■Windows 2000時代のDNS展開作法  

 本稿ではこれまで,Windows NTネットワークにおける名前解決方法,インターネットにおける名前解決方法,Windows 2000ネットワークにおける名前解決方法,というそれぞれについて駆け足で解説してきた。今回の連載は,ひとまずここで終了である。

 この連載を通じて,DNSにかかわる基礎知識と,Windows 2000に添付されているMicrosoft DNSで採用された新機能については,一通り説明したつもりである。また,既存のDNSサーバーやWindows NTドメインとの相互運用についても,簡単ではあるが言及してきた。すでにネットワークについての基礎知識をお持ちの読者諸氏であれば,今回の連載によって,Windows 2000のネットワークがどのような仕組みで動作するのか,どのようにWindows 2000のネットワークを構築および運用してゆけばよいのかを,大まかにご理解いただけたことと思う。

 しかし,Windows 2000は,インターネット時代を見据えて投入された新時代のネットワーク基盤であるだけに,その仕組みもソリューションも複雑化する傾向にある。筆者自身も,まだその全貌を解明できたわけではない。たとえば,マルチサイトやマルチドメインで運用した場合の挙動や,グローバルカタログが絡んだ場合の処理などは,今後詳細に検証してゆかなければならないだろう。

 これから本格的にWindows 2000を導入し,Active Directoryドメインへと移行し,その環境下で稼動するアプリケーション群を利用してゆくという点では,筆者も読者諸氏も同じスタートラインに立っている。今後,実稼動環境で運用してゆくにつれて,さまざまな障害に見舞われたり,技術的な疑問を抱いたりすることもあるだろう。その際には,また何らかの形で情報提供させていただきたいと考えている。逆に,読者諸氏が疑問に思われた点や,知りたいと思われた点があれば,情報をお寄せいただけたら幸いである。個別に回答させていただくことはできないが,次の機会に反映させていただきたいと考えている。

 なお,今回の連載では,大規模なネットワーク環境やインターネットに接続する場合のDNSサーバーの構成については,あまり詳しく踏み込むことができなかった。また,Active DirectoryとDNSの関係に焦点を絞ったため,DNSと電子メールとのかかわりについても,あまり深く触れる機会がなかった。Active Directoryの導入に伴い,DNSを新たに導入する,あるいは既存のDNSを再構築しようと考えている管理者は,この連載のみならず,連載中に示した各参考文献も参照していただきたい。

 すでにご承知のとおり,2000年2月18日にWindows 2000の製品版が発売された。各ソリューションプロバイダはもちろんのこと,企業のIT部門の担当者のなかにも,Active Directoryの導入を検討している人は多いだろう。そのような皆様にとって,今回の連載がWindows 2000導入の一助となれば幸いである。

2000年2月23日
熊野大介,松崎爲豁

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