メールのヘッダ情報を知る

●メールヘッダとは?

 メールには本文のほかに「ヘッダ情報」というものが存在する。通常,メールソフトで閲覧できる部分には,「送信元のメールアドレス」や「メールの題名」,「メール本文」といった主要部分のみが表示されていることが多く,このメールヘッダ部分は隠されて表示されていないことが多い。

 「ヘッダ」とはその名の通り,メールの先頭部(本文の先頭ではない)に記録されているもので,そのメールの差出人や送信した時刻,経由したメールサーバなどの重要な情報が記録されている。つまり,メールヘッダに関する知識さえあれば,単純な迷惑メールやいたずらメールなどは,そのメールの送信先を特定することが可能になるわけだ。

 たとえば冒頭で触れた,ダイレクトメールやねずみ講への勧誘メールといった類いのスパムメールも,このヘッダ部分を参照し,「発信元」,「送信サーバ」を突き止めれば,スパムメールを送信した発信元プロバイダやメールサーバなどに苦情のメールを送ることができるはずだ。しかし,実際にはこういったスパムメールは情報が得られないように身元を隠していることも多く,ヘッダから情報を得ることが難しい場合もある。

 まずは,実際にメールヘッダを表示してみよう。Outlook Expressの場合,メールを右クリックして「プロパティ」を参照し,表示されるダイアログにある「詳細」タブでヘッダを参照することができる(写真34)。ソフトによってヘッダの参照方法は異なるので,ほかのメールソフトを利用している場合は,ヘルプなどを参考にしてヘッダを表示してみよう。

画面
写真3■参照したいメールを右クリックして,プロパティを選択する

画面
写真4■「詳細」タブをクリックすると,メールヘッダが参照できる。長い場合はドラッグ&ドロップなどでテキストエディタに貼り付ければ読みやすい

●主要なヘッダフィールドを知る

 ヘッダを表示するとなにやら見慣れない単語や,文字が並んでいるだろう。ヘッダにはいくつかの「ヘッダフィールド」があり,それぞれに情報が記録されている。以下に挙げる主要なものだけでも覚えておこう。

One Point
主要なヘッダフィールド

Return-Path メールアドレスが不明などで送信エラーになった場合などに,そのエラーを報告するメールアドレス
Received メールが経由したサーバ情報。そのメールがどのような経由で送信されたかを見ることができる。複数のサーバを経由するため,いくつかの「Received:」が付記される。一番最後に経由したものが上部に,古いものは下部に記載される
Reply-To そのメールの返信先アドレス
In-Reply-To そのメールがどのメールに対する返信かを示している
From 差出人のメールアドレス
To 宛先のメールアドレス
Cc カーボンコピー。メールのコピーを送信したメールアドレス
Bcc ブラインドカーボンコピー。Ccと機能は同じだがCcのように同時に送信したメールアドレスを知ることはできない
Subject メールの題名
Message-Id メールを区別するための文字列,サーバやメールソフトが付加する
Date 送信日時
Sender 送信者のアドレス
X-Mailer 相手の使用しているメールソフト
X-sender メール設定で設定された本来のメールアドレス。一部のメールソフトなどで使用されている

 ここで示したヘッダフィールドは主なものだけで,ほかにもヘッダフィールドはある。興味のある方は検索サイトや,JPNICが運営するRFC-JPなどで調べてみてほしい。ヘッダフィールドに関するRFCは,RFC 822,RFC 1123,RFC 2076などが該当する。

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