白騎士に変身するもよし、友人とクエストに行くもよし――PS3で王道RPGを「白騎士物語 古の鼓動」レビュー(1/3 ページ)

PS3に本格RPGが登場。レベルファイブが、新たに提示する王道RPG……それが「白騎士物語」だ。

» 2009年01月19日 17時33分 公開
[仗桐安,ITmedia]

ソニー・コンピュータエンタテインメントとレベルファイブによる新作RPGが登場

 プレイステーション 3が発売されてから2年が経つ。その間に数々のタイトルがリリースされてきたが、意外と、というか、残念なことに、RPGのタイトル数はけして多いとは言えない。PS3で発売された「ENCHANT ARM(エンチャント・アーム)」から数えて、現時点で10数タイトルしかRPGがないのだ。PS2では多くのRPGが発売されているだけに、RPG好きのPS3ユーザーは、多少物足りない思いをしているのではないだろうか。

 そんなRPGファンのために! と言っても過言ではなく、この冬にハードメーカーであるソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたのが「白騎士物語 古の鼓動」だ。本作の開発を手がけたのは、福岡県に拠点を置くレベルファイブ。古くはPS2の「ダーククラウド」、「ダーククロニクル」を開発し、のちに「ローグギャラクシー」など開発を担当したことで有名だ。最近では「レイトン教授」シリーズや「イナズマイレブン」など独自の人気タイトルをリリースしており、ゲーム業界で注目を集める会社のひとつだと言える。

いざ、白騎士の世界へ

 レベルファイブがPS3というハードでチャレンジした本作のジャンルは、“RPG”。しかも真っ直ぐストレートな王道のRPGだ。剣と魔法があり、王様がいてお姫様がいる。勇者がいて、魔物がいて、強大なラスボスがいる。広大な世界、冒険、物語がある。そんな誰もが思い描くザ・RPGな要素が本作にはちりばめられている。しかも本作はオンラインでのプレイも用意しており、友人や見知らぬ誰かと世界を共有できる。温故知新でもあり最先端でもある「白騎士物語」の世界をご紹介しよう。

自分の分身・アバターを作成して、冒険に備えよう

 本作には大きく分けてストーリーパートとライブパートがある。ストーリーパートはオフラインで物語を楽しみつつプレイするパートで、ライブパートはPlaystation Networkを利用してオンラインでのプレイを楽しめるパートだ。

 いずれにせよ、プレイヤーはまずアバターを作成する必要がある。アバターとは平たく言えばゲーム中での自分の分身のこと。ライブパートでのプレイを前提とした本作では、この世に1人しかいない自分の分身を作ることでライブパートの世界へと飛び立って行けるわけで、他の誰かにそのキャラを公開することになるわけで……つまりは、適当にではなく、しっかりと愛着の湧くビジュアルにしましょ! と筆者は声を大きくして提言したい。

 もちろんアバターのビジュアルをどうするかは自分次第。自分自身に似せてもいいし、お気に入りのキャラそっくりに作ってもいい。そしてうれしいことに、本作のアバター作成は、ハンパなく細かくできるので、ビジュアルの自由度がかなり高いのだ。

 顔のパーツだけでも、ホクロのありなし、エラの張り具合、目の間隔、鼻の高さなど、細分化され数値化されていて、それらをいじればしっかりとそれが見た目に反映される。さらに体格の調整や声の選択なども細かく、自由にキャラメイキングできる。オンラインゲームと考えれば至極当然のことではあるが、自分とまるっきり同じビジュアルのプレイヤーはライブパートで出会わないだろう、と確信できるほどに、多種多様なキャラを作ることができる。

男キャラだけ見ても、まず最初の8パターンがまったく違うんです

 ぶっちゃけてしまうと、筆者はまずこのアバター作成でつまずいた。いや。つまずいたというのは語弊がある。アバター作成に夢中になってしまったのだ。自分自身に似せようと一生懸命作ってみて、結果まずまず自分っぽくなって満足したのだが、そうすると今度は違うアバターも作ってみたくなり、下手をしたら本編より楽しんでいるんじゃないかというくらいに、しばしアバター作成に没頭してしまったりした。セーブデータは複数作成できるので、それぞれ保存しておくことは可能なだけに、アバター作成にハマっている人もいるのではないだろうか。

 しかしアバターばかり作っててもゲームは始まらない。アバターとともに、いざ冒険の世界へ。本作がユニークなのは、作成したアバターがライブパートでのプレイヤーキャラになるだけではなく、ストーリーパートで主人公レナードの仲間として登場する点だ。

