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テレビゲームをどうやって創る?シンポジウム開催
2004年9月12日
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 本日(9月12日),東京・上野の国立科学博物館にてシンポジウム「テレビゲームの楽しさ−どのように作るのか,どのように遊ぶのか」が開催された。

 このシンポジウムは,国立科学博物館にて開催されている「テレビゲームとデジタル科学館」の記念シンポジウムとして実施されたもの。

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「ゲームデザイン&エンジニアリング論」で有名な東京大学大学院助教授の馬場章氏のコーディネートのもと,「パックマン」など数々の名作を生み出したナムコの岩谷徹氏,現役の中学校教諭として活躍する中村純子氏,電気通信大学でバーチャルリアリティの研究を行っている稲見昌彦氏,ゲームと社会のありかたを研究するお茶の水女子大学大学院教授の坂元章氏がパネリストに迎えられ,今後のゲーム制作の可能性,また問題点などについて議論が交わされた。

■技術はゲームを面白くしない――これからのゲーム制作の可能性

tv03.jpg まず議論が交わされのは,「ゲームの楽しさとは?」という点。これについては岩谷氏が積極的に議論に参加し,その想いを語った。

 岩谷氏がゲームを制作する上で非常に重きを置いているポイントは,「ゲームはインタラクティブである」ということに加えて「遊ぶお客さんの笑顔を思い浮かべながらゲームを制作すること」だという。「入社してから半年間,営業に回された。そこで笑顔で木馬に乗っている女の子を見て,『自分の好きなゲームではなく,お客さんが喜ぶものを作る』という意識が芽生えた」。

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 2Dから3Dへ,スタンドアロンから通信対戦へ,音声認識や裸眼立体視など技術の進歩が目覚ましいゲーム業界だが,追求するのはあくまで“楽しさ”であり,“技術”ではない。「FUN FIRST=楽しさ第一主義,難しいことを歓迎しない,人間研究が大事」という標語を掲げた上で,「ヒットした『太鼓の達人』は技術が表に出ないように制作された良い例。今のゲーム制作には観察が足りないのではないか」と警鐘を鳴らす。

 またこの点について技術側面から語ったのは電気通信大学の稲見昌彦氏。工学を専門とする稲見氏もまた「技術が直接ゲームを面白くすることはできない」とする。

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 しかし,「新技術そのものが時としてエンタテイメント性を持つこともある」とも主張する。その例として,ヘッドマウントディスプレイとセンサーを活用し「パックマン」の世界を現実で遊べるようにしたシンガポール大学の研究(HUMAN PACKMAN)など2,3の研究例を挙げた。

 その中でも一番注目される例としてあげられたのが,ロボットを活用したもの。ロボット型のコントローラのインタフェースとして使うゲームの構想や,産業用のロボットの先端にジェットコースターのようなシートを据えて,アトラクションのように使う可能性などが紹介された。

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 これらを踏まえ,「ロボットは今まで工業製品の生産工場を目指して作られてきましたが,“今は人にサービスを提供する”という第三次産業的な発想に転換している。こういう産業用に開発されたものも,ゲームに転化できるときがくるかもしれない」と技術の可能性を示唆している。

■ゲームは悪?「ゲーム脳」研究の現在

 現役の中学校教諭として,また2児の母として参加をした中村純子氏は,「授業の中で『ゲーム脳』の発端の記事を書いた記者に取材をすることができた。その中で記者は『現状では,ゲーム脳があるとも言えないし,ないとも言えない。自分としてはこれからの研究でゲームと脳の関係をしっかり調べて下さいと言うだけしかない』と困惑していた」と昨今のゲーム批判に対して異議を唱える。

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 その点について回答を行ったのはお茶の水女子大学大学院教授の坂元章氏だ。坂元氏によれば,「ゲーム脳」に関する研究はまだまだ不十分であり,「『ゲーム脳』を研究する先生の測定方法にも疑問の声があがっている」という。

 またもともと「前頭前野」が低下する現象というのは,「10年前から研究されているもの」であり,それが悪いことだとは言い切れいないと話す。「例えばチェスの名人がチェスのゲームをしている時は前頭前野の広い範囲の機能は低下しており,逆に狭い範囲での活性化に繋がっているという結果がある」。

 問題となっている脳の発達への影響については,「現在,高校生以下での研究事例は全くない」。「人付き合いが悪くなる,などの社会的不適合が起きるということは仮説としてある,というだけで実証ではない。今,心理学研究者が議論している最中だ」と語った。

 坂元氏はこのほか,「ゲームは“人を惹きつける力”があり,教育や医療などの応用がされ始めている分野。暴力性への影響,視力・体力への影響などはあると思うが,直接的な科学的データはない。」とも話した。

 ゲームを作る側である岩谷氏は,「子どもは時間をコントロールする能力が未発達であり,痛さや高さなど体験を通して自分の“ものさし”を作る時期。そのコントロールは親がすべきもので,あれはダメ,これはダメとしていると自立できない未発達な子どもができるのでは」とコメントした。

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 中村純子氏によると,「ゲームは何度もでき,暗記学習に効果がある。また主体的に課題解決ができ,達成度によって褒美が与えられるので,ドリル学習に効果があるようだ。例えば国語の文法など,授業なら眠くなるような内容をゲームでやらせると,みんな楽しみながら反復している」という。

 その上で「岩谷さんが言われるゲーム制作で大切な“観察,分析,考察,仮説,想像,実行,評価”の流れは素晴らしい。こういう内容のものがゲームで楽しめたら面白いのでは」と提案を行っていた。

 東京大学の馬場教授は,「いずれの事項も結果は出しません。今日来場した人皆さんでこれから考えていって欲しい」と語る。どの技術にも良い点,悪い点があり,それはゲームでも同じ。当たり前のことだが,それらが十分に行われない中で批判だけが一人歩きすることだけは避けたいところだ。ゲーム業界では始まったばかりの議論だが,これから活発に行われ,また多くの人がこういった場などで議論に加わることを期待したい。


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