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ucd-snmp

 LinuxにインストールすることができるSNMPエージェントとなるソフトには,いくつかの種類がある。本稿では,比較的よく使われている「ucd-snmp」を使うことにする。ucd-snmpは,SNMPエージェントといくつかの簡単なコマンドライン形式のSNMPマネージャを含むSNMP統合パッケージだ。ちなみにucd-snmpは,Linux以外にも,FreeBSDやSolarisなどさまざまなUNIX系のOSで動作する。


ucd-snmpは,NET-SNMPという名称に変わった。しかしまだNET-SNMPという名称が付いたプログラムは開発中で公開されておらず,旧称であるucd-snmpのプログラムが公開され続けている。そこで本稿では,NET-SNMPという名称ではなくucd-snmpという名称で記述することにする。将来NET-SNMPが公開されれば,ucd-snmpは旧バージョンとなり,ucd-snmpという名称は次第に使われなくなるだろう。

ucd-snmpのインストール
 ucd-snmpのソースファイルは,http://net-snmp.sourceforge.net/にあるリンクから入手することができる。ここではhttp://sourceforge.net/project/
showfiles.php?group_id=12694
にある,ucd-snmp-4.2.1.tar.gzというtar.gz形式のファイルをダウンロードしてインストールすることにする。


ucd-snmpをインストールするために,ucd-snmp-4.2.1-2.rh62.i386.rpmというRPMパッケージを使ってもよい。しかし筆者の環境では,ライブラリの関係で正しくインストールできなかったため,本稿では,ucd-snmp-4.2.1.tar.gzというtar.gz形式のソースファイルから構築することにした。

 ucd-snmp-4.2.1.tar.gzをインストールするには,次のようにする。

(1)ucd-snmp-4.2.1.tar.gzをダウンロードする
 前出のURLより,ucd-snmp-4.2.1.tar.gzをダウンロードする。いくつかのミラーサイトもあるので,ミラーサイトからダウンロードするほうが望ましい。

(2)tarコマンドを使って展開する
 ダウンロードしたディレクトリにカレントディレクトリを移し,次のようにtarコマンドを使って展開する。

$ tar xzvf ucd-snmp-4.2.1.tar.gz

(3)環境設定する
 するとカレントディレクトリにucd-snmp-4.2.1というディレクトリができるので,カレントディレクトリをそこに移動する。

$ cd ucd-snmp-4.2.1

 次に環境設定をするため,configureコマンドを実行する。

$ ./configure

 configureコマンドを実行すると,途中いくつかの質問がされるので,適切に答える。ここで設定する情報は,SNMPの管理情報となる。

 とはいえ,ここでの設定内容は,デフォルト値の設定であり,「SNMPエージェントを動かしてみる」で説明するsnmpd.confファイルを書き換えると変更できる。よって,よくわからなければ,適当に入力しても問題ない。

 各質問のまえには,まず,次のようなメッセージが表示されるので,[Enter]キーを押す。

checking if you have run configure before...
************** Configuration Section **************

You are about to be prompted by a series of questions. Answer
them carefully, as they determine how the snmp agent and related
applications are to function.

After the configure script finishes, you can browse the newly
created config.h file for further - less important - parameters to
modify. Be careful if you re-run configure though since config.h will
be over written.

-Press return to continue-

 するとまず,次のようなメッセージが表示され,SNMPエージェントの管理者として設定したいメールアドレスが尋ねられる。ここには,管理者となるユーザーのメールアドレスを入力する。普通は,自分のメールアドレスやrootユーザーのメールアドレスを入力することになるだろう。

disabling above prompt for future runs... yes
checking System Contact Information...


*** System Contact Information:

Describes who should be contacted about the host the agent is
running on. This information is available in the MIB-II tree. This
Can Also Be Over-Ridden Using The "syscontact" Syntax In The Agent'S
Configuration Files.

System Contact Information (ユーザー名@): ここにメールアドレスを入力する

 すると,次のように表示され,管理者情報が設定される。

System Contact Information (osawa@): 入力したメールアドレス
setting System Contact Information to... 入力したメールアドレス

 次に,このLinuxマシンの配置場所を設定する。これはSNMPマネージャを使って管理する時に表示される場所の情報となる。たとえば,経理部に配置したLinuxマシンであれば“Accounting”,開発部に配置したLinuxマシンでは“Development”といった情報を入力することになる。もっとも,これは場所を示すというよりも,管理上わかりやすくするのが目的なので,サーバー名を入力したり,“gateway server”とか“print server”といったサーバーの役割を示す名前を設定したりしてもよい。ここでは仮に,“Red Hat Linux Server”と入力することにする。

checking System Location...


*** System Location:

Describes the location of the system. This information is
available in the MIB-II tree. This Can also be over-ridden using the
"syslocation" syntax in the agent's configuration files.

System Location (Unknown): Red Hat Linux Server <--- ここに場所情報を入力する

 すると次のように表示され,配置場所が設定される。

setting System Location to... 入力した場所情報

 次にログファイルのファイル名を設定する。デフォルトでは,/var/log/snmpd.logファイルになっている。変更したければ変更してもかまわないが,とくに変更する必要もないので,ここでは,[Enter]キーを押すだけでよい。

checking Location to write logfile...


*** Logfile location:

Enter the default location for the snmpd agent to dump
information & errors to. If not defined (enter the keyword "none"
at the prompt below) the agent will use stdout and stderr instead.
(Note: This value can be over-ridden using command line options.)

Location to write logfile (/var/log/snmpd.log): [Enter]キーを押す

 すると次のように,ログファイル名が/var/log/snmpd.logに設定される。

setting Location to write logfile to... /var/log/snmpd.log

 次に,SNMPエージェントが保持する永続的なデータ(管理情報領域)の保存場所を設定する。デフォルトでは,/var/ucd-snmpディレクトリになっている。変更したければ変更してもかまわないが,とくに変更する必要もないので,ここでは,[Enter]キーを押すだけでよい。

checking Location to write persistent information...


*** snmpd persistent storage location:

Enter a directory for the snmp library to store persistent
data in the form of a configuration file.

Location to write persistent information (/var/ucd-snmp): [Enter]キーを押す

 以上の入力をし終えると,ふたたび自動的な環境設定が続けられる。configureコマンドの実行が終われば,設定は完了だ。

(4)makeする
 次に,makeコマンドを実行し,makeする。

$ make

 この作業にはしばらく時間がかかる。

(5)インストールする
 次にucd-snmpをインストールする。そのためにまず,suコマンドを使い,rootユーザーとしてログオンする。

$ su
Password: rootユーザーのパスワードを入力する

 次にumaskコマンドを次のように実行し,インストールするときにコピーされるファイルが,rootユーザー以外によって不正に書き換えられないようにする。

# umask 022

 次にmake installとし,ucd-snmpをインストールする。

# make install

 以上でucd-snmpのインストールは完了だ。exitコマンドを実行し,rootユーザーから一般ユーザーに戻る。

# exit

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