DSで生活が便利になる――任天堂・岩田聡社長と宮本茂専務、ゲーム機の現在と未来を語る(3/6 ページ)

» 2009年04月10日 13時10分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

「いろんなサービスをDSを持ち歩くだけで受けられたらなあ」

宮本茂専務

宮本 自分の趣味に合わせて『nintendogs(参照記事)』や『Wii Fit(参照記事)』など(のゲーム)を作ってきたことで、「今、僕が何に興味を持っているか」をいつも聞かれます。今、僕が非常に興味を持っているのは、DSを街の中で持ち歩くといろんなサービスが受けられるという環境です。美術館に行って音声ガイドを受けたり、ショッピングモールに行ってちらしのクーポンを持ち歩いたり、地図をもらったり、「いろんなサービスを自分がDSを持ち歩くだけで受けられたらなあ」というのが1つの夢なのです。

 「DSを持っていれば、生活が便利になる」というのが今の僕らのテーマです。大事なことは、ソフトを買わなくても、DS本体だけを持っていればそのサービスが受けられる(ということです)。これを実現するには、(解決しなければならない)テクニカルな問題がいろいろありますが、本格的にゲームを作るのと同じようなエネルギーをかけて、そういう仕組みを作ってきました。

 ちょっと話が昔に戻ってしまうのですが、ファミリーコンピュータがたくさん売れた時に、いろんな業界の方から「この機械をネットワークに使いたい」「勉強に使いたい」といったいろんなオファーがありました。DSも同じく、例えば「病院で使えないか」「学校で使えないか」とか、世界中からいろんなオファーを受けています。

 エレクトロニクスの機械なので、できるようにするのは簡単なのですが、できたとしても使う人が快適に使えないと意味がありません。ですから快適に使ってもらうために、我々はいろんな仕組みを準備して、任天堂がそれをいろんなサービス事業者の方に提供していこうとしています。

 例えば、任天堂のソフトを買ったり、Wi-FiコネクションでゲームしたりできるDSステーション(参照リンク)というサービスがあるのですが、同じサービスをあるお店に行くとできるようにします。また、ショッピングモールにDSを持っていくと、ショッピングモールの地図が分かったり、いろんなお店の最新情報が分かったりというサービスを準備しています。まだ具体的に名前は挙げられないのですが、近々いろんなものが発表されていくことになると思います。

京都文化博物館のWebサイト

 それからさっきお話したように、美術館や博物館に行ったらガイドサービスを受けられる(システムを開発しています)。京都文化博物館(参照リンク)で4月28日からサービスを開始します。また、学校や塾で、先生が教室の中でPCとDSを使うだけで生徒に問題を送ったり、生徒がどれくらい理解しているかという情報が得られたりする、すごくシンプルなシステムを作っています。これも、いろんな学校に提供していく予定です。

 一番大事なポイントは、さっきお話したように「使う人が快適に使えること」。そして、「使う人はDSだけを持ってくればいい。ソフトを買わなくてもいい」、これも大事なポイントです。そして、このサービスのシステムが非常に低価格であること、学校の先生がポケットマネーで買えるくらいの値段になるように、非常にシンプルな仕組みを作っています。

 最後に、先生の問題や博物館の音声データなどを、例えば学芸員が自分でパソコンで作れたり(すること)、ソフト製作会社に依頼しなくても簡単にエディットできる仕組み、これがそろって初めてサービスが具体的になります。当然、これはビジネスでやっているわけなので、それで便利になった分、「1人1台、みんなDSを持ってもらおう」ということが究極の目的です。

 それから『Wii Fit』が今、世界中で評価してもらっていますが、メタボ問題というのは日本の各企業でも深刻な問題です。「メタボ対策をちゃんとしないと健康保険料が上がる」という現実的な問題もありまして、いろんな企業でメタボ指導、健康指導のようなことをされています。この健康指導に『Wii Fit』の仕組みを使ってもらえるように、「Wii Fit からだチェックチャンネル(参照記事)」というアプリを作って、企業さんと徐々に相談を始めているところです。

 「じゃあ、僕(宮本氏)は普通のゲームは作っていないのか」と言われるのですが、ちゃんと普通のゲームも作っています。今日は(開発している)たくさんのゲームの具体的な名前は申し上げられないのですが、2008年のE3で発表した『Wii Sports Resort』(参照記事)ができあがって、「日本では6月に売りたいな」「海外では7月に売れたらな」と準備をしています。詳しい値段や発売日などは各支社の方からまた発表がありますので、そちらの方で聞いていただけると思います。

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