カードをかざせばモンスターが現れる――次世代トレーディングカードゲーム始動「THE EYE OF JUDGMENT BIOLITH REBELLION 〜機神の叛乱〜 SET.1」レビュー(1/2 ページ)

カードのモンスターが画面の中で浮かび上がり、生き生きと動き出す――そんなゲームファンの夢をかなえた次世代トレーディングカードゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」がついに始動。誰もが驚いたインタフェースもさることながら、単純ながら奥の深いゲーム性にトレーディングカードゲームの未来が垣間見える。

» 2007年11月06日 00時00分 公開
[小形聖史,ITmedia]

ファンの夢を叶えたヴァーチャルカードゲーム

パッケージにはゲームに必要なものがすべて同梱されている。「PLAYSTATION Eye」の設定は簡単。かなり曖昧に設定しても、しっかり認識してくれる

 E3 2006で発表されて以来、各方面で話題になった次世代トレーディングカードゲーム「THE EYE OF JUDGMENT」が2007年10月25日、ついに発売された。同梱されているプレイステーション 3専用USBカメラ「PLAYSTATION Eye」を用いた初タイトルでもある同作は、なにはおいても“カメラで撮影したカードの上に、フィギュアのようなクリーチャーがリアルタイムで表示される”というところに大きな特徴がある。

 カードのクリーチャーが立体化する――アイデアは昔からあったものの、それがとうとう実現したのだ。

 それだけでもエポックメイキング的なゲームといえるが、やはりゲームである以上、ユーザーが気になるのは“ゲームとして面白いか?”という部分だろう。そこで今回は、特徴的なインタフェースを確かめるとともに、ゲームとしての「THE EYE OF JUDGMENT」の魅力を検証してみた。

ヴァーチャルな感覚が味わえるインタフェース

「PLAYSTATION Eye」のカード認識力は「デッキブルドモード」の時に実感できる

 「THE EYE OF JUDGMENT」は「PLAYSTATION Eye」でリアルタイムで撮影しているプレイマット上のカードを認識していくことでゲームを進めていく。この“カードの認識”にはソニー独自の2次元バーコード技術「サイバーコード」が使われているのだが、これがなかなかいい感じだ。

 カード上のサイバーコードは、情報量の多い部分を古代文字っぽいデザインにしている。ゲームの世界観がファンタジー的なだけに、こうした演出はユーザー的にもうれしいところだ。

 また、認識の精度と速度は、思わず「おーっ」と声をあげてしまうほどすばらしい。ゲームではカードを置く場所やカードの方向などに厳密さが要求されるため体感しにくいところだが、デッキを登録する時の認識の的確さといったら、意味もなく何度もやってしまいそうなほどにストレスがないのだ。

 さらに目玉である“クリーチャーの立体化”にもストレスがない。それなりに限界もあるが、カードの向きや傾きに応じてクリーチャーもリアルタイムで動いてくれるのは、実際にやってみるとかなり楽しい。さらにカードをカメラに近づければ拡大されるため、じっくりと造形を鑑賞することもできるところは実に面白い。

 余談ながら、メインメニューから選べる「カードプロフィール」でクリーチャーを召喚している場合、カード上のクリーチャーに触れるような感じで指を動かすと、前方から触れられた場合は被ダメージのアクションを、後方から触れられた場合は攻撃時のアクションを、左右から触れられた場合はそれ以外のアクションを見せてくれる。プレイ時には、ぜひ試してもらいたい。

「機巧重戦車(機巧)」と戯れる筆者の指。被ダメージのアクションのテンポが良いため、ついつい何度も戯れてしまった
「カードプロフィール」ではカードの基本情報が参照できる。カードを変えるごとにワールドマップが切り替わっていくところは必見

シンプルながら奥の深い陣取りゲーム

 そろそろ本題のゲーム性について見ていこう。

 ゲームの基本は1対1で、3×3のフィールドのうち、先に5マスを支配したプレーヤーが勝ちになるという、極めて簡単なものだ。これだけを聞くとシンプルすぎるように思えるだろうが、さまざまな要素が複雑に絡んでくるため、最初のうちはコンピュータ相手でもなかなか勝ちを拾えないほど奥の深いものに仕上がっている。ここでは細かいルールではなく、ゲーム性を左右する重要な要素のみを抜粋的に紹介しておく。

体力の少なさ

 体力が0以下になると、そのクリーチャーはトラッシュ(墓地行き)され、そのマスの支配権を失ってしまう。ほとんどのクリーチャーの体力が1であるため、考えなしに配置していくと、不幸なクリーチャーの殺し合いが続くだけになってしまう。

フィールド属性による体力の増減

 クリーチャーは5つある属性(火、水、土、木、機巧)のうちのどれかに分類されており、フィールドもまた5つの属性(火、水、土、木、機巧)を持っている。火、水、土、木のクリーチャーは、自分と同じ属性を持つフィールドに召喚されると体力が+2、対立する属性(火×水、土×木)のフィールドに召喚されると体力が−2されるため、ゲーム序盤では極めて大きな意味を持つ。

 またフィールドには「ウラ側の属性」というものがあり、スペルなどの効果で反転した場合、その「ウラ側の属性」がフィールドの属性になってしまう。仮に表が“火”、裏が“水”のフィールドに火属性のクリーチャーがいた場合、裏返るだけで合計4点のダメージを受けたのと同じこと(体力+2のボーナスを失い、体力−2のペナルティを受けるため)になってしまう。強力なクリーチャーでさえ、状況次第では瞬殺される可能性があるのだ。

