17/news179.jpg 「ケンタッキー」新アプリに不満殺到 「酷すぎる」「改悪」の声…… 運営元「大変ご迷惑をおかけした」と謝罪
  8. /nl/articles/2404/16/news192.jpg 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
  9. /nl/articles/2404/17/news129.jpg 「ハーゲンダッツ硬すぎ!」と力を入れたら……! “目を疑う事態”になった1枚がパワー過ぎて約8万いいね
  10. /nl/articles/2404/16/news175.jpg 「そうはならんやろ」をそのまま再現!? 「ガンダムSEED FREEDOM」のズゴックを完全再現したガンプラがすごすぎる
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」