やりやすくやられやすい――新生「FFIV」は手堅いRPG:「ファイナルファンタジーIV」レビュー(1/3 ページ)
「ファイナルファンタジー」生誕20周年である2007年は、「ファイナルファンタジー」関連タイトルが多く世に出た年だった。そのトリを飾ったのが本作。セシルが! カインが! パロムも! ポロムも! 美麗なムービーと3頭身キャラでよみがえる! 難易度もけっこう高く、こりゃRPGファンならとりあえずやっとけ、っしょ!
4度目の転生を果たした名作RPG
2007年は「ファイナルファンタジー」(以下、FF)生誕20周年ということで“FINAL FANTASY -20th Anniversary-”の名のもとに多くのリメイク作品、スピンオフ作品などがリリースされた年だった。そんな2007年のFF三昧を締めくくったと言っても過言ではないのが、12月20日に発売されたニンテンドーDS版「ファイナルファンタジーIV」だ。
「FFIV」が初めて世に出たのは1991年のこと。前3作で多くのファンを獲得したFFシリーズの最新作が、当時の新ハードであるスーパーファミコンで登場するということで、かなり注目度の高いタイトルだったことを筆者も記憶している。実際にプレイしてみると、ファミリーコンピュータから飛躍的に向上したグラフィック、ドラマチックな演出、新たな戦闘システムなどに感動したものだった。
ちなみに、1991年の7月に発売された「FFIV」であるが、同年10月に「FFIV イージータイプ」が出ているというのが何ともユニークだ。プレイヤーキャラの設定が弱いため前半の難易度が高いというユーザーの声を受けて、間口を広げるために難易度を下げたバージョンを改めてリリースしたのだ。アクションやRPGなどでは今でこそプレイする前にEASYやNORMALなどの難易度選択ができるタイトルが多いが、イージーにしたバージョンを発売3カ月後に出すというのは極めて異例なのではないだろうか。当時のスクウェア(現スクウェア・エニックス)の「FFIV」への力の入れようが分かるというものだ。
その後、他の「FF」シリーズ作品がそうであるように、「FFIV」も複数のプラットフォームでリメイクされている。プレイステーション、ワンダースワンカラー、ゲームボーイアドバンスにそれぞれ移植され、何度もよみがえっているのだ。そしてこのたびニンテンドーDSにて4度目の転生を果たしたということになる。「FFVI」までの2Dで描かれたFFの中でも屈指の名作と評価の高い「FFIV」がニンテンドーDSでどのような転生を遂げたのか。次項からお伝えしていこう。
ドラマチックな物語を彩るグラフィックとサウンドとボイス
ニンテンドーDSでFFのリメイクと言えば、2006年8月に発売された「FFIII」がファンの記憶にも新しいところだろう。ファミリーコンピュータ版以来16年ぶりに復活した「FFIII」は、ニンテンドーDSの描画能力を生かしたまったく新しいものに変わっていた。3Dポリゴンで表現された3頭身のキャラクター、美麗なプリレンダムービー、キャラの斜め後ろ視点で描かれる迫力の戦闘シーン、とっつきやすくなったジョブシステム……さまざまな変更点・改良点をひっさげたニンテンドーDS版「FFIII」は、懐かしくも新しいRPGとして大いに楽しいものに仕上がっていた。
このニンテンドーDS版「FFIII」を手がけたスタッフが再び集結して製作したのが、本作、ニンテンドーDS版「FFIV」である。というわけで、前述した3D表現やプリレンダムービーなどを盛り込んだ独特の進化は本作でもしっかり継承されている。
ニンテンドーDS版「FFIII」をプレイした時にも感じたことだが、3頭身の3Dキャラとしてよみがえった「FFIV」の登場人物たちは、2Dのドット絵だった初代よりもリアルに表現されてはいるが、リアルすぎないビジュアルで描かれているので、そこには想像の余地がある。ただ本作では、要所要所で差し込まれるイベントシーンに、声優が声を吹き込みキャラたちがしゃべる点が賛否の別れるところかもしれない。
山寺宏一氏、納谷悟朗氏、鹿賀丈史氏など第一線で活躍している声優、俳優が声の参加をしており、ドラマチックな物語に鮮やかな彩りを添えている。プレイ当初は「おぉ、DSでセシルやカインがしゃべった!」とビックリし「このキャラってこんな声なのか……」と若干の違和感を感じつつも、慣れてくるに従って声優たちの熱演が本作の世界観をより味わい深くしてくれたように思う。しかしこれはあくまでも筆者の個人的な感覚だ。永くファンのいるタイトルだけに「このキャラはこんな声してないやい!」、「声がない方が感情移入できるのに!」というユーザーもいることだろう。そんな人はコンフィグでボイスのON/OFFを選べるので、お好みで調整しよう。
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