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Chapter 3:DNS(Domain Name System) 〜概要〜

DNS(Domain Name System) 〜概要〜

 すでにご承知のとおり,Windows 2000は名前解決にDNSを利用する。その理由は,主に2つある。

 1つはインターネット環境への対応である。インターネットでは,DNSが名前解決の標準的な方法として採用されている。今後の企業ネットワークは,インターネットと接続していることが常識となってゆくはずである。これは,企業の基幹ネットワークがTCP/IPで運用され,その名前解決にDNSを利用する環境が一般的となることを意味している。また,昨今のMicrosoftの動向を注視しても,インターネットへの対応を非常に重要視していることがわかる。このような潮流から考えても,Windowsネットワークの名前解決方法がインターネットの標準であるDNSへと切り替えられてゆくことは,自然の流れであったといってよいだろう。

 もう1つの理由は,大規模なネットワークへの対応である。これまでWindowsネットワークは,比較的小規模なネットワークで利用されてきた。小規模なネットワークでは,NetBIOSの名前解決方法がうまく機能していた。基本的にブロードキャストを利用するため,面倒な設定作業をする必要がなく,深い知識を持たなくてもネットワークを構築することができた。このような負担の少ない運用性が,PC環境,特にWindowsプラットフォームにおけるネットワークの普及に貢献してきたことは事実であろう。しかし,Windowsが基幹業務にも利用されるようになってくると,次第に大規模なネットワークへの対応を求める声も高まってきた。「1.1.3 異なるネットワークアドレスの名前解決」や「2.3 WINSによるWAN環境の改善」で解説したように,従来型のWindowsネットワークをWAN環境で利用するためには,LMHOSTSファイルかWINSを利用しなければならなかった。ところが,LMHOSTSファイルによる運用では,大規模ネットワークにはとても対応しきれない。WINSを利用すれば,ある程度の規模のネットワークにまでは対応できるが,WINSは分散データベースではないので,各WINSサーバーが同じデータベースを保持しなければならないという欠点を抱えている。このために,大規模なネットワークでは,WINSデータベースのレプリケーションコストが高くなり,データベースの同期に時差が生じるという問題が明らかとなってきた。これに対してDNSは,インターネットのように世界的な規模のネットワークでもうまく動作しているという歴史的な実績があった。そこで,Windows 2000で基幹業務に対応してゆくためにも,大規模なネットワークでの稼働実績のあるDNSのような標準的な名前解決方法を採用する必要があったのである。

 以上のような理由により,MicrosoftはWindows 2000の名前解決方式として,DNSを採用することにした。しかしながら,もっぱらWindows環境でのみ利用されるNetBIOSと異なり,DNSはインターネットでも利用される一般的な技術である。それゆえ,インターネットに接続された環境でDNSの設定を間違えると,自分のネットワークがうまく機能しないだけでなく,周辺のネットワークにも悪影響を及ぼすおそれがある。それだけに管理者は,DNSの原理を知り,DNSサーバーを正しく設定しなければならない。もちろん,Windows NT 4.0でもDNSサービスは提供されてきたので,一部の管理者はすでにDNSについてよくご存じかもしれない。だが,残念ながら,DNSはWindowsネットワークの管理者にとっては,まだまだ一般的な技術とはいい難いだろう。

 そこで,今回から2回に分けて,DNSの基礎知識について説明してゆく。なお、DNSサービスを提供するサーバーは,一般的に「ネームサーバー」と呼ばれている。しかし、今回の連載ではWINSサーバーのように,ほかの名前解決サービスについても説明しているので,必ずしもDNSサーバーだけが「ネームサーバー」にあたるわけではない。そのため,本連載中ではDNSサービスを提供するサーバーを「ネームサーバー」と呼ぶのではなく,明示的に「DNSサーバー」と記述することにした。

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