世界中のリビッツと一緒にジャ〜ンプ!――自由度無限大、何でもありのアクションゲーム「リトルビッグプラネット」レビュー(2/2 ページ)

» 2008年11月14日 12時14分 公開
[仗桐安,ITmedia]
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自由度はいたって高いのです

 リビッツは最初茶色いぬいぐるみ風だが、プレイ中にいつでも見た目をカスタマイズできる。□ボタンを押すことでポペットと呼ばれる吹き出しが表示される。ポペットからカスタマイズを選択すると、その時点で持っているリビッツのコスチュームから自由に選んで見た目を変えられる。プレイの進行に伴ってコスチュームは増えていき、パーツの組み合わせは細かく設定されているので、おそらく適当に作っても他の人とかぶらない姿になるのではないだろうか。自分だけのオリジナルリビッツを作るのも、本作の楽しみのひとつだ。

最初はこんなリビッツが……
適当にいじるとこんな風になり……
まったく違う姿に早変わり。気分で気軽に変えることができる

 ポペットではその他に、ステージ内やポッド内にステッカーやデコレーションを貼り付けることもできる。プレイ中に集めたステッカーやデコレーションを自由にペタペタと貼り付ける作業は、これまたなかなか楽しいものだ。どこにどんなステッカーを貼ってもいいので、暗いステージを明るいステッカーでガラリと変えたり、まさに“何でもあり”な遊びをすることができる。

デコレーションでポッドに花をつけてみる
ぺタぺタと連続で貼り付けることもできる

 そして、本作の“何でもあり”の最たる例が、自分でオリジナルステージを作れてしまうクリエイトの要素だ。ポッドから“ぼくの惑星”を選択すれば、ステージの作成ができる。まずはステージの元となるテンプレートから好きなものを選び、あとはリビッツを動かしてステージ作成用のポペットを表示させ、どこにどのオブジェクトを置くのか、どこに坂を作って、どこに穴をつくるのかなどを自由に作成しよう。PLAYSTATION Eyeで取り込んだ静止画をオブジェクトに貼ることもできるので、正真正銘“何でもあり”! なステージを作ることができる。

 このステージクリエイトは、ハマると本当に延々とやってしまうので、夜更かしにはご注意を。筆者がちょっと手をつけてみたところ、気がついたら明け方になっていた、ということもあった。凝ろうと思ったらいくらでも凝ることができるので、職人気質の人なら自分の思い描いた世界観を体現したステージを何日もかけて作ったりするのだろう。もちろん作ったステージは保存可能だ。そしてそして……作ったステージはオンライン上にアップロードできる。これこそが本作の醍醐味だと言っていいだろう。

ツールを使ってステージを作っていく

世界中のリビッツにセイ、ハロー!

オリジナルステージの数々が地球の上に表示される

 作ったステージをアップデートする、ということは、どういうことか。自分の作ったステージにオンラインを介して他のプレイヤーが遊びに来てくれるということだ。そして自分自身も他のプレイヤーのステージに自由におじゃまできるということでもある。

 ストーリーのボリュームだけでもけっこうな量だが、それに世界中の人たちが作ったオリジナルステージが日々追加されていくとなると、遊びの可能性は無限大に広がる。

 ポッドから“リトルビッグプラネット”に進み“クイックマッチ”を選択すれば、その時オンラインプレイ中の誰かと自動的にマッチングされる。マッチングされた相手とテキストチャットやボイスチャットでコミュニケーションをとりつつ、マルチプレイを楽しむことができる。そして“コミュニティ”を選択すれば、オンライン上に存在する無数のステージから自由に選んでプレイすることができる。

 各オリジナルステージは、ひとりで遊ぶこともできるし、複数の人と遊ぶことも可能。その時ステージにいる人たちとたまたま遭遇して適当に遊ぶ、ということもできるわけだ。このオンラインならではの出会いが、何とも楽しい。できればキーボードやヘッドセットを用意して、しっかりチャットしてコミュニケーションをとるのが望ましいのではあるが、相手は日本人とは限らない。アメリカやヨーロッパのユーザーと同じステージで出会うこともよくあるのだ。とは言っても、リビッツを動かして一緒に遊んでいるだけでも十分に心のふれあいというか時間と空間の共有ができているのであって、何も言わずとも何だか楽しくプレイし続けられたりするから不思議なものだ。

中には作りかけか?と思ってしまう謎のステージもあったりするが、それもまた楽しい
完成度の高いステージを作る職人さんにはホント感服いたします
遊んだあとはステージに対して評価を与えることができる

 そうやっていろんな人と出会い、いろんなステージを見て回り、気の合う人とはフレンド登録しあうなどして、一緒に遊んだりしていると、これまたいつのまにか朝が来ていたりする。そんな時間に相手の国ではまだ夜だったりもする。そんなオンラインゲームならではの楽しさがあるわけだが、対戦するわけでもなく、ともに敵を倒しレベルを上げるわけでもなく、単なるコミュニティというわけでもなく……。本作を介した新しいオンラインでの遊びは、本作でしか得られない独自のものだと言える。この楽しさは、ぜひ体験していただきたいところだ。

オンライン環境があれば遊びの可能性がぐんと広がる快作

 通信環境がなくても、複数のコントローラがあれば2人〜4人でマルチプレイできるのが、本作の面白いところだ。ストーリーをプレイするだけでも十分楽しい作品ではある。

 しかし、本作の魅力を最大限に楽しむためには、オンライン環境が必須と言っても過言ではない。ステージのクリエイトとアップロードや、他のプレイヤーのステージを遊べること、他のプレイヤーとリビッツを通してふれあえること、その面白さが本作の価値をぐんと高めていることは間違いない。

 筆者の個人的な感想としては、今までPS3で遊んだタイトルの中でも本作は出色の出来栄えだと思っている。少し前までは実はノーマークだったのだが、東京ゲームショウで試遊をしてみて気になりはじめ、実際に製品版をプレイしてみて、その新鮮な面白さに驚かされた。「横スクロールのジャンプアクション」という手垢のついたジャンルと、ステージクリエイトという、実はファミコン時代からあるモード(例えば「エキサイトバイク」とか)を融合させて、ここまで徹底的に新しくも面白い遊びを体験できるのか! と製作者のみなさんに拍手を送りたい気分だ。何度も言うが、グラフィックの素晴らしさや、リビッツのカスタマイズ、ステッカーやデコレーションによる自由度の高さも大きく評価したい。

 発売当初はなかなかタイトル数が拡充されないという印象があり、現在でも他機種とのマルチタイトルなどが多く、ユーザーをやきもきさせている面のあるPS3だが、ここに来て、勢いのある独自タイトルが、しかもハードメーカーであるソニー・コンピュータエンタテインメントから出てきた、というのは喜ばしいことではないだろうか。かつて、PSやPS2でも、ソニー・コンピュータエンタテインメントは、変テコだけどしっかり面白い、そんなゲームをいくつか世に出してきている。本作は、その流れを汲んだ(?)変化球だけど良質なタイトルとして、より多くのユーザーにふれてほしい、と素直に思える逸品だ。

(C) Sony Computer Entertainment Europe. All Rights Reserved. Published by Sony Computer Entertainment Inc. Developed by Media Molecule.


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