ジャンプとスピンで銀河を渡るWiiのマリオは、やみつきになる面白さ:「スーパーマリオギャラクシー」レビュー(1/3 ページ)
今度のマリオは銀河を飛びまわり、得意のジャンプアクションでさまざまなギャラクシーに挑む。極上のアクションを堪能できるこの冬イチオシのゲーム、それが「スーパーマリオギャラクシー」なのです!
3Dマリオの最新作は銀河の果てまでゴーゴゴー
Wii発売から約1年……。ファン待望の「スーパーマリオ」シリーズ最新作、「スーパーマリオギャラクシー」が11月1日に発売された。
任天堂の「スーパーマリオ」シリーズと言えば、古くはファミリーコンピュータの「スーパーマリオブラザーズ」までさかのぼれるし、マリオが登場したゲームともなれば、アーケードの「ドンキーコング」に始まり、枚挙にいとまがない。数々の名作、ヒット作に登場し、多くのファンに愛されてきた、言わずと知れた任天堂の看板キャラだ。
そんなマリオさんは、スポーツをしたりパーティをしたりストリートをいただいたりと本業以外の仕事に大忙しだったが、久々に本業と呼べる仕事に就けたようだ。筆者が考えるマリオさんの本業、それは“クッパを倒してピーチ姫を助ける!” これに尽きる。
初代「スーパーマリオブラザーズ」からピーチ姫は何度クッパに捕まり、マリオ(そして弟ルイージ)は何度ピーチ姫を助けたことだろうか。本作においても、ばっちりピーチ姫がクッパにさらわれてくれるので、久々のピーチ姫を救うための冒険にマリオの心も熱く燃えていることだろう。
ピーチ姫を助けるマリオの歴史をひもとけば、NINTENDO64の「スーパーマリオ64」以前と以後で大きな変化があったと見ていいだろう。もちろんそれはプレイするステージが2Dから3Dになった、というのもあるし、何よりも「スーパーマリオ64」というタイトルは、その後のアクションゲームに大きな影響を与えた非常に完成度の高い作品だった。
3D表現を駆使したゲームがまだまだ過渡期だった当時に、アクションゲームの本命として登場した「スーパーマリオ64」。その面白さやクオリティは2Dのマリオの精神を受け継ぎつつも、まったく新しい面白さをユーザーに提供してくれた。3D(サンディー)スティックでぐりぐりとマリオを動かす楽しさ、スターを集めることで少しずつ行けるところが増えていくシステム、さまざまなアイデアが盛り込まれた個性豊かなステージの数々、それらが絶妙に融合し3Dアクションの金字塔と呼んでも過言ではない作品に仕上がっていた。かくいう筆者も、当時「マリオはやっぱ2Dっしょ」という先入観を持ちつつプレイし、そのみずみずしい面白さに驚いたことを覚えている。マリオの生みの親・宮本茂氏の鮮やかな手腕を感じられる作品だった。
本作はそんな「スーパーマリオ64」、そしてニンテンドーゲームキューブの「スーパーマリオサンシャイン」に続く、いわゆる“3Dマリオ”の最新作にあたる。今回もマリオは3D空間を自在に動き、楽しいジャンプアクションでユーザーを楽しませてくれることだろう。タイトルに“ギャラクシー”とあるように、銀河に飛び出したマリオの勇姿を、とくとご堪能いただきたい。
リモコンとヌンチャクで自在に動くマリオ 2Pプレイも面白い!
本作ではWiiリモコンにヌンチャクを装着したスタイルでプレイすることになる。ヌンチャクのコントロールスティックでマリオの移動、Zボタンでしゃがむ、Cボタンでカメラリセット(通常の視点に戻る)だ。そしてWiiリモコン側はAボタンでジャンプ、十字ボタンでカメラの切り替え、Wiiリモコンのポインティングで画面上のスターピース(スターピースについては後述する)を取ることができ、Bボタンを押せばポインティングしたところにスターピースを発射することができる。さらにWiiリモコンもしくはヌンチャクを振ることでマリオがスピンアタックをする。
やることがたくさんあるようにも思えるが、基本的にはスティックで動いてAボタンでジャンプして、Wiiリモコンを振ってスピンするということだけ覚えておけば、とりあえずのプレイはできるはずだ。カメラの切り替えやカメラリセットなどはあまり意識せずに、とにかく目に見えているマリオを動かすだけでも、十分にプレイしやすいようになっているあたり、さすがだと言うしかない。
プレイしてまず驚くのが、小惑星の上を自在に動ける“重力”を表現したシステムだ。これは本作の最大の売りだと言ってもいいだろう。スティックをぐりぐりと動かしても、特定の惑星にいる間はマリオがどこかに落ちることはない(近くにブラックホールがある場合は、特定のラインから踏み外すとミスになってしまう)。近くに別の惑星がある場合はジャンプでそちらに移ることも可能だ。この浮遊感覚が何ともたまらない!最初のうちは移動の操作に戸惑ったり軽く酔ってしまうかもしれないが、おそらくすぐに慣れるだろう。今までどんなゲームでも体感し得なかった不思議な重力感覚が味わえること請け合いだ。
個人的に感心させられたのは、「ホップ、ステップ、ジャンプ!」と段階的に高度が上がる3段跳び、しゃがんだ状態からより高くジャンプできるバック宙、より遠くまで跳べる走り幅跳び、ジャンプ中にしゃがみボタンで繰り出すヒップアタックなど、「スーパーマリオ64」でお目見えしたアクションが、その操作感覚も含めて未だ健在であるということ。本作が“3Dマリオ”の続編であることを改めて認識すると同時に、「スーパーマリオ64」の段階でいかにそのアクションが完成していたかを思い知らされた。
もちろん過去作品から操作系を継承しているだけではなく、Wiiならではの要素もある。「スターピース」を集めるプレイは本作独特のものだ。フィールド内にはスターピースと呼ばれる色とりどりな“こんぺいとう”のようなアイテムが存在する(敵を倒して手に入れることも可能)。このスターピースはマリオが直接触れることでも手に入るが、Wiiリモコンでスターピースを狙ってポインティングしてあげるだけでも取ることができるのだ。
スターピースを50個集めるごとにマリオを1アップできる。加えて、画面上の敵をWiiリモコンで狙ってBボタンを押せばスターピースが敵の動きを止めたり、プレイの途中で登場するハラペコチコに分け与えることで新しいギャラクシーが生まれるなど、何かと便利なアイテム。これは集めておいて損はない。
また、本作において特徴的なのが、2人目のプレーヤーによるアシストプレイだ。2人による対戦プレイとも、2人が別々のキャラを動かして進んでいくような協力プレイとも違う、何ともユニークなプレイが楽しめる。基本的には1Pがマリオを操作しゲームを進めることになる。2PはWiiリモコンのみを使って、1Pの代わりにスターピースの回収、発射をしたり、敵をポイントしてAボタンを押すことで敵の動きを封じたり、1Pと同時にAボタンを押すことでマリオに通常より高いジャンプをさせることができる。
1人でも問題なくプレイできるが、2人でプレイすると難易度もぐっと下がるし、不思議な連帯感が生まれたりもして面白い。筆者の場合、あまりアクションが得意ではない友人に2Pを頼んだのだが、そういったライトなプレーヤーが気軽にゲームに関われるという点が予想以上に好評だった。実力が同じくらいの友人なら交代で1Pと2Pを入れ替えてもいいし、3人以上で代わる代わるプレイする場合も2P側のプレイがあれば、よりにぎやかに盛り上がれるはず。Wiiならではの操作も相まって、新しい面白さを体験できる要素だ。
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