ペンは剣よりも強し?――すべての謎と試練にタッチペンで挑む、新たな「ゼルダの伝説」の誕生「ゼルダの伝説 夢幻の砂時計」レビュー(2/3 ページ)

» 2007年07月04日 00時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]

走れ、振れ、撃て、そしてメモれ! ペンアクション

 本作のパッケージの裏面を見るとジャンルの欄に“ペンアクションアドベンチャー”と書かれている。「ゼルダの伝説」シリーズは“アクションアドベンチャー”の草分け的な存在だったわけだが、本作ではそこに“ペン”の2文字が追加されたわけだ。

 というわけで“ペンアクションアドベンチャー”というジャンルそのままに、本作はとにかく何でもタッチペンでできてしまう。ボタンを一切使わずにリンクとなって冒険ができてしまうのだ。プレイ前の個人的な感想としては「え、でも、さすがに十字ボタンでの移動はできるよね……。移動までペンで、って、それどうなの……。大丈夫? リンクさん……」と思っていた筆者だったが、実際にプレイしてみるとそれが杞憂だったことが分かった。

 ペンによるリンクの移動は、PCゲームにおけるRPGなどでマウスで移動する感覚に近い。とにかく行きたいところに向かって、つつつつつ……とペンで線をひけば、そっちに向かってリンクが動いてくれるのだ。最初のうちは誤作動というか、不慣れ故に木にぶつかろうとして海にぼっちゃ〜んということもあるが、慣れてくれば十字ボタンでの移動よりも快適に思えてくるから不思議だ。

 剣を振る操作も実に簡単。倒したい敵をツンとタッチするだけだ。特定の敵ではないところを狙いたければ、そこに向かってシュッとペンをスライドすればいい。ジャンプで飛べるくらいの穴が行く手を阻んでいれば、向こう岸に普通に移動する操作をすればオートジャンプをしてくれる。実にシンプルでとっつきやすい。ペンのみの移動とアクションがここまで快適だとは正直驚きだった。

画像 十字ボタンでの移動は一切なし!ペンをすべらせた方向に自由に駆けずり回る。ペン移動の幅を狭めれば、ゆっくり歩くことも可能だ
画像 敵をタッチするロックオン斬りと、シュッとスライドさせるスライド斬りをうまく使い分けよう

画像 回転斬りももちろん健在。ペンでリンクの周りをくるっとスライドしてみよう
画像 海を渡るときの航路もペンで書くことになる。書いてさえしまえば、あとは船が勝手に移動してくれるのだが、移動中に海上の敵が出現することもあるので油断しないように

 「ゼルダの伝説」と言えば、ダンジョンで手に入るさまざまなアイテムによるプレイの広がりが売りの1つだ。アイテムが手に入ることで、できることが増え、行けるところが増え、冒険が進展していく。そんな魅惑のアイテムたちも、もちろんペン1本で自由に操れる。

 下画面右下の「アイテム」をタッチすればどのアイテムを使うかが選べる。例えばここでブーメランを選ぶと右上にブーメランのアイコンが登場。このアイコンをタッチすることでリンクがブーメランをかまえる。そしてここからがペンアクションの真骨頂。リンクを起点に、ペンで自由に線を描くことでブーメランの軌道を自由に決めることができるのだ。これによって、奥まったところにあるスイッチをブーメランで押したり、特定の敵を狙ってブーメランを放つことが可能になっている。

 文章で伝えるともどかしいが、百聞は1プレイにしかず。実際にやってみると、従来の「ゼルダの伝説」とは違う新感覚を味わうことができるだろう。ブーメラン以外のアイテムも、それぞれペンで自在に操ることができる。

画像 ブーメランの軌道は自由自在。ただし壁に当たったらそこでブーメランの動きは止まってしまうのでご注意を
画像 弓矢の操作は、感覚的に狙ってペンをスライドさせるだけ
画像 各ボタンを使ってメニュー、アイテム、マップ欄などの表示、非表示を操作することもできる。ペン操作と組み合わせれば、効率よくプレイできるはずだ

 また、本作ならではの“画面にメモが残せる”という要素も面白い。誰かから得た情報やダンジョンのマップを書き残しておくと、のちのち役に立つ……。昔はRPGやアドベンチャーで実際にそんなプレイをしていたものだが、最近はかゆいところに手が届きまくりの「マップならいつでも見られるし、アイテムの位置も常に表示されてるし、誰かの情報もいつでもファイルから確認できますよ〜」という親切設定のゲームが多く見受けられる。そんなご時世での温故知新とも言うべきメモ機能は、まさに謎解きをしているような、そして世界に自分の手が介在しているような、懐かしくも新鮮な感覚を与えてくれる。

画像 宝箱の位置を聞いたらすかさずメモる。これで取り逃がしを防ぐことができるのだ
画像 メモったはいいけど、謎解きの答えが思いつかないなんてことも。そんなときはいったんあきらめて寝てみるというのもいいかもしれません
画像 ニンテンドーDSのマイク機能を活かしたプレイもある。電車の中で突然マイク機能を要求されたら、マイク部分をカリカリとひっかいてみるのも手だ。ちなみに詳しくは言えないが、ニンテンドーDS本体そのものを活かしたペンもマイクも関係ないある謎解きには感心した。先入観を捨ててプレイすべし!

 本作で待ち受ける数々の謎解きはペンによるプレイ感覚の新鮮さもあいまって、なかなか絶妙だ。新規プレーヤーを意識してか、ゼルダ脳(歴代の「ゼルダの伝説」をプレイしてきたことによって「ゼルダの伝説」の謎解きを解くために鍛えられた脳を勝手に命名。というか、こう呼んでる人多くないですかね?)を持つ人なら若干難易度が低く感じるかもしれない。しかし、ぼんやりしていると案外気付かないこともあったり、ちょっとしたミスで時間をロスして失敗してしまったりと、マニアと言えども油断ならない局面は多々ある。そして何よりもペンアクションを前提にした新しい謎は、手を変え品を変え登場するので、飽きずに取り組むことができる。そのさじ加減はやはり、“絶妙”と称して差し支えないものに仕上がっている。

画像 ファントムの目をかいくぐり、奥地を目指せ
画像 海の移動中も発見の連続だ。地図には載っていない島があるかも?

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