そこから1パターンを選んで体格に手を加えていき……
顔をこまか〜く作ります
とんだアホづらになりました、って感じで何でもありなのです

レナードは「変身っ」と叫んで白騎士になる

 ストーリーパートでは、剣と魔法のファンタジー世界で主人公レナードとともに冒険を楽しむことができる。

 レナードは、バランドール王国のワイン商で働く青年だ。そして前項でお伝えしたアバターはレナードの同僚として行動を共にする。2人は隣国フォーリアとの和平を控えたバランドール王国で平和に暮らしている。

壮大な世界観を緻密なグラフィックが表現する
レナードは心優しい青年だ

 しかし、シズナ姫の成人を祝う式典が開かれるなか、謎の組織ウィザードが王都を襲撃。居合わせたレナードは、単身シズナ姫を連れて逃亡する。2人は城の地下の宝物庫で謎の鎧「白騎士」に出会う。レナードは神器アークを手にすることで、巨大な白騎士に変身する。レナードは巨大な白騎士に変身する力を得たものの、シズナ姫はウィザードに誘拐されてしまう。こうしてレナードとその仲間たちによるシズナ姫を奪還するための冒険が始まるのだ。

 さらわれる姫、運命の勇者、というモチーフは、「まさに王道!」と突っ込みをいれたくなるほどに、本当に直球ド真ん中なRPGの設定だ。そこに「変身っ!」と言い放ち巨大な白騎士に変身できるという「ウルトラマンかっ!」という設定が加わり、本作の妙味が醸し出される。

運命的な出会いをするレナードとシズナ姫
変身っ! と叫ぶレナード。このあと何倍もの身の丈の白騎士に変身する

 レナードとともに戦うのは、幼なじみのユウリ、謎の剣士エルドアなど、多彩な登場人物たち。そしてプレイヤーの分身たるアバター。このアバターを自分自身に似せた筆者は、ムービーで自分の顔が映るたびに「1人だけメッチャ日本人っぽい人がいる!」と自分に違和感を感じ突っ込みをいれたくなった。自分自身が物語の中にまぎれているというのはかなり新感覚だった。

個性的な脇役が登場する

悪役や魔物も存在感バッチリだ
1人だけ和顔です

街の中では色々な人から情報が聞ける。各NPCに名前がついているのが面白い

 レナードたちはドレギアス将軍、グラーゼルなどの悪の存在と対峙する。白騎士に対する黒騎士(いずれもシンナイトと呼ばれる戦闘兵器)も登場し、物語は王道的な展開を見せていく。

 正直な話、ストーリーパートのボリュームは余り多いとは言えない。「えっ、ここで終わるの……」と思うくらいに、腹七分目くらいのところで幕を閉じる。“古の鼓動”というサブタイトルがあるのだから、何となく続編の存在も感じられるが、現時点では定かではない。その辺りに関しては続報を待ちたいところだ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/18/news004.jpg 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  2. /nl/articles/2405/18/news066.jpg 「なぜ今になって……」 TikTokで“15年前”の曲が大流行 すでに解散の人気バンド…… ファン驚き 「戸惑いが隠せない」
  3. /nl/articles/2405/18/news055.jpg ガチ“別人級”……凄腕メイク術駆使したビフォアフが「日本の頂点」と話題、“フォロワー数580万人”の美容系インフルエンサー
  4. /nl/articles/2405/18/news003.jpg 0歳娘がはじめて歩けた瞬間、パパの顔を見て…… 号泣必至の“表情としぐさ”に「やったねえ!すごいねえ!」「かわいくて涙が」
  5. /nl/articles/2405/15/news106.jpg 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  6. /nl/articles/1611/04/news117.jpg 「ヒルナンデス!」で道を教えてくれた男性が「丁(てい)字路」と発言 出演者が笑う一幕にネットで批判続出
  7. /nl/articles/2405/18/news023.jpg 死んだはずのスズメバチ、お尻をよく見てみると…… 「亡者の執念発動してますね」「だから怖いんだよな」油断できない生命力におののく声
  8. /nl/articles/2405/18/news068.jpg 『HUNTER×HUNTER』の冨樫義博がXで怒り 立て続く“誤配”で「三度目です」「次はもう知らん」
  9. /nl/articles/2405/17/news026.jpg トリミングでシーズーを「ハムスターにしてください」とお願いしたら…… インパクト大の完成形に「可愛いーーー」「なんて愛おしい鼻毛カール」
  10. /nl/articles/2405/17/news022.jpg 妻が作ったキャラ弁にフランス人夫と3歳娘が大爆笑! 「怖い」と言われた完成形に「蓋開けた瞬間w」「一緒に笑っちゃいました」
先週の総合アクセスTOP10
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評