同属性の例。土属性の「ヴェルザールの歩兵」が土属性フィールドに召喚されたため、体力が+2されている
対立属性の例。同じ土属性フィールドに、土属性と対立する木属性のクリーチャーを召喚すると体力が−2される
木属性フィールドに召喚されていた「二匹のゴブリン(木)」だったが、「ゴーリの地割れ(スペル)」で裏返ったフィールドは土属性に変更。+2の消失、−2の追加で体力は合計−4される

召喚場所を制限するロックとアンロック

 属性と絡んで重要になってくるのが序盤の「召喚制限」および「キャスト制限」と呼ばれるルールだ。最初の1体はどの場所にでも召喚できるが、フィールド上のクリーチャーが敵味方あわせて4体以下の場合、2体目以降のクリーチャーを召喚できる場所が制限されてしまう。

 通常、場に味方のクリーチャーが1体も居ない場合は、フィールド上の好きな場所に召喚できるのは前述したとおり。しかし、場に味方のクリーチャーが1体以上居る場合は、いずれかのクリーチャーに隣接するフィールドにしか召喚できない。さらに召喚制限がかけられているクリーチャーは、上記のルールに加えて、さらに場に4体以上のクリーチャーが居ない場合は、召喚するクリーチャーと同属性のフィールド上にしか召喚できない。場に4対以上のクリーチャーが居る場合は、上記ルールのみ適用される。

 これによりスタートダッシュに一定の制限がくわわることになり、慣れないうちは、このことそのものが致命傷になる場合すらある。

クリーチャーの向きと攻撃方向&防御方向

 クリーチャーの「向き」も重要だ。ほとんどのクリーチャーが、正面の1体にのみ攻撃が可能であり、正面から攻撃を受けた時のみ反撃できる設定になっている。また、たいていは背後からの攻撃(ゲーム内ではB方向と呼ばれるもので背面にあるとは限らない)を受けるとさらにダメージが+1されてしまうため、属性ボーナスで+2されていても、時には一撃でクリーチャーが死んでしまう場合が出てくる。

 さらに攻撃方向、防御方向はクリーチャーによって異なっている。前方のみを攻撃・防御できるものがほとんどだが、前後左右にできるものや斜め前後を含めて攻撃できるものなど、様々なタイプが用意されている。これがさらにゲームの戦術性を深めている。

マナの少なさ、トラッシュの恐さ

 以上に加えて、さらにゲーム性を深めているのが、マナの扱いにあると断言していいだろう。なにしろこのゲームでは、何をするにしてもマナを消費するのだ。具体的にはクリーチャーの召喚、召喚後のクリーチャーの攻撃、召喚後のクリーチャーの向き変更、スペルカードの使用時に、それぞれマナを必要とするのだが、マナそのものは、自分のターンが始まった時に2点、自分のクリーチャーがトラッシュ(墓地行き)になった時に1点ずつ手に入るというルールになっている。

 このうち墓地行きによる1点が、ゲームを大きく左右することが多い。勝つためには相手のクリーチャーを倒し、妨害しなければならないのだが、倒すとマナを与え、より強いクリーチャーを呼ばれてしまいかねない。逆に、強いクリーチャーを早く使役したいというなら、自分の弱いクリーチャーを犠牲にして、支配したフィールドを手放すのが一番の近道になる。それを踏まえてどう判断するかが、「THE EYE OF JUDGMENT」の肝といえる部分だろう。

「チェック」をいかに外すか、いかに仕掛けるか

 最終的に5マスを支配した側がゲームの勝者になる。そのため4マスを支配し、次ターンで勝利できる状態になったことを「THE EYE OF JUDGMENT」では「チェック」と呼んでいる。この時、チェックされた側のプレーヤーは、1体でもいいからクリーチャーを倒さなければ敗北してしまうため必死になるしかない。

 ここで重要になるのが、先ほどのトラッシュによるマナ供給との関係だ。“いつでも倒せるクリーチャー1体”を残しておくことには、相手のマナをしぼるという意味にとどまらず、チェック対策という意味も持ち合わせてくるのである。だが逆をいえば、“チェック時に倒されるであろうクリーチャー”を想定し、それによるマナ供給すら考慮した作戦というものも考えられる。このように、どうチェックを仕掛け、相手のチェックを外し、チェックメイトの状態まで持っていくか。そのあたりの駆け引きは、最初に感じたシンプルさからは想像ができないほど奥深いものになっているのだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/18/news004.jpg 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  2. /nl/articles/2405/18/news066.jpg 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  3. /nl/articles/2405/18/news055.jpg ガチ“別人級”……凄腕メイク術駆使したビフォアフが「日本の頂点」と話題、“フォロワー数580万人”の美容系インフルエンサー
  4. /nl/articles/2405/18/news003.jpg 0歳娘がはじめて歩けた瞬間、パパの顔を見て…… 号泣必至の“表情としぐさ”に「やったねえ!すごいねえ!」「かわいくて涙が」
  5. /nl/articles/2405/15/news106.jpg 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  6. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  7. /nl/articles/2405/18/news023.jpg 死んだはずのスズメバチ、お尻をよく見てみると…… 「亡者の執念発動してますね」「だから怖いんだよな」油断できない生命力におののく声
  8. /nl/articles/2405/17/news026.jpg トリミングでシーズーを「ハムスターにしてください」とお願いしたら…… インパクト大の完成形に「可愛いーーー」「なんて愛おしい鼻毛カール」
  9. /nl/articles/2405/17/news022.jpg 妻が作ったキャラ弁にフランス人夫と3歳娘が大爆笑! 「怖い」と言われた完成形に「蓋開けた瞬間w」「一緒に笑っちゃいました」
  10. /nl/articles/2405/17/news152.jpg 並んでたんですね!? 大谷翔平選手のレアな“人形”ゲットした俳優に驚きの声 「羨ましい」「すごい」